The Beatles “1+” (Deluxe Edition)を聴いて思ふ

the_beatles_1+395ジョン・レノンのあの悲惨な暗殺の背後には合衆国当局が絡んでいるという話がある。
時まさに極右のレーガン政権が誕生しようとしていた前夜であり、5年間の隠遁生活からレコーディング活動に戻ったレノンが同時に戦闘的な左翼活動を再開しようとしていたことから、CIAがマーク・チャップマンなる人物をマインド・コントロールし、殺させたというのである。
果たして真相はわからない。
それでも、妄想のようなこの論に僕はどうにも説得力を感じてしまう。

1980年12月8日月曜日夜、ジョン・レノンは天に召された。
その日の午後に行われたインタビューが悲しい。

ぼくらは生きるか、死ぬかしかありません。死ぬなら、死と対処しなければならないし、生きていくなら、生と対処しなければならないのです。だから、ウォール街や黙示録が大きなけものの形をとってやってくるのではないかと心配などしていたら―楽しい日々は送れません・・・。
(中略)
ぼくらには、これが本当のスタートのような気がしています。つまり、『ダブル・ファンタジー』がです―これがぼくらの第一アルバムなんです―ぼくらは前にも一緒に仕事をしています。前にも一緒にアルバムを作っています―だけど、これがぼくらの最初のアルバムみたいな気がするんです。ぼくは、きょう以前にはなにもなかったような気がするんです・・・。
フェントン・ブレスラー著/島田三蔵訳「誰がジョン・レノンを殺したか?」(音楽之友社)P230

すべてが夢であった(ある)と歌うジョンの言葉は重い。
過去のすべては洗い流され、そこには何もなく、あるのはただ今だけ。

2000年に発売された”1”と称するビートルズのベスト・アルバムがリミックスされ、その上、大量のビデオ・クリップをメインにし、”1+”としてリリースされた。一層鮮明になった映像に感動した。複数のバージョンのある作品も中にはある。そのすべてが貴重であり、半世紀近くも前のバンドであることを忘れ、思わず集中した。

The Beatles:1+ (Deluxe Edition)

Personnel
John Lennon
Paul McCartney
George Harrison
Ringo Starr

この世のすべてが夢であると言い切るレノンは正しかったのかも。
そして、僕たちはいつまでもその夢にすがるのである。それも良し。
人は夢を見続ける生き物だから。

神なんて
苦悩の度合いをはかる
観念にすぎない
繰り返して言おう
神なんて
苦悩の度合いを
はかる観念なのさ
魔法なんて信じない

夢は終わった
何を言えばいい

夢は終わった
昨日でおしまい
僕はずっと夢織人だったけど
やっと生まれ変わった
”God”(神)(対訳:山本安見)

ジョージも世を去った今となっては、もはやビートルズを見ることはできないのだけれど、せめて残された音楽と映像に浸ろうか。

 

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2 COMMENTS

雅之

やはりそう来るとありきたりな発想だけどずばり岡本さんの読み通りイマジンでしょう
でも改めてこの歌だってこれからの世界の人々に絶対必要なんじゃない?

Imagine / John lennon 

想像してごらん 天国なんて無いんだと
ほら、簡単でしょう?
地面の下に地獄なんて無いし
僕たちの上には ただ空があるだけ
さあ想像してごらん みんなが
ただ今を生きているって…

想像してごらん 国なんて無いんだと
そんなに難しくないでしょう?
殺す理由も死ぬ理由も無く
そして宗教も無い
さあ想像してごらん みんなが
ただ平和に生きているって…

僕のことを夢想家だと言うかもしれないね
でも僕一人じゃないはず
いつかあなたもみんな仲間になって
きっと世界はひとつになるんだ

想像してごらん 何も所有しないって
あなたなら出来ると思うよ
欲張ったり飢えることも無い
人はみんな兄弟なんだって
想像してごらん みんなが
世界を分かち合うんだって…

僕のことを夢想家だと言うかもしれないね
でも僕一人じゃないはず
いつかあなたもみんな仲間になって
そして世界はきっとひとつになるんだ (対訳:小宮やすゆう さん)
http://ai-zen.net/kanrinin/kanrinin5.htm

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岡本 浩和

>雅之様
はい、どんぴしゃです!
でも、天邪鬼の僕はあえて出しませんです。(笑)
ぐうの音も出ません。
ありがとうございます。

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