ハーゲン四重奏団 モーツァルト 弦楽四重奏曲第8番ヘ長調K.168(1988.6録音)ほか

□あなたは、執筆の際は、それを毎日の決まりきった作業としておやりになるのですか?

そうですね。執筆は実にウンザリする作業です。で、嘘とお思いになるかも知れませんが、私はすごい怠け好きです。すごく怠け者なんです。イスにすわって窓の外を眺め、何もしないで夢を見ているのが大好きです。うんと子供の頃から、それが一番好きでした。映画と演劇の仕事をやめたら子供時代に戻って、すわって眺めて夢を見ていたいというのが私の希望です。
しかし、毎日の生活では、私は自分に厳しいルーティン・ワークを課することにしています。毎朝7時に起き、散歩に出ます。たぶんご存じないでしょうが、私はバルト海のど真中の、ソヴィエトへもスウェーデン本土へも130キロメートルという小さな島に住んでいます。人口は5百人。私の散歩は1時間ほどですが、誰とも話をしたくありません。そのまま自分の部屋へ入ります。あらゆる物品が、学者の書斎然と、キチンと整頓してあります。私は仕事机に就いて3時間か—まあ2時間ほど執筆します。電話は一切お断り。それから昼食。これはいつも同じです。午後も2時間ほど仕事をします。毎日、このくり返しです。ただし、日曜日は仕事をしません。

ウィリアム・ジョーンズ編/三木宮彦訳「ベルイマンは語る」(青土社)P37-38

怠け者だと分かっているからがゆえのメリハリだろうと思う。
このルーティンと、その継続が何よりの傑作を生む。

ハーゲン四重奏団 モーツァルト ディヴェルティメントニ長調K.136(125a)(1990.3録音)ほか

少年ヴォルフガングが退屈しのぎに書いた弦楽四重奏曲たち。
もはや片手間とは思えない完成度に呆れるほど。
天才は、本より天才であり、本人の自覚通り、ピアノの教師をやっている場合ではなかった。自身のインスピレーションに沿って作品を生み出すことだけを生業にすべきであることをおそらく彼はこの時点でわかっていたと思う。

6つの四重奏曲K.155-160は。1772年後半から73年初頭にかけてミラノで作曲されました。それぞれが3つの楽章で構成されており、当時のイタリアの作曲技法に倣っていて、外声部(高音と低音)が旋律と和声の枠組みを作り、内声部が「埋め」を担うという、シンプルなテクスチュアに拠っています。これらの作品の表現法は概して複雑ではありませんが、10代のヴォルフガングは、すでにより深遠な表現を目指そうとしていることがわかります。例えば、K.156-59の緩徐楽章では、最後のパートにおいて、テクスチュア、音域、ムードなどを強く制御せんとするパッセージが特徴になっています。
(ジョン・アーヴィング)

環境に照らし、倣うも、同時に内なる信念を採用する革新。
モーツァルトの天才は、いつどこにでも飛翔する。

モーツァルト:
・弦楽四重奏曲第4番ハ長調K.157(1772)(1989.1録音)
・弦楽四重奏曲第5番ヘ長調K.158(1772)(1989.1録音)
・弦楽四重奏曲第6番変ロ長調K.159(1773)(1989.1録音)
・弦楽四重奏曲第7番変ホ長調K.160(159a)(1773)(1988.6録音)
・弦楽四重奏曲第8番ヘ長調K.168(1773)(1988.6録音)
ハーゲン四重奏団
ルーカス・ハーゲン(第1ヴァイオリン)
ライナー・シュミット(第2ヴァイオリン)
ヴェロニカ・ハーゲン(ヴィオラ)
クレメンス・ハーゲン(チェロ)

ハーゲン四重奏曲の演奏は、この頃からすでに重みがある。
モーツァルトの初期作品には、清廉さと純粋な思念が刻み込まれ、明朗快活な音調が、10代のヴォルフガングの(ある意味)幸福を物語るようにも思える。

ハーゲン四重奏団 モーツァルト 弦楽四重奏曲第16番K.428(1999.4&5録音)ほか ハーゲン四重奏団 モーツァルト アイネ・クライネ・ナハトムジークK.525(1994.4録音)ほか ハーゲン四重奏団のモーツァルト アダージョとフーガK.546(2000.11録音)ほかを聴いて思ふ ハーゲン・クァルテットのモーツァルト四重奏曲K.499(2000.8録音)ほかを聴いて思ふ ハーゲン・クァルテットのモーツァルト四重奏曲K.499(2000.8録音)ほかを聴いて思ふ

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