明るく元気に、そして素直に

strauss2_alban_berg.JPG良い天気。少しずつ「春」に近づきつつあることがよくわかる。
こんな日に相応しいのがウィンナ・ワルツ。毎年正月に催されるウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートはつとに有名だが、僕自身は特にワルツ好きとはいえず、それほどあの演奏会が面白いものだと思えないので、ほとんど観ないし、音盤を買って聴くこともない。いつか本場のムジークフェラインで聴く機会があったら、一度実演では聴いてみたいが、それでも指揮者がズービン・メータやリッカルド・ムーティだったら行く気は失せてしまう。聴かずもがな、だから。とはいえ、カルロス・クライバーが2度だけ出演した回の映像はLD時代から愛聴しており、こういう音楽を振らせてもやっぱりカルロスはカルロスで天才なんだということがよくわかり、今でもたまに映像を観て悦に入ることがある。

夜、恵比寿の韓国料理屋でEと会う。サシで食事をするのは初めて。人間って誰もがそれぞれに悩みを抱えていて、それを聴いてくれる、あるいはわかってくれる仲間を求めている。家族のこと、仕事のこと、人生のこと。それでも人はそれぞれ役目を担って「今を生かされている」わけだから、めげずに自身を振り返り、ともかく全うすることが大切だと僕は思う。それにしても、10年以上続けている「趣味」がないというのは寂しいことだ。継続は力なり、塵も積もれば山となる。どんなことでもやり続ければそれが生業と化していくのだから、趣味を侮るべからず。

シュトラウス&ランナー:ワルツ、ポルカ集
・ヨハン・シュトラウスⅡ:宝石のワルツ作品418(ヴェーベルン編)
・ヨハン・シュトラウスⅡ:ワルツ「酒・女・歌」作品333(ベルク編)
・ヨハン・シュトラウスⅡ:皇帝円舞曲作品437(シェーンベルク編)
アルバン・ベルク四重奏団
アルフレッド・ミッターホーファー(ハルモニウム)
ハインツ・マジィモレッツ(ピアノ)
ヴォルフガング・シュルツ(フルート)
エルンスト・オッテンザマー(クラリネット)

この音盤に収められている、新ウィーン学派の作曲家たちが化粧を施したワルツたちはお洒落で、イカす。新しい何かを生み出す人たちってやっぱりセンス抜群なんだと実感させられる、それぞれ個性豊かな名編曲。ひょっとすると原曲よりも素晴らしい出来かもと思わせられる瞬間が多々あるのだ。シェーンベルクも、ベルクも、そしてヴェーベルンもだてに現代にその名を残しているわけではない。天才ははじめから天才だったわけじゃない。地道な努力の賜物なのである。それはどの世界にも通ずること。

週末の信楽町文化協会主催「早春おしゃべりクラシックコンサート」、そして17日の滋賀ダイハツ社内塾講演会のため明日から帰省する。またもやブログが滞るかもしれません。あしからず。


4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
今回も、滋賀でのご活躍、ご成功をお祈りいたします。
ご紹介の盤は未聴ですが、新ウィーン学派の作曲家たちが化粧を施したワルツ、私はボストン響室内アンサンブルの演奏したDG盤しか持っていません。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1787526
しかし、ご紹介の盤のほうが、どう考えてもワルツの演奏は良さそうですね。収録曲も少し違うし未聴なので欲しくなりました。おっしゃるように、本当にお洒落でイカす編曲ですね!
ところで、私はブラームスピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編 1937)を研究したくて、この曲の名盤を探しています。私の持っているCDはクラフト&シカゴ響による演奏なんですが、他に岡本さんのおすすめのCDはありますか?
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1334900

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
ありがとうございます。がんばります。
ボストン響室内アンサンブル盤は未聴なので何ともいえませんが、少なくとも収録曲は違うので「買い」だと思います。
>私はブラームスのピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク編 1937)を研究したくて
やっぱりブラームス好きじゃないですか!(笑)
僕のおすすめは、ヤルヴィ&ロンドン響盤です。他にEdmund Rubbraという作曲家が編曲したヘンデル・ヴァリエーションが収録されています。いいですよ!
http://www.hmv.co.jp/product/detail/56665

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ぷみ

ご無沙汰してしまいました。少し多忙な日々が続いておりまして・・・すみません。
久しぶりにブログの方拝見させて頂きましたが興味深い記事ばかりで全てにコメントしたいぐらいなのですが・・・
先ほどのクラシック講座大変お疲れ様でした。岡本さんの愛するブラームスを取り上げられたということで大変充実した講座だったと思います。もっと早くにクラシック講座を知っていれば毎回足を運んだのですが。東京に帰った際は毎回行かせて頂きたいなと思います!
ブラームスのピアノ四重奏曲(シェーンベルク編曲版)、いわゆるブラ5ですが僕はブラの中で最も好きな作品の一つです(邪道ですみません・・・)今はかなり入手困難ですが僕はギーレンの演奏が好きです(これまた少し邪道ですみません・・・)
次回の講座の情報も楽しみにしております!行けないですが(涙)!
それにしてもNEW YEARコンサートはつまらないですよねぇ(笑)特に岡本さんの言われるようにメータやムーティならなおさらですね。この間、メータ・ウィーンフィルによるハイドン104番とブル9を聴いたのですが現代のウィーンフィルはモツやハイドンオケだなと痛感しました。音色は美しいものの音の密度が薄くスカスカしておりブルもただテンポが遅くルバートかけ放題、間延びしただけで表面だけの薄っぺらい音楽になってしまい失望しました。ベルリンフィルにしてもウィーンフィルにしても過去の栄光のみにすがっているようでインターナショナル化の弊害はきわめて大きいなぁと再考した次第です。コンセルトヘボウさえもこの間聴いた際に危機感を覚えました。過去ばかりにすがるのではなく現代を生きている我々は先を見つめ未来のために行動するべきだとは分かっているんですがフルヴェンのBPOやクリュイタンスのパリ音楽院管弦楽団やムラヴィンのレニングラードフィル、ホルストシュタインやカイルベルトやレオポルト・ルートヴィッヒのハンブルク国立フィルなどの音色や伝統が心惜しいのも事実です。
岡本さんは御贔屓のオーケストラなどはございますか?

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岡本 浩和

>ぷみ君
おはよう。久しぶりね。忙しそうで何よりです。
>全てにコメントしたいぐらいなのですが・・・
溜めないで、ちょくちょくチェックしてぜひコメントください。
お陰さまでクラシック講座は来月25回目を迎えるんだよね。いよいよブルックナーを採り上げます。まさに継続は力なりです。
シェーンベルク編曲のブラームス:ピアノ四重奏曲はいいよね。ただ、ギーレン盤は未聴です。(邪道じゃないと思うけど・・・)
メータ&ウィーン・フィル聴いたんだ。それはお疲れ様。
しかしイギリスにいるといろんな海外オケが手軽に味わえていいよね。羨ましいです。おっしゃるとおり、最近は何処のオケも同じようなものでつまらないよね。個性のある指揮者、オーケストラが少なくなりました。日本にいると特に感じるけど、何万もかけてウィーン・フィルやシカゴ響を聴くんだったら日本の地方オケを聴いたほうがよっぽどいいくらいです。
>岡本さんは御贔屓のオーケストラなどはございますか?
昔はね、都響や新日フィルが好きでよく聴きに行ってたけど、最近はあまりオーケストラを聴きに行かなくなったんだよね。「いかんいかん」と思いつつ・・・。

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