緊張感・・・

人前で、それも自分の尊敬する大先輩や先生などを眼前にしてのパフォーマンスというのは通常より一層の「力み」が出て、なかなか最高の状態を提供するのが難しい。他に、評価される場所というのもそう。チェックが入っているとなると途端に浮ついてしまう。人目を気にすることなんて本当はないのに、たとえ年季が入っていてもついつい緊張してしまうのである。
とはいえ、そういう場の力によりかえって普段以上の力量が発揮できるということもある。良い意味での緊張感をもつことはどんな時も大切。そう、緊張と弛緩を意識的にうまくコントロールすることって重要。

マイルス・デイヴィスが「クールの誕生」の後、ハード・バップ路線を歩み始める最初期に録音したフレッシュでホットな傑作であり、彼にとって初のロング・プレイイング・ディスク。ということで、収録時間を気にすることなく「やりたいようにできた」であろうおそらく初のセッション。そのことはのびのびと自由な演奏に現れている。それに、どうやらこのセッションのスタジオにはチャーリー・パーカーが見学に来ていたらしい。おー、それは畏れ多い。相当な緊張感がメンバーに走ったと思われるが、ここではそのことは間違いなくプラスに作用している模様。

Miles Davis featuring Sonny Rollins:Dig(1951.10.5録音)

Personnel
Miles Davis(tp)
Jackie McLean(as)
Sonny Rollins(ts)
Walter Bishop Jr.(p)
Tommy Potter(b)
Art Blakey(ds)

いやはや何とも最高の布陣。まずはタイトル曲”Dig”。60年以上を経過した今でも「音のみ」から十分に熱気が伝わる。この音楽を聴くだけでもこの音盤を手に入れる価値あり。
そして、マイルスのオリジナルの”Denial”の、ブレイキーの荒々しいアップ・テンポのドラム・プレイとやり合うかのような激しいトランペット!!さらに、”Bluing”のスローでメロウなトランペットの語りかけ・・・。

「このレコーディングは、最高の演奏になった。サウンドが自分自身のものになりつつあったから、この『ディグ』は大いに気に入っている。新しい長時間演奏フォーマットは、オレのために発明されたようなものだった」~「マイルス自叙伝」


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。

マイルス・デイヴィス、カラヤン、グレン・グールドなど、LPレコードの隆盛に乗ったアーティストたちの話題が多いですよね。

ジャズ喫茶で煙草の煙に巻かれながら聴くマイルス・デイヴィスか・・・。

名曲喫茶に友人と長く居座って聴いた(聞かされた)カラヤンやグールドのレコード・・・、あの時代の空気、今より綺麗だったのかなあ?

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。

>あの時代の空気、今より綺麗だったのかなあ?

少なくとも聴く我々側の認識としてそういう観点はなかったでしょうね・・・。
目の前の音盤から流れる音楽にいっぱいいっぱいで・・・(笑)。

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