
懐かしい響き。しかし、それは決して古びた音ではない。
いまだに新しく、そして聴くほどに新たな発見がある。
哀愁溢れるドン・ヘンリーの声、また、男らしさを印象づける甘いグレン・フライの歌、そして、ランディ・マイズナーの高音シャウトがこのバンドの多様性と一貫性を見事に表す。コンセプトに一切のずれがなく、一致団結してアルバムを創造する力の漲る傑作だ。
何よりメンバーの一体感が素晴らしい。それぞれがリード・ヴォーカルをとるどの楽曲も佳作。しかも、アルバムとしての仕上がりは一分の隙もなく、音楽の流れもテンションも、どこをどう切り取ってもまったく人後に落ちない。セカンド・アルバムの時点でこれほどの完成度を誇るなら、彼らがアルバムを発表毎に関係がギスギスし出し、いずれ近いうちに崩壊するのは目に見えていたことだろう。
栄枯盛衰。始まりがあれば終わりがある。同時に、終わりがあればまた新しい始まりがある。
Personnel
Glenn Frey (acoustic and electric guitars, vocals; keyboards, harmonica)
Don Henley (drums, vocals; acoustic guitar)
Bernie Leadon (electric and acoustic guitars, vocals; banjo, mandolin, dobro)
Randy Meisner (bass guitar, vocals)
たぶん、終わりの始まりのマスターピース。
だからこそ、哀しいのである。
一つの新しい概念にまで伸展した人の心というものは、もとの次元に戻るということは決してない。
(オリヴァー・ウェンデル・ホームズ)
マイズナーがリードをとる”Certain Kind Of Fool”の確信、そして、リードンがリードをとる”Bitter Creek”の暗い抒情。アコースティックな音調が堪らない。
われわれは探究をやめるべきではない。
われわれの探究の終るところからわれわれの出発がはじまり、
その時その場所をはじめて知るのだ。
(トマス・スターンズ・エリオット)
ラストにリプライズされる”Doolin-Dalton / Desperado”の言葉にならない美しさ。特に、”Desperado”の、リピートされるコーラスの迫真の響きは涙もの。
わずか35分ほどとはいえ、音にまったくのぶれが感じられない完全さ。
改革が必要だ? それがお前の手で?
必要とされる改革が大きければ大きいだけ、それを達成するために
お前に必要とされる《個性》も大きいのだ。
「ある弟子に」
~木島始編「対訳 ホイットマン詩集」(岩波文庫)P169