大和魂

yuasa_joji.jpg友人が「和職人カフェ」なるイベントを開催するというのでお邪魔した。第1回となる今回のテーマは、「折り紙・折鶴に見る日本文化」というもの。御茶ノ水にあるおりがみ会館(そんな会館があったとは!)の先生に講師としていらしていただいて、折り紙の歴史や和紙と日本文化、日本人はなぜ鶴を折るのか?折り紙といえばなぜ鶴なのか?などを懇切丁寧に解説いただき、さらには実際に特製のコーティングされた和紙を使用してカードケースの作成まで教えていただいた。
わずか2時間ほどの会合ではあったが、日本古来の文化の奥深さに多少なりとも触れることができ、有意義な時間であった。

とはいえ、都営三田線・白山駅最寄の一見風情のある会場は・・・・正直つらかった。何でもかつて遊郭であった家をほぼそのままの形で残し、貸し和室スペースとして使っているのだとか・・・。うーん、イベントのコンテンツをより良いものにすることは当然のことだが、会場に関してもその場の「気」が安定した良い場所を選べばもっと良かったろうにと残念に感じた。

鶴は古来よりその姿の優雅さから吉祥のシンボルだったとのこと。そして帝は新年の祝いに必ず鶴を食し、それが適わない庶民は折鶴を作ることで祝ったのだということを聞いてとても勉強になった(帝が鶴を食べていたというのは驚きだったが)。

日本人が本来もっている「日本人らしさ」、繊細な感性は見事である。あまりに西洋化され、「らしさ」を忘れる昨今、いま一度「和」に還ってみるのも意義あることだろう。

湯浅譲二作品集
・「シーズン・フロム・バショウ」~芭蕉の句による音楽(1980)
・筝歌、芭蕉五句(1978)
・内触覚的宇宙第3番 虚空(1990)
・弦楽四重奏のためのプロジェクションⅡ(1996)
沢井忠夫(唱と筝)、沢井一恵(十七絃筝)、吉村七重(二十絃筝)、三橋貴風(尺八)
尾高忠明指揮東京フィルハーモニー交響楽団
ニューアーツ弦楽四重奏団

日本伝統文化の折り紙は、幾何学や数学、物理学的思考がその根底にある。いよいよ時代がユアサに追いついた。湯浅譲二の音楽は、図形的に音を表記した「グラフィックスコア」を基にするらしい(「グラフィックスコア」が何たるかを音楽的専門知識を持たない僕は説明しかねる)。特に、芭蕉の俳句からインスパイアされて書かれた楽曲は、まさに「大和魂」を髣髴とさせる人間と宇宙の一体化を喚起する。

冬の日や 馬上に氷る 影法師
荒海や 佐渡によこたふ 天の河


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
大昔、中学~大学時代に愛聴していたラジオ番組のひとつに、NHKーFMで夜やっていた「現代の音楽」がありました。番組のテーマ曲は「音楽の捧げものより、6声のリチュルカーレ」(バッハ作曲 ウェーベルン編曲)で、これは雰囲気ぴったりの選曲でした。今思いだしても当時の新進気鋭の日本の作曲家作品の芸術の香りに、ゾクゾクする番組でした(現在もこの番組、やっているのかもしれませんが、FM放送には、多感だった昔ほどときめかなくなっていますので、あえて聴いてみたいとは思いません)。それにしても当時FM放送は、貴重な音楽の情報源でした。
湯浅譲二作品、「芭蕉の句による音楽」なども、この番組で知りました。混迷の現代にこそ、改めて聴いてみたい作品のひとつです。今、洋魂和才より和魂洋才が求められる時代になってきていると思います。西洋音楽の純粋なソナタ形式だけでは現実は描ききれません。何でも西洋的な二項対立的思考でものを考えることは、今回のオバマの大統領就任演説にも象徴されるように、これからは古くなり、流行らなくなるでしょう。
ついでに言えば、正義と悪の定義だって、実は怪しいものです。先日の話題の続きですが「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」という番組の真に凄かったポイントは、それまで勧善懲悪ものが主流だった、たかが子供番組のこのジャンルで、人類が本当に「正義」で、町を壊す怪獣や侵略してくる宇宙人が本当に「悪」なのかということを、観る者に、しばしば考えさせたところにあります。そして「正義」と「悪」が入れ替わることさえありました、モーツァルトの「魔笛」みたいに・・・。
私も近頃、禅の世界に惹かれるし、展覧会に行くときも、洋画より日本画志向になってきました。
私たちは、今こそ昔からの日本文化をもっと誇りに思い、世界にその奥深さを積極的に発信するべきだと思います。共産主義でもない、金融資本主義でもない、新しい価値観の社会システムを構築するためにも・・・。

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岡本 浩和

雅之様
こんばんは。「現代の音楽」、懐かしいですねぇ!!
僕もかつてはNHK-FMをよーく聴いておりました。雅之さん同様最近はFMはまったく聴かなくなってしまいましたが。
>今、洋魂和才より和魂洋才が求められる時代になってきていると思います。
おっしゃるとおりですね。これからは日本人が本来の心を取り戻し、各々がやるべきことをやっていかなければなりませんね。
>「ウルトラマン」や「ウルトラセブン」という番組の真に凄かったポイントは、それまで勧善懲悪ものが主流だった、たかが子供番組のこのジャンルで、人類が本当に「正義」で、町を壊す怪獣や侵略してくる宇宙人が本当に「悪」なのかということを、観る者に、しばしば考えさせたところにあります。
そうそう、それもagreeです。
>今こそ昔からの日本文化をもっと誇りに思い、世界にその奥深さを積極的に発信するべき
いいですねぇ、がんばりましょう!!

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