ヴェルディとワーグナー

すみだ学習ガーデン・さくらカレッジ第7回「早わかりクラシック音楽入門講座」終了。
新年最初の講座は19世紀のオペラ2大巨星ジュゼッペ・ヴェルディとリヒャルト・ワーグナー。秀逸な並大抵でない労作を数多く残した大作曲家について講義をしながら、かつ映像を2時間で紹介してゆくというのは至難の技で、どうなることかと心配したが、終わってみて、何人かの淑女から「オペラというものを初めて観たが、とても感激しました」という言葉をいただきホッとした。ある女性はもともと歌舞伎が好きで、「アイーダ」第1幕の三重唱にことのほか心を奪われたとおっしゃっていた。なるほど、こういう場に自ら進んで参加される方というのは、本当にクラシック音楽については無知で、しかも前向きに学んでみたいという意識の高い方々であるゆえ、今後も自信をもって講座を進行してゆくべきなんだと痛感した。そう、まさにこんな風にしてクラシック音楽愛好家の裾野を広げてゆくという本来の講座の目的が達成されるわけだから、たとえ細々であったとしても継続してゆくことが重要なんだと。

何となくすべてが好転しているように感じる。いや、この言い方は正しくない。元からすべては順調なんだと再確認したという方が良い。教え子の結婚式に出るたびに久しぶりの再会がある。社会でそこそこに活躍する時期に入る連中が多くなってくる時期で、予想もしない話が次々に舞い込んでくる。もちろん僕ができることは全力でサポートしようといつも思っているし、いわゆるチャレンジ精神が沸々と湧き上がってくるのが何より愉快。2012年も最高の年にしようとあらためて決意した次第。

さて、体調不良の中、結局帰宅は午前様。このままでは眠れないので、少しオペラを抜粋で観てみようとテレビの前に居座った。今日の講座でも圧倒的にイタリア・オペラに人気があったが、確かにドイツ・オペラ、特にワーグナーの世界は入門者にはやっぱりハードルが高いことがわかった(ワーグナーを知るきっかけは管弦楽曲から少しずつものにしてゆく方法がいいのかも)。
それにしても迫力のある大画面で見る「アイーダ」は本当に良かった。僕自身も久しぶりに感動した。ということで、ヴェルディのオペラかと思ったものの、天邪鬼精神が顔を出し、結局「神々の黄昏」の最終場面、ジークフリートが死ぬ場面からブリュンヒルデの自己犠牲のところまでを振り返ってみた。嗚呼、これこそワーグナーの毒なり。「愛の救済」の動機の何と感動的なことよ・・・。

ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」(DVD)
ジークフリート・イェルザレム(ジークフリート)
マッティ・サルミネン(ハーゲン)
ヒルデガルト・ベーレンス(ブリュンヒルデ)
クリスタ・ルートヴィヒ(ヴァルトラウテ)ほか
ジェイムズ・レヴァイン指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
演出:オットー・シェンク(1990.4&5Live、メトロポリタン歌劇場)

神話の世界の、ワーグナーのト書きをほぼ忠実に再現したシェンクの演出が最高!ベーレンス扮するブリュンヒルデ、イェルザレムのジークフリートなど、20数年前のニューヨークで披露された舞台は、当時の最高のキャストを揃えてのものだったろうからもちろん言うことなし。強いて言うなら、Blu-ray Discに慣れた視覚にはDVDはもはや画像が荒すぎるので、何とかこのあたりのものをBlu-ray化していただきたいということくらい。

ヴェルディとワーグナー。視聴するシチュエーションと好みの問題はあるが実に甲乙つけ難い・・・。


5 COMMENTS

雅之

おはようございます。

オペラは綜合芸術であり、最高に贅沢なハレの日の娯楽ですので、聴覚同様視覚も極めて重要だと思います。

ご紹介のメトでのオーソドックスなシェンク演出(しかしこのオーソドックスさの実現は奇抜さ創造よりも困難でしょうね)やパルジファルは私も大好きで、オペラの生体験に乏しい私は、この映像とブーレーズ指揮のバイロイトでの斬新なシェロー演出の映像で、指輪を立体的により深く理解したと言ってもよいでしょう。

音楽と演劇の素敵な出会い、それこそがオペラです。

余談ですが、NHKの大河ドラマなんぞ近年はとんとご無沙汰していましたが、今日から始まる「平清盛」の音楽は大好きな吉松隆先生、テーマ曲演奏はやはり大好きな舘野泉先生なので、ぜひ観ようと考えています。
http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/info/index.html
これも音楽と演劇の出会いでしょう。

作曲家が好き、歌手が好き、演出が好き、指揮者が好き、オーケストラが好き、(オーディオが好き)・・・、オペラへのアプローチ方法は実に多様・多面的で、だからこそこの綜合藝術の魅力は汲めど尽きない泉のようなのでしょう。

