どういうわけか真夏ではなく晩夏になると山下達郎を思い出す。
恋や愛をテーマにしながら、この人の歌は必ずしもハッピーエンドでない。恋愛の、人生の酸いも甘いも包括した「すべて」がそこに在るようだ。
いちどは〇〇〇〇〇〇の心で
信じ合〇〇〇〇〇〇りに悲し過ぎる
~「あまく危険な香り」
傷心と信頼と・・・、心の奥底の二元が切ないメロディを伴って歌われる。
僕の輝く未来 〇〇〇〇〇〇て
虚ろな日々 〇〇〇〇〇〇込む
何という朝 〇〇〇〇〇〇と
〇〇〇〇〇〇 燃える心迷わず
RIDE ON TIME 〇〇〇〇〇〇て
〇〇〇〇〇〇送るよ RIDE ON TIME
~「RIDE ON TIME」
山下達郎のすごさは、例えばこの作品においてもRIDE ON TIMEというフレーズを思いつくところ。愛というものが時空を超えるということの示唆なのかどうなのか、そのあたりは知らない。しかしこの、達郎を一躍メジャーに押し上げた楽曲が永遠の名作であることは間違いない。
そしてまた、人間の、男の弱さもすんなりと開示する潔さ。
〇〇〇〇〇〇打ち解けあい
永遠の愛〇〇〇〇〇〇
僕の心 〇〇〇〇〇〇
〇〇〇〇〇〇ね
僕のこと
~「潮騒(The Whispering Sea)」
アラン・オデイとの共作の中でもベストだと達郎自身がいう”Your Eyes”はやっぱり美しい。もともとは竹内まりやのために作った作品だそうだが、ボツられたために自分でやることにしたのだとか。土岐英史による間奏のサックス・ソロが哀愁を帯び素敵。
とはいえ、何といっても嬉しいのは”9 Minutes Of Tatsuro Yamashita”と題するボーナス・トラック。この作品のリリースの経緯は達郎自身の解説に詳しい。
1982年にアルバム「FOR YOU」を発売した際、プロモーション用にピクチャー・レコードを作成した。そのB面用に遊びで作ったのがこの「9ミニッツ~」と題した編集テープだ。それまでの自分の作品をBPM(「BEAT PER MINUTE」は曲のテンポを表す)順に整理し、13曲を切り貼りして2日がかりで作った。元の素材に一切手を加えずに編集したものなので、いわゆる「マスター・ミックス」とも少し違う。
~山下達郎自身の書き下ろしライナーノーツ
BPMだけによらず、コードもきちんと考えて並べられているところが職人達郎の粋!
30余年を経ても山下達郎は「新しい」。
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