史上最大の侵略

schumann_argerich_kord.jpg第23回「早わかりクラシック音楽講座」終了!
今日も楽しく皆様と過ごせ、終わった後の宴も絶好調。例によって詳細は後日に譲りますが、ロベルト・シューマンの凄さとクララ・シューマンの甲斐甲斐しさ、そしてヨハネス・ブラームスの謙虚な優しさをあらためて痛感したひと時でした。
メインの楽曲は、ピアノ協奏曲イ短調作品54。事前の資料作りでどの音源を使おうかと思案した挙句、選んだのがアルゲリッチがチョン・ミョンフン&フランス国立放送フィルと2001年に録れた実況録音盤。タワーレコードから1,000円で発売されているという魅力から選定したが、結果的には失敗。演奏は決して悪くない。というより素晴らしいはず。しかし、アンプのボリューム・レヴェルを12時にまで上げてもいまいち伝わってこない。要は、音圧が極めて低く、環境を削ぐ陳腐な音なのだ(おそらく一般市販を前提にしていない録音なのだろう)。第1楽章を終えたところで我慢ならず、受講の皆さんにお許しを得て、別の音盤に代えさせていただき、あらためて第1楽章から聴きなおした。これが本当に素晴らしい!録音のレヴェルも臨場感も申し分なし。聴き比べの醍醐味をみんなでリアルに味わった感じ。で、誰の演奏を聴いたかというと、

シューマン:ピアノ協奏曲イ短調作品54
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
カジミェシュ・コルト指揮ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団(1979.12.5-8Live)

同じくアルゲリッチが1979年に行った演奏会のライブ録音。38歳という脂の乗り切った時期の彼女の演奏は壮絶そのもの。カップリングされているチャイコフスキーの協奏曲は空前絶後の名演だと思うが、このシューマンも絶品!少なくともCDで聴く限り、録音環境や録音方法などが多大な影響を与えるのだということを本日再確認した。まるで演奏のレヴェルまでもが違うように聴こえる。感動も全く別物。
そしてさらには、38歳のアルゲリッチと60歳のアルゲリッチの演奏解釈にほとんど変化がないことにまた驚かされた。若くしてすでに自分のスタイルを確立し、自分が納得する曲だけを何度も繰り返すというスタイル。そして、いつどんな状況でも変わりなく名演奏を繰り出す正確さ(ほとんど数秒違わず同じタイミングで演奏されていることを考えると驚異的だ)。これはかのカルロス・クライバーやエフゲニー・ムラヴィンスキーと肩を並べる。まさに天才ここにありという感じ・・・。

ちなみに、今日の講座はシューマンが精神を病んで亡くなるというところで終了した。クララを軸に考えると、この後ブラームスとのロマンスが待っているのだが、それについては次回のお楽しみということでお開き。懇親会では自家製お好み焼きと焼きそばをつつきながらワイワイがやがや。
そして、皆様のたっての希望で「ウルトラセブン」最終回を鑑賞。ダンとアンヌの例のシーンでシューマンのこのコンチェルトが使われているっていうことは意外に知られていないよう。涙が出るほどの感動的な場面で流れるシューマンのこの名曲はほんとにピッタリ!一同で涙に咽びながらあっという間の30分。最高です。
ロベルト・シューマンとクララ・シューマン、そしてヨハネス・ブラームスの関係は世にも不思議な、そして必然の三角関係。一体真相はどうだったのか・・・?
その話題で随分盛り上がった3時間。人間、そして恋愛、人生について語り始めると尽きないです。(しつこいか・・・?!笑)


4 COMMENTS

テツ

おかちゃん。
こんばんは。今回はいけなくて残念でした。
ウルトラセブンの最終回見たかったです。
クラシックが効果的に使われていた記憶はありましたが、当時はクラシック自体にはあまり興味がなかったために、何の曲かまでは追求していませんでした。シューマンのピアコンだったのですね。

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岡本 浩和

>テツさん
こんばんは。
今日はいらしていただけなくて残念だったです。ともみさんからお話は伺いました。シューマンのピアコンお好きだそうで。
良いですよねぇ、この曲。ただ、今日の講座でも判明したんですが、なかなかとっつきは悪いみたいで・・・。確かに何度も聴くうちに好きになるっていう音楽かもしれませんね。
ウルトラセブン、思わず泣きそうになったくらいです。もう繰り返し何度も観ているんですが・・・。
ぜひまたいらしてください。その際鑑賞しましょう!

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雅之

おはようございます。
ロベルト・シューマンとクララ・シューマン、そしてヨハネス・ブラームスの三角関係、我々は男なので、ロベルト・シューマンやヨハネス・ブラームスの側から考えがちですが、現代においては、女性のクララ・シューマンからの視点をもっと考えるべきでしょうね。
ちょっと思い出したのは、去年のNHKの人気大河ドラマ『篤姫』です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AF%A4%E5%A7%AB_(NHK%E5%A4%A7%E6%B2%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E)
クララ・シューマン=篤姫(宮﨑あおい)
ヨハネス・ブラームス=小松帯刀(瑛太)
ロベルト・シューマン=徳川家定(堺雅人)
うーん、ちょっと似たシチュエーションです!
近頃は女性作曲家としてのクララ・シューマンについての研究も進んでいるようで、この分野にとても興味があります。ベーンホーヴァーによるクララ・シューマンのピアノ作品全集(3枚組)など、私のCDのコレクションもかなり増えました(この分野に興味を持てたのは、岡本さんの「講座」のおかげです。感謝!)
作曲家クララ・シューマンでは、こんなサイトを見つけました。いやー、世の中進んでますわ。私も、もっと勉強しよっと!
http://www.clara-schumann.net/index.html
http://www.clara-schumann.net/works/pfwork20.html

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>現代においては、女性のクララ・シューマンからの視点をもっと考えるべきでしょうね。
おっしゃるとおりです。昨日も話題が「三角関係」に及んだ際、先日のブログにも書いた、ロベルトが療養所に入ってから2年半もの間会わなかったことについて何故だと思うかなど、あえて女性参加者の方に「女性としてご意見」を聴きました。
ここでは長くなるので省きますが、男からすると「なるほど」と思わせられる意見もあり面白かったですね。
「篤姫」は残念ながら観ていないので、何とも言えないですが・・・。
ご紹介のサイト、僕も最近発見して「すごいなぁ」と思っていたところです。今回の講座でシューマンを採り上げたお陰で作曲家としてのクララにも興味をもつようになりました。まだ音盤は所有しておりませんが、今後僕も勉強いたします。
>この分野に興味を持てたのは、岡本さんの「講座」のおかげです。感謝!
こちらこそいつもありがとうございます。僕も雅之さんのコメントに刺激を受けて、日々精進しております。こういう影響を与え合うことって素晴らしいですね!

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