Led Zeppelin “Presence” (Deluxe Edition 2015)を聴いて思ふ

led_zeppelin_presence_deluxe_editionいまここにあることの幸福。
存在という不思議。
そこに在るというだけでエネルギーを発するものもあれば、何もないかのように気を消すものもある。しかしながら、れっきと「ある」のである。
その最たるものが「空気」。
生きとし生けるものは呼吸なくして存在せず。そして、すべての存在が無意識に分かち合うものが「空気」なのだ。

ジミー・ペイジがリマスターを施した傑作「プレゼンス(2015デラックス・エディション)」にはThe Companionと称するディスクが付されている。そこには”10 Ribs & All / Carrot Pod Pod (Pod)”なる未発表曲が収録されているが、このインストゥルメンタル・ナンバーがこれまた哀愁溢れる絶品。
前半、ジョン・ポール・ジョーンズのピアノ・ソロの虚ろな響きに涙しつつ、後半、ギターやドラムスが遠慮がちに奏されてからの協調。ロック音楽の範疇を超え、レッド・ツェッペリンのアコースティックでメロディアスな側面が十全に発揮された美しさにひれ伏す。これぞ「存在」の確信。いまここにあることの幸福。

Led Zeppelin:Presence (Deluxe Edition 2015)

Personnel
John Bonham (drums, percussion)
John Paul Jones (four and eight-string bass guitars, piano)
Jimmy Page (guitars, production)
Robert Plant (lead vocals, harmonica)

あるいは、”Two Ones Are Won”と題する” Achilles Last Stand”の別ミックスに心動く。
複雑なオーケストレーションの味わい深さとペイジの圧倒的なギターから繰り出されるフレーズの爆発と解放。
2015年リマスター・ヴァージョンの底力を実感する。音像が実に鮮明で、個々の楽器の重量級の音が聴く者を刺激する。
いまだに色褪せないツェッペリン・マジック。中でもこの「プレゼンス」というアルバムは、プラントが事故によって一時期グループを離れたとはいえ、4人の奇蹟をあらためて知らしめる至高の作品。もはやこれ以上のものはない。
言葉で語ることのできない存在感。
空気なくして音楽は存在せず。

 

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3 COMMENTS

雅之

>存在が無意識に分かち合うものが「空気」なのだ。

C21H23NO5 またの名を「ヘロイン」。
空気の組成から再合成させるとヘロインが出来上がります。

『「快」の面でも「悪」の面でも最高峰に位置するものとして、「薬物の王者」(The king of drug) の代名詞を持つ』というヘロイン。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%B3

ヘロイン無しに、このアルバムは完成しませんでした。そう考えると、「精神」と「心」の境界線はじつにファジーだと思います。古来から宗教でも麻薬や酒を積極的に用い、信者たちをトランス状態にしました。

勿論、このアルバムが「最高峰」のひとつだということに異論などありません。

返信する
雅之

訂正 『「物質」と「精神」の境界線はじつにファジー』 でした。私も現在「正月アル中」中で、大変失礼しました。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
相変わらずの「冴え」ですね!
本文からヘロインを想像し、「物質と精神の境界線」の曖昧さに言及されるところは見事です。
「正月アル中」中とは信じられません。(笑)
むしろ、昨夜の僕の方が確実に「アル中」中でした・・・(爆)

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