ブーレーズのバルトークは最高!!

今、この記事を書きながらヘンデルの歌劇「サウル」を聴いているが、やっぱりオペラの「ながら聴き」というのは乙なもの。繰り返し「聴いて」音楽を覚えるにはうってつけの方法だと思う。これが映像付となるとそうはいかない。画面に集中して釘付けになって観ないことには・・・。要は時と場合に応じて「クラシック音楽の聴き方」を使い分ければ良いということ。ゆえに、以前から時に話題になる、オペラを「音声だけで聴く」ことと「映像付で視聴する」ことのいずれも「あり」だという結論にしておこう(少なくとも僕の中では)。
といいながら、完全休養日の本日、復調の兆しが見えてきたのでゆっくりとDVDを観ながら食事を摂った。1ヶ月くらい前だったか新宿のタワーレコードで破格の800円ほどで仕入れた代物。ブーレーズ&ベルリン・フィルの2003年ヨーロッパ・コンサート。しかもソリストにピリスが起用されており、プログラムも粋なもので2時間弱陶酔して見入ってしまった。

ヨーロッパ・コンサート・フロム・リスボン2003
・ラヴェル:クープランの墓
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466
・バルトーク:管弦楽のための協奏曲Sz116
アンコール~
・ドビュッシー:祭り~3つの夜想曲
マリア・ジョアン・ピリス(ピアノ)
ピエール・ブーレーズ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(2003.5.1Live)

わずか9年ほど前の映像なのだが、ブーレーズが若い!おそらく彼の最も脂ののった全盛期のような矍鑠とした指揮ぶり。精悍な目つきで冷静にオーケストラを縦横にドライブする様は本当に神々しい。その残響の厚さから、会場が首都リスボンのジェロニモス修道院であることも一層演奏に深い意味を投げかけているように思われる。演奏は・・、ラヴェルもバルトークもドビュッシーも、さすがに20世紀の音楽をやらせたら右に出るものはいないというほどの几帳面で正確なものでありながら、昔よく言われた冷徹さなど微塵も感じられなく、むしろ温かく人間味の表出する大パフォーマンスである。何よりベルリン・フィルの団員たちがブーレーズを心から尊敬しているんだという姿勢がありありとわかる。
僕的に白眉はやっぱりバルトークのオケコン。この曲は映像で観ると、管弦楽のための協奏曲というそのタイトルの意味がよく理解できる。ベルリン・フィルのメンバーの各々の技術的力量、音楽性というのは流石。完璧!最高!!そして、美しい・・・!!!。
ちなみに、ピリスとのモーツァルトは・・・、多少のアンサンブルの乱れはあるものの、いやこれが実に素晴らしい!いかにも軽やかに淡々と演奏されるように見受けられる中に、哀しみと喜びと、モーツァルトの心がしっかり感じられる。

ところで、先の歌劇「サウル」。ブラームスをして、「ヘンデルの『サウル』の葬送行進曲はどうだ。『神々の黄昏』の葬送行進曲なんか目じゃない!ワーグナーの行進曲には(視覚的)場面が不可欠だ。でもヘンデルの方はそんなものがなくても最高だろう」といわしめた傑作。彼の意見の正否はともかくとして、要は「音だけ」で十分に感動を与えうる音楽だとブラームスは言うのだ。確かにあまりに美しく、涙を誘う音楽が流れる。こちらも映像を仕入れて鑑賞してみたい・・・。


3 COMMENTS

雅之

こんばんは。
ご紹介のブーレーズ指揮の映像、もう6〜7年以上前からDVD(当時3,800円くらいしたかな)で持っていて時々鑑賞し楽しんでいます。演奏家が好きというより、これらの曲を映像でも欲しかったからです。残響豊かな会場ですが、ピリスやオケも含め、素晴らしい演奏ですよね。

私はオーケストラのCDを聴く場合でも、楽器の配置とか、指揮者の振り方とか、2管編成なのか4管編成なのか、ハープは1台なのか2台なのか3台なのかとか、そういうことを出来るだけ多く知りたい、だから映像があるとその知的好奇心をかなりの部分満足させられとても嬉しいです。