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雅之

同じくメトでのシェンクによる演出、パルジファルもいいですよね。歌手ではヴァルトラウト・マイヤーのクンドリが素晴らしいと思いました。
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%8A%E3%83%BC-%E8%88%9E%E5%8F%B0%E7%A5%9E%E8%81%96%E7%A5%AD%E5%85%B8%E5%8A%87%E3%80%8A%E3%83%91%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%80%8B-DVD-%E3%83%AC%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%B3-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA/dp/B000793AOM/ref=sr_1_2?s=dvd&ie=UTF8&qid=1325982245&sr=1-2

私は、多くの同世代日本人オペラファン同様、この映像(当時はレーザー・ディスクだった)でパルジファルを学びました。

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。

>オペラは綜合芸術であり、最高に贅沢なハレの日の娯楽ですので、聴覚同様視覚も極めて重要だと思います。

そのとおりですね。少しBlu-rayを収集して浸ってみようとあらためて思っているところです。
とはいえ、相変わらず音だけで聴くのも好きなんですけどね(笑)。
そおうそう、ブーレーズ&シェローの「指環」もいいですよね。僕はLDでしか所有してませんが。

あと、メトの「パルジファル」!!おっしゃるとおりこれも最高ですね。
オットー・シェンクはバランスのとれた演出家だとつくづく思います。

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雅之

>とはいえ、相変わらず音だけで聴くのも好きなんですけどね

私も、ベーレンスの美人顔はぜひとも拝みながら聴きたいけれど、ニルソンの益荒雄顔は御免なので音だけが助かるというのが本音です(笑)。

冗談は顔だけにして(笑)、Blu-rayについては、所有のCDとDVDの95パーセント以上を売却してさっぱりすっきりし、そのお金を全額Blu-ray Disc購入に充当してもよいと、目下真剣に宗旨替えを検討しつつあります。これは別にオペラやクラシック分野のコレクションに限りませんが・・・。そのくらいBlu-ray Disc には長期保存性を含めて魅力を感じており、逆にCD蒐集という長年の生活習慣(病)には心底飽き飽きしています。相変わらず物の総量を減らしたい気持ちは今年になっても益々強いですし、CDは数十年単位の長期保存で考えると劣化し朽ちやすいというのも、どうやら真実のようですし。

さらにBlu-ray Discフォーマットの音声スペックは、30年も前の古い先端技術であるCDを大きく凌駕しており、オペラのソフトの場合、岡本さんみたいに映像鑑賞がいやな時なら、音声だけ流しておいてもCDより理論上は遥かに高音質が楽しめるはずですし(笑)。

また、赤色レーザーで情報を読むSACDについても、青紫レーザーで読むBlu-rayが実用化されている以上、既に技術的には時代遅れだと感じてきましたし、しかも相変わらず一部マニアだけにしか評価されておらず、ユーザー層に拡がりを持てていないことと、ここに来てあれほどSACDには冷たかったメジャー・レーベルが、その「純情な絶滅危惧種マニア?」を狙い撃ちすればいい商売になるとわかった途端、露骨で場当たり的で手の平を返したような積極的販売姿勢に豹変し、そのことに私は強い不信感を持っています。

レコード鑑賞なら、強いて言えばLP+真空管アンプによるセピア色の温もりのある音しか魅力を感じなくなってきましたが、でも消費電力を考えたらこのご時世、それには積極的になれません。

とにかくBlu-ray Discだけは魅力的です。オペラ分野ではレパートリーを拡大でき、高価な実演に行かなくても演出による解釈の違いを家で手軽に高画質で楽しめ理解を深められ、音だけでの鑑賞もCDより高音質で可能とくりゃあ、もう一石三鳥四鳥以上じゃあないでしょうか。物を減らしつつ国家の景気対策、内需拡大にも貢献できますしね・・・。

日本人による青色発光ダイオードの発明は、人類に大きく貢献したと実感しています。
※ついでに、ムジークフェラインのシャンデリアも、白熱電球からLED電球に変えたらいいのにと、今年のニューイヤーコンサートの録画を先程観たとき思いました。

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。
おっしゃることよくわかります。
先日来墨田区の講座で映像を中心に、しかもできるだけBlu-ray Discで鑑賞していただこうと努力するうち自分がはまり出してしまいました(苦笑)。オペラなども輸入盤ですと手軽な価格で手に入りますしね。
それこそ最近の馬鹿高いSACD国内盤には驚きが隠せません。今頃になってと言うのもありますが、確かにBlu-rayディスクフォーマットと比較すると明らかに分が悪いです。1枚に4千数百円を出して過去の名盤をああらためて購入するというのも何だか踊らされているようで・・・。

あとは、Blu-rayのタイトルを今後は大幅に増やしていただくことをお願いしたいところですかね。

>日本人による青色発光ダイオードの発明は、人類に大きく貢献したと実感しています。
同感です。

>ついでに、ムジークフェラインのシャンデリアも、白熱電球からLED電球に変えたらいいのに

なるほど!僕はニューイヤーはあまり好んで観ない方なんですが、Blu-ray時代になってくると必然的に趣味も変わってくるかもしれません。楽しみな時代ですね。

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