ロドリーゴの墓碑銘

rodrigo_de_la_maza.jpg自分を振り返り猛省することは大切なことだが、時には「人のせい」にしてしまうことも大事だと思う。人は誰でも様々な問題を抱える。その問題というのが自分だけの原因で起こっていることは少なく、ともすると誰かとの絡みの中で起こっていることが多い。そして、そこに絡んでいるすべての人たちが何らかの原因を作っているのである。すなわち、すべての事象の原因はフィフティ・フィフティであり、自分だけがかぶってどれだけ反省したところで、根本的な解決には程遠く、結局極端な自己卑下に陥ってしまうか、自信喪失に繋がってしまうのがオチゆえ、そのあたりは適度に「のりしろ」をもつアバウトさも重要だと僕は思うのだ。真面目すぎると(真面目に越したことはないが、1ミリの「遊び」もないと人は行き詰ってしまう)、精神に異常を来しかねない。極度の完璧主義ほど怖いものはない。

1999年7月6日に亡くなったホアキン・ロドリーゴの墓がアランフエスにあるそうだ。そして、一際大きく存在感のあるその墓碑には次の言葉が刻まれているという(19世紀のロマン派フランス詩人、戯曲家アルフレッド・ド・ミュッセの言葉らしい)。

妻に全幅の信頼を寄せた夫の心(ここにあり)
私の杯は小さいけれど、私は私の杯でいただきます

何と謙虚で、しかもぶれない力強さをもった言葉であることか。人間の弱さ、強さはその人の体力や知力に左右されるものではないことがこの言葉からも、そしてロドリーゴの生き様からもよく理解できる。他者のために生きた人間こそがもてる「ぶれない自分軸」というものが、いかに慎ましやかなものなのかがよくわかる。本当に強い者は自身を決して誇示しない。

セミナーの第1日目が終了した。今回も新たな気づきをたくさんいただいた。感謝。
ところで、明日の第29回「早わかりクラシック音楽講座」では、アランフエス協奏曲を採り上げる。疲れた心身を癒すため、前夜祭としてこの曲の委嘱者であり初演者であるデ・ラ・マーサの残した音盤でも聴いてみようか・・・。

・ロドリーゴ:アランフエス協奏曲&ある貴紳のための幻想曲
レヒーノ・サインス・デ・ラ・マーサ(ギター)
クリストバル・アルフテル指揮マヌエル・デ・ファリャ管弦楽団
・ヴィラ=ロボス:ギター協奏曲「コパカバーナ協奏曲」
ジュリアン・ブリーム(ギター)
アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団

デ・ラ・マーサのこの演奏は1962年頃の録音のようだが、割合に遅めのテンポでじっくりと歌い、多少技術的な瑕(衰え?)はあるものの、初演者然とした余裕のある演奏で、「アランフエス協奏曲」愛好者ならば聴かねばならない音盤だと思う(ラヴェル自作自演の「ボレロ」などと同様資料的価値も大いにある)。
しかし、僕がよりおススメしたいのがカップリングのヴィラ=ロボス「コパカバーナ協奏曲」!!間違いなくクラシック音楽なのだが、ボサノヴァやサンバ、ショーロの音調もあちこちに散見され、何とも懐の深い音楽作りに舌を巻く。例えば、第2楽章のカデンツァの哀愁感たるや音楽的にはひょっとするとロドリーゴのものより一枚も二枚も上手かもしれない(決して比べられるものじゃないのだが・・・)。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
考えてみれば今年は、「アランフェス協奏曲」のホアキン・ロドリーゴ没後10年、ギター協奏曲(コパカバーナ協奏曲)作曲のエイトル・ヴィラ=ロボス没後50年、「アルハンブラの思い出」の作曲で有名なフランシスコ・タレガ没後100年と、ギター界にとっても記念すべき年なんですよね。
エイトル・ヴィラ=ロボスのギター協奏曲(コパカバーナ協奏曲)、お薦めのジュリアン・ブリームの盤は聴いていませんが、先日もご紹介いたしました福田進一他のSACDも最高に良かったですよ(ペルトの曲も魅力的、両曲とも私もアランフェスより気に入りました)。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2565020
>何とも懐の深い音楽作りに舌を巻く。
同感です。
それにしても今年は、ハイドンやメンデルスゾーンの他にも記念すべき年なんですねぇ。パーセル生誕350年、ヘンデル没後250年・・・。
ウッドストックから40年、ギターの荘村清志、それに井上陽水もデビュー40周年・・・。
そういえば、アポロ11号での人類初の月面着陸からも今年で40年、そんな人類と月との関係の記念すべき年に皆既日食があり、愛知とし子さんの名盤「bathing in the moonlight」が、録音、発売されたんだなあ、何とも意味深いですねぇ!
今夜は、寝る前の、とりとめのない連想でした。おやすみなさい。

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
>ギター界にとっても記念すべき年なんですよね。
おっしゃるとおりですね。気がつきませんでした。
>福田進一他のSACDも最高に良かったですよ
なるほど、これも聴いてみないと、ですね。
>愛知とし子さんの名盤「bathing in the moonlight」が、録音、発売されたんだなあ、何とも意味深いですねぇ!
いやいや、そこまでおっしゃっていただいても・・・(苦笑)。
確かに名盤だと思いますが(笑)。
意味深いですね・・・。

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