ルイージ指揮NHK交響楽団定期公演:オルフ「カルミナ・ブラーナ」ほか

orff_nhk_luisi_20140125いや素晴らしかった。ファビオ・ルイージほど部分最適と全体最適のバランスがわかっている指揮者は少ないかも。

ほとんど病的なくらいに繰り返されるリズムの応酬。そして原始世界の呪文のような歌詞。神聖なる儀式と俗世間の人間感情が入り乱れる無法の境地。まさに人の根源、深層心理に訴えかける声の狂乱だ・・・。

カール・オルフの音世界は「縦の波動」の権化。これこそ男性優位なる前時代の産物。21世紀の「女性優位の、エヴァの時代」の観点から眺めると時代遅れと感じられなくもないが、古き良きかの時代が思い出されるようで至福のひとときを過ごさせていただいた。

NHK交響楽団定期公演Aプログラム【第1774回】
2014年1月25日(土)18:00開演
会場:NHKホール
オルフ:
・カトゥリ・カルミナ
・カルミナ・ブラーナ
モイツァ・エルトマン(ソプラノ)
ヘルベルト・リッパート(テノール)
ティモシー・オリヴァー(テノール)
マルクス・マルクヴァルト(バリトン)
東京混声合唱団
東京藝術大学合唱団
東京少年少女合唱隊
ファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団

「カトゥリ・カルミナ」を初めて聴いた。ストラヴィンスキーの「結婚」と同様の編成で繰り広げられる歌物語。何より無伴奏合唱の時の真に迫る音楽の虜になった。「エイス アイオナ(永遠に)」という言葉の意味深さ!!各幕の最後に老人たちは喝采するのだ。

ゆかいなり、ゆかいなり、ゆかいなり
これはいい、これはいい、これはいい!

何というエクスタシー・・・。

15分の休憩を挟み「カルミナ・ブラーナ」。まさにリズムの饗宴、メロディの宝庫!!やっぱり僕は第3部「愛の誘い」が好き。こんなにもエロティックな音楽があるのか、思わずそんなことを感じてしまった。

ぼくの胸のまわりには
多くのため息がある
君が美しいので
それでぼくが惨めにいたぶられる
歌よ、伝えよ
歌よ、伝えよ
我が恋人
来ず、と
(対訳:細川哲士)

ファビオ・ルイージ。この人は間違いなく「音楽のツボ」がわかっている。土俗的で原始的な音楽があまりに洗練されて響く様。見事なのだ。終盤に向け加速しながら音楽が昂揚する様。まさに恍惚!!!

終演後の聴衆の熱狂がまた感動的だった。オーケストラがはけた後再びルイージ登場。その時の歓喜といったら・・・。光を見た・・・。

 


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2 COMMENTS

くまがい

おかもとさん、くまがいです。寒い北国に出張御苦労さまです。土曜はお世話様、カルミナ、すばらしかったですね。ルイージはドレスデンと来たときに聞いたのですがブラームス4番で、印象が弱かったですが、いぬいさんがFBでいわれるように、こうした大曲では本領発揮で見事な統率でした。しかしおかもとさんにNHKホールも場所によってはそこそこ聞ける、ということをわかっていただきよかったですが、いつも私の座るブロックより1ブロックセンターよりも自由席だったことをおおのさんに教えてもらって・・十数年経って初めて知ってショックでした。また帰りにまきこさんはイタリア語が出来るのでラテン語も良く分かっておられ、カルミナの歌詞がおもしろく発見があった、とのこと。歌詞も分かって聞いたらもっと楽しめたのでしょう。またぜひご一緒しましょう。

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岡本 浩和

>くまがい様
こちらこそ先日はありがとうございました。
いやあ、素晴らしかった!!ルイージを見直しました。(笑)
それとNHKホールの3階席も意外に良いのに驚き。あわせてありがとうございます。
またよろしくお願いします!

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