KING CRIMSON THE ELEMENTS TOUR JAPAN 2015

king_crimson_20151209396とても良かった。
はずなのに、何か腑に落ちない。
確かに古の傑作の波状攻撃だったのだけれど、どういうわけか僕的に満足感が薄い。
期待が大き過ぎたというのもあるのかも。
僕にとっては20年ぶりのキング・クリムゾン。
しかし、都度「形」の変容するバンドゆえ、今回が初のキング・クリムゾン体験だと言っても良い。何より70年代の名曲の数々が目の前で演奏されたという奇蹟。そして、そこには間違いなくフリップ御大がいたという事実。
それだけで本望なはずなのに・・・。

僕は太古の異教徒の舞踊を表現するかのようなあの黒魔術的な、どろどろした音のうねりとエネルギーが欲しかったみたい。しかし、そこにあるのはどうにも能天気な、機能が分断された、意味深い音楽が皆無の、無機的な音楽が広がるだけだった(ように感じた瞬間多々)。いわゆる懐メロ大会。それはそれで嬉しいし、楽しいし、また感動もしたのだけれど、何かが不足していた。
何だかとてもあっけなかった。

予定より押し、開演は19時15分。
“Peace-An End”が流れ、”Pictures of a City”になだれ込み、続いて”Epitaph”が演奏された時には確かに涙がこぼれた。震えた。
それでも、もはやこれ以上感傷に浸るのは止そうと思う僕がいた。
そして、たった今の目の前の、現在のキング・クリムゾンに注力しようと心に誓った。

KING CRIMSON
THE ELEMENTS TOUR JAPAN 2015
2015年12月9日(水)19時開演
Bunkamuraオーチャードホール

Personnel
Robert Fripp (guitar)
Mel Collins (saxes, flute)
Jakko Jakszyk (guitar, vocals)
Tony Levin (basses, stick)
Pat Mastelotto (drums)
Gavin Harrison (drums)
Bill Rieflin (drums)

Setlist
・Peace – An End
・Pictures of a City
・Epitaph
・Radical Action (To Unseat the Hold of Monkey Mind)
・Meltdown
・Level Five
・A Scarecity of Miracles
・Hell Houns of Krim
・Easy Money
・Red
・Interlude
・Letters
・Larks’ Tongues in Aspic, Part II
・The Court of the Crimson King
・21st Century Schizoid Man
~アンコール
・Devil Dogs of Tessellation Row
・Starless

“Radical Action”も”Meltdown”も、そして”Level Five”も素晴らしかった(どちらかいうとこういう新しい楽曲の方に分があったかも)。
特にインストで彼らが見せる堂々たる風格と技量に感動した。そして、ジャッコ・ジャクスジクの歌は相応にうまかった・・・。
また、一切のMCなく、淡々と音楽だけが奏でられる、まるでクラシック音楽コンサートのような運びにフリップ御大の自負と余裕を思った。
その上、今宵の聴衆はまったくお行儀が良い。

それにしてもトリプル・ドラムの効用というのは何なのだろう?
少し、ほんの少しだけれど、ドライブが効きすぎるというか、うるさいというか・・・。
あの無機的金属音的な響きに少々疲れた。
一方、さすがにメル・コリンズのフルートやサックス・プレイは得も言われぬ抒情を醸しており、もっと聴きたかったくらい。記憶がもはや曖昧なのだけれど、”Epitaph”の間奏をフルートではなくソプラノサックスに代えて演奏していたのが興味深かった。
ただし、”Red”における中間部のベースにサックスをかぶせるのは余計かな・・・。

それでも後半、” Larks’ Tongues in Aspic, Part II”以降、怒涛の名曲群目白押しには失禁しそうになったり・・・(笑)。
アンコールは”Starless”。フリップ御大がギターで奏するあの哀愁の主題に釘付けになり、後半部の超絶インスト・シーンにのけ反った。

終演はきっかり21時15分。
周囲の盛り上がりとは裏腹に終始客観的な僕がいた。
ちなみに、今回のツアーではセットリストが毎回変わる。
なんやかんや言いながら、そうなると、他の日にも足を運びたくなるのが人情。
“Larks’ Tongues”のPart Iも聴いてみたかった・・・。

 

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3 Comments

岡本浩和の音楽日記「アレグロ・コン・ブリオ」

[…] キング・クリムゾンの、2015年の来日公演の観客席で、懐かしさと感動を覚えながらも一方で、いまひとつ納得できない感情が僕の内側にひしめいていたことは、その夜の記事にも書いた。あれは一体何だったのか、今さらながらわかった。 それは、予定調和に対する抗いだった。もちろん緻密なリハーサルを重ねてステージにかけるというのが彼らの常套手段であることは自明。しかしながら、あくまでライブにおいては相応の、というより驚くような「事故」、つまり、即興的振舞いが彼らの本来のトレードマークであるのに、そういうギリギリの危ない橋を渡るシーンがほぼなかったことが、僕の不満の原因だったのである。 […]

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