ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル チャイコフスキー 交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」(1960.11録音)

1960年、西側への楽旅中、DGに録音された、火を噴く屈指の名盤。

もちろんこれらはステレオ初期の名盤だが、実はムラヴィンスキー=レニングラード・フィルは1956年にウィーンでモノラルでも録音していた。ただし、第4番だけはザンデルリンクの指揮であったが、これによってムラヴィンスキーの凄さはもとより、レニングラード・フィルの素晴らしさも西側に知られるようになった経過があるし、ひいてはチャイコフスキーの交響曲演奏には西側のどのオーケストラもかなわない奥義があることを知らしめる、そんなショッキングともいえる感動を与えたものであった。
(エソテリック株式会社 大間知基彰)
ESSG-90037/8ライナーノーツ

個人的にモノラル録音も素晴らしいものであり、ムラヴィンスキーの表現にまったくぶれないことがわかるものだ。しかしながら、録音が良好な分、ステレオ盤に一日の長あり、だと僕は思う。

ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィル チャイコフスキー 交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」(1956.6.27録音)

確かにこのステレオ録音が持つ価値は計り知れないでしょう。カラヤンであれ、アバドであれ、チャイコフスキーを録音する時には意識せざるを得ない名演の名録音です。東西冷戦下によくできたなと思いますね。当時のソ連の芸術と科学を代表する人物が指揮者のムラヴィンスキーであり、宇宙飛行士のガガーリンだったかも知れない、そんな時代を象徴する録音ですが、演奏内容がまた傑出していて、まさに国を背負って立つ、そんな風格と完成度が圧倒的に満ち溢れています。
しかもモノラルとステレオの二度もDGに録音していた訳ですからね。ステレオの1960年盤はそれこそ世界を魅了しましたが、モノラル盤はもっと衝撃的だったのでしょうね。

(エソテリック株式会社 大間知基彰)
~同上ライナーノーツ

プロデューサーの大間知さんの言葉にすべてが集約される、時代を超えた、そして歴史の常識を超えた、永遠不滅のチャイコフスキー。こういう録音が残されたことにもはや感謝しかない。

チャイコフスキーの交響曲第5番と《悲愴》が、ツアーの終わりに楽友協会のコンツェルトハウス大ホールで、4日間(11月7日~10日)にわたり、DGの技師ハラルド・バウディとヘルムート・シュナイダーによって録音され、2ヶ月前にロンドンで始まったプロジェクトは終了した。「グラモフォン」誌によれば、このステレオ録音による再録音は、4年前の録音に替わるものになるためには何かがなければならなかった。「以前の演奏よりもゆっくりとした序奏部の冒頭の小節での激しさが明らかで(略)弦はまったく同じ奇跡的な清澄さではないが」。
グレゴール・タシー著/天羽健三訳「ムラヴィンスキー高貴なる指揮者」(アルファベータ)P238

何にせよ、両方共が人類の至宝といえる。
あとは、好みで選択するのが良いだろう。自分の耳で、センスで確認すべきだ。

・チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」
エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(1960.11.7-11録音)

録音データの詳細は、上記記述とは多少相違があるが(プロデューサーは、カール=ハインツ・シュナイダー、録音は11月11日まで)、細かいことは抜きにして、とにかくこの「悲愴」に無心で耳を傾けてみよう。

チャイコフスキー最後の、死の間際の交響曲が、何と生き生きと、壮絶に響くことか!!
例によって速めのテンポで、颯爽と、しかし、一音漏らさず意味深く、そしてオーケストラが過敏に、また完璧に反応したであろう音楽が悪いはずがない。
特に金管群のものすごい(すべてを吹き飛ばすような)音圧と、弦の嫋やかで力強い響きに魂までが感応する。

完全無欠のチャイコフスキー。

これはツアー中の録音ですからね。録音にそれほど時間がかけられなかったにもかかわらず、信じられない完成度です。
(エソテリック株式会社 大間知基彰)

大間知さんの、この録音に関する驚きの言葉も納得のもの。
エソテリックによるSACDリマスタリングの素晴らしさよ。

ムラヴィンスキー様、ありがとうございます ムラヴィンスキー様、ありがとうございます

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

アレグロ・コン・ブリオをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む