だから、例えばサントリーホールでも、音のバランスのよい中央よりも、舞台の奧まで見渡せ死角の少ない右袖RB2列目9とか10の席
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/hallguide/seat_main.html
を、空いているのを充分確認してから、休憩後の後半は狙います(岡本さんによれば、それは恐れ多い天皇陛下が選ばれる席らしいですが・・・苦笑)。

群盲象を評す(群盲象をなでる)という言葉があります。
「盲人達は、それぞれゾウの鼻や牙など別々の一部分だけを触り、その感想について語り合う。しかし触った部位により感想が異なり、それぞれが自分が正しいと主張して対立が深まる。しかし何らかの理由でそれが同じ物の別の部分であると気づき、対立が解消する、というもの」です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%A4%E7%9B%B2%E8%B1%A1%E3%82%92%E8%A9%95%E3%81%99
芸術の感想には、そういう危ういところがありますよね。できるだけ情報量が多いほど、お互い誤解するリスクは少なくなると思いますが。

ただ、だいぶ不謹慎な喩えですが、生身の女性とセックスするよりも覗くほうがそそるという人が確かにいます。そういう私も、ストリップ劇場では、ガバっと見せられるよりも、チラリのほうがいいです(笑)。岡本さんは、そのものずばりのAVよりもポルノ小説のほうが想像・妄想できるからいいですか?(笑)

最先端の精緻で何でもできるハリウッドのVFXより、円谷の拙い特撮でモノクロ時代のゴジラやウルトラQのほうが味があって好きだったりもします。テレビよりラジオが好きかもしれません。

我々男の子は、絶対女の子よりも夢見るロマンチストですよね(笑)。

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雅之

レコード鑑賞は所詮男だけの趣味だと、私の人生経験上断言せざるを得ません。

女は、ワーグナーのリング全曲をCDだけで聴き通したりは絶対にしませんし、聴覚だけが頼りのオペラ鑑賞に、絶対に本気に入れ込んだりなんてなりませんよね。オペラの世界へは、女は別な入り方をします。

智慧をもって観照することにより自在の妙果を得た観音様(観世音菩薩、または観自在菩薩)は、かつて長岡鉄男が言ったようにひとつの理想の姿ですが、その「観て聴く」観音様は、「慈母観音」などという言葉からも示されるように、俗に女性と見る向きが多いといいいます。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。

>映像があるとその知的好奇心をかなりの部分満足させられとても嬉しいです。

おっしゃるとおりですね。以前は僕もとにかく映像で確認したく、ヴィデオやLDを結構な頻度で集めたり、クラシカジャパンなどで録画して楽しんでおりました。しかしながら、独立して毎日が日曜日(笑)、逆に言うと毎日が仕事になってからはモニターの前に鎮座して集中して視聴する時間をとることが極めて困難になりまして、それ以降は「ながら」で楽しむ癖がついていたのですが、ここのところの映像視聴三昧で、やっぱりきちんと絵を確認しながら聴くという行為は重要だと再確認した次第です。ありがとうございます。

>できるだけ情報量が多いほど、お互い誤解するリスクは少なくなる
>そのものずばりのAVよりもポルノ小説のほうが想像・妄想できるからいい
>テレビよりラジオが好き

このあたりはまたいろいろと議論できるところですよね。僕はそういう意味ではポルノ小説派、ラジオ派かもしれません。とはいえ、ハリウッドのVFXもずばりのAVも嫌いじゃないですから「どっちも」派ですかね・・・(笑)

>男の子は、絶対女の子よりも夢見るロマンチスト

間違いないです。

>女は、ワーグナーのリング全曲をCDだけで聴き通したりは絶対にしませんし、聴覚だけが頼りのオペラ鑑賞に、絶対に本気に入れ込んだりなんてなりません

なるほど、確かにそうですね。そんな女を好きになることはないかもしれません(笑)。

>「観て聴く」観音様は、「慈母観音」などという言葉からも示されるように、俗に女性と見る

そういえば観音様は女性ですよね。「音を観る」=ああ、確かに!

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