昭和の日、心静かにドヴォルザーク

dvorak_kyung_wha.jpg「社会起業家ネットワークの会」主催のワークショップに参加した。既に何かを始められている方、あるいは将来的に何かを始めたいと思っている方など様々な業界業種、立場の方が参加されていた。「社会貢献とは?」「地球環境を大切にするには?」など、旬なテーマを題材に何回かのディスカッションが繰り広げられる。
50名以上の方々が参加されていたのだろうか。少なくともこれだけの人が「社会貢献」、「社会起業」に意識をもっているという証であり、何からどう始めればいいのかわからないが、何かをやらなければいけないと思っている人たちが実に多いということだ。

「では、あなたは何をするの?どういう社会貢献をしたいの?」

就職活動中の学生に「どんな仕事をしたいの?」、「何がしたいの?」と聞くのと同じように、そう質問をされても納得のゆく答を持っている人は以外に少ないかもしれない。結局、ひとりひとり「自分に何ができるのか?」を自問自答して、出てきた答に対して地道に行動を起こしていくということしかないのである。さらには、自分の「想い」に共感してくれる仲間、すなわちネットワークがどれだけあるかが物事を実現させるポイントになるのだろう。

帰宅後、「ワークショップZERO~人間力向上セミナー」のミーティング。間口を広げるために料金や日程のハードルを下げ、ショート・プログラムを開設するのがベターだとか、岡本という人間のブランドをいかに高め、一般に認知していただけるよういかにしくみを作るかが重要だなどなど1時間少々密度の濃い会合だった。後半は自家製野菜だけカレーとサラダを食しながら、結局23:00過ぎまで語り合った。意義ある「昭和の日」。こういう日は心静かにドヴォルザークでも聴いてみるか・・・。

ドヴォルザーク:
ヴァイオリン協奏曲イ短調作品53
ロマンスへ短調作品11
チョン・キョン=ファ(ヴァイオリン)
リッカルド・ムーティ指揮フィラデルフィア管弦楽団

決してメジャーとはいえないドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲は、ブラームスのそれと同様大ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの意見を求めて書かれた「隠れた」傑作である。ボヘミアの土俗的な旋律が所々に溢れたいかにもドヴォルザークらしい作品。そして、メロディスト、ドヴォルザークの真骨頂とでもいうべき「静かな美」を湛える。チョン・キョンファのヴァイオリンは「静かに」血沸き肉踊る。発売当初からあまり評判にならなかった音盤だと思うが、要はムーティー率いるフィラデルフィア管のバックがいかにも鈍いのだ。
それにしても付録で収録されている「ロマンス」は美しい曲である。


4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ご紹介の盤、昔聴いて、独奏、指揮、オケ、録音、共にまったく冴えない駄盤中の駄盤だと思いました。
但し、私はチョン・キョンファの実演を聴いたことがありませんので、彼女の演奏について、岡本さんのようには語れません。チョン・キョンファにドヴォルザークは向いていないと、私はこの録音だけで判断しているのですが、実演はとんでもなく素晴らしいのかも・・・。昨日の晩年のベームの話ではないですが、やはり彼女の実演も、マイクに入らない部分で感動させる要素が多いのではないかと想像します。
こういう実演と録音の落差を考えると、ワルターのベートーヴェンの「運命」やブルックナー交響曲の演奏は「いまいち」だとか、フルトヴェングラーに「田園」は向いていないとか、残された録音だけを聴いて表面的に思い上がったコメントをすることは、実に厚顔無恥で危険な行為だと、思い知らされます。実演を聴いた人からは、「お前に何が分かる」と言われるのがオチです。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
確かにおっしゃるとおりです。僕もこの盤が発売された当初、珍しいレパートリーを録音したものだと早速購入したものの、聴いてみて失望した思い出があります。
それでも彼女の演奏が「マイクに入りきらない」のを前提に、「楽曲だけ」をとにかく素直に聴いてみると、意外にいいなと思えるようになりまして・・・。
やっぱり「実演」を何度も聴いた経験があるからなんでしょうね。
>残された録音だけを聴いて表面的に思い上がったコメントをすることは、実に厚顔無恥で危険な行為
おっしゃるとおりです。

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雅之

こんばんは。
今夜のお題、好きな「竹内まりや」についてコメントしたいのをぐっとこらえ(他の相応しいかたにお任せして・・・笑)、こちらに再コメントいたします。
いつもコメントで引用しまくっているHMVのサイト、知らない内にいろいろな情報が増えていて驚いています。
中でも、平林直哉氏の名エッセイ「盤鬼のつぶやき」が載っているのは、嬉しい限りです。
http://www.hmv.co.jp/search/newssearch/keyword/%94%D5%8BS%82%CC%82%C2%82%D4%82%E2%82%AB/target/NEWS/advanced/1/direction/
なかでも第2回「チョン・キョンファは引退したのか?」の話題には驚きました。ご存じでしたか?私は知らなかったので、大ショックです!
http://www.hmv.co.jp/news/article/901290105/
他にも、第1回「朝比奈は本当にフルトヴェングラーの『ロマンティック』を聴いたか?」、第3回「良いアンコール」、 第7回「ヨウラ・ギュラーを聴く」、第8回「クナッパーツブッシュ1949年のステレオ録音」、 第9回「五味康祐著『オーディオ巡礼』を読む」、第10回「ムラヴィンスキーを愛した大野弘雄さん、逝く」、第11回「ナージャ健在!!!」、第12回「『証言・フルトヴェングラーかカラヤンか』を読む」、第13回「感動の力作『大指揮者カール・シューリヒト 生涯と芸術』」、第15回「イダ・ヘンデルの存在感」など、すべて読みごたえがあり、しかも物凄く勉強になるエッセイでした。これは、素晴らしい情報源の宝庫です。知りませんでした、参りました。 

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
いやいや、堪えずにまりやへのコメント是非お願いします(笑)。「盤鬼のつぶやき」面白いですよね。たまに僕も読んでおりましたが、チョン・キョンファの記事は見落としてました!
マジですか!!これは相当ショックです・・・。確かにしばらく音沙汰ないですからね。それにしても事実だったら一応そういう情報が必ず入ると思うのですが・・・。
第1回の朝比奈は本当にフルトヴェングラーを聴いたかの記事は興味深いですね。僕も以前どこかで誰かが書いた記事を読みましたが(平林さんだったかもしれませんが)、実際には聴いていないという方が信憑性ありますね。

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