「アレグロ・コン・ブリオ~第2章」がスタートして今日で丸1年が経過する。その間、東京を離れた何日かを除きほぼ毎日更新することを課してここまで来た。毎々コメントをいただける雅之さんには「感謝」以外の言葉が見つからない。本当に1年間ありがとうございました。明日からまた第2年目のスタートになりますが今後ともよろしくお願いいたします。
ところで、本日は北欧の生んだ天才ジャン・シベリウスの誕生日らしい。
長年シベリウスの音楽を愛好してきているが、ご多聞にもれず最初に聴いたのは交響曲第2番だった。いや、ひょっとすると「フィンランディア」か「トゥオネラの白鳥」かもしれない。しかしながら、自分で意識をして聴き込んだのは間違いなく第2交響曲である。まだアナログ・レコードの時代で、確かロンドンレコード(まだキングレコードがライセンスをもっていた頃)の「不滅の名盤シリーズ」からの1枚、アンソニー・コリンズ指揮ロンドン交響楽団によるモノラル盤だったと記憶する。
ロシア的な土臭さを持ちながらも、幾分シベリウスの個性が混じり、多少都会的に洗練された感のあるこの音楽に関しては、シベリウスの作品の中で最もポピュラーなシンフォニーになっているものの、クラシック音楽愛好家諸氏には決して評判は良くない。かくいう僕もそうそう頻繁に聴きたいと思う音楽ではないし、彼の交響曲なら第5番や第6番、第7番、あるいは第2番以前のもっと泥臭さを湛えた第1交響曲に魅力を感じる。
とはいえ、第2交響曲があったゆえ第3番以降の至高の名作が生まれえたわけだし、その存在があるからこそ作曲家の名声が一気に上がったのだということを考え合わせると、おざなりにはできまい。世に存在するものに無駄は一切無いのである。プロセス、通過点にこそ「面白み」があるといえばある。
いわゆる最右翼の解釈ではない音盤によって第2交響曲を聴くという行為も楽しかろう。新しい発見があるかもしれぬ。ということで、バーンスタイン晩年の録音。
シベリウス:交響曲第2番ニ長調作品43
レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
この粘っこい「ユックリズム」はシベリウスの本質からかけ離れている。とはいえ、ロマンティシズム溢れるこのシンフォニーの解釈としては納得ゆく点も大いにある。何より、せせこましくない雄大さ、そして「人間愛」の入り混じった「人間臭さ」が前面に押し出されたバーンスタインらしい音楽作りが魅力的。
本日、「エントリーシートの書き方」講座。就職採用試験においてエントリーシートが重要なポイントであることはもはや常識。学生諸君は自己PRというと、ともかく「学生時代に自分がをやってきたのか」をアピールすれば良いと考えている場合が多い。いやいや、重要なのはプロセスです。何をしたのかということより、その過程でどんな経験をし、何を学んだのかを深掘りすることが大事なのである。
おはようございます。
こちらこそ、このフログに毎日コメントすることで、どれだけ自分の思考が深まり成長したか計り知れず、感謝の極みです。
私は、毎日、小論文の試験のつもりでコメントを書いています。その場合、あえて本音とは別に(極論になることを恐れず)対立軸から考え、「お題」を立体的に把握するように心がけています。結果、文章が刺激的になりご迷惑をおかけし申し訳ない限りなのですが、自分でも気が付かなかった問題の本質が浮き彫りになり、毎日が発見の連続で、それが生きるためのヒントにつながっているのです。
まあ、偉そうなことを言っても私の実態は、ジャズ喫茶の五月蠅い常連客みたいなものです(笑)。
・・・・・・寺島靖国氏もどこかで書いておられたが、ジャズ喫茶のカウンターの向こうとこちらでは、眼に見えない見栄(みえ)の張り合いが火花を散らしている。レコード係はお客を恐れ入らせてやろうと、秘蔵のアルバムを腕によりをかけて選曲する。一方、お客の方はなんとか店のオヤジに、「ホウ、なかなかヤルナ」と思われたいばっかりに、いろいろと頭をひねったリクエストをするのだ。・・・・・・
後藤雅洋 著「新 ジャズの名演・名盤」(講談社現代新書)44ページより
http://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%BA%E3%81%AE%E5%90%8D%E6%BC%94%E3%83%BB%E5%90%8D%E7%9B%A4-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%BE%8C%E8%97%A4-%E9%9B%85%E6%B4%8B/dp/4061495488/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1260309342&sr=8-1
そう、岡本さんはジャズ喫茶のオヤジ(爆)。
今回はシベリウスの2番で来ましたか! 私は12月8日はジョン・レノンの命日でもあるので「イマジン」だと山を張っておりました。まだまだ甘いです(笑)。
シベリウスの2番は4番以降のようなつもりで聴いてはいけない曲ですね。昔宇野功芳さんだったか福永陽一郎さんだったかも言っておられましたが、「フィンランディア」の拡大版として聴くべき曲です。
ご紹介のバーンスタイン指揮のCD、もう20年ほど昔、独身のころの晩秋11月、鳥取市に住んでいた、とある女性と別れる帰路、時雨雲の垂れこめた夕暮れ、ひとりカー・ステレオで聴いていて泣きそうになった思い出があります。そのくらいあの時の車窓の山陰の風景と自分の気分にぴったりで、心から慰められたものでした。
ちなみに交響詩「フィンランディア」にも、初めて大学のオケで演奏した体験など様々な思い出があり、今でも聴くと涙が出そうになります。
特に中間部の「フィンランディア賛歌」のメロディ、真に美しい!!
http://www.youtube.com/watch?v=gTdrSkO1Ubo&feature=related
>雅之様
おはようございます。
>あえて本音とは別に(極論になることを恐れず)対立軸から考え、「お題」を立体的に把握するように心がけています。
そういう視点で深掘りしてコメントしていただけていることが本当にありがたいです。新しい発見、あるいは自分の中の矛盾が明確になり、ブログを通して一層「考える」ようになりました。
刺激的な文章大いに結構です(おそらく何度かお会いしていることもあり、雅之さんの人間性をよく存じ上げているためどんなコメントが来ても余裕で対処できるのだと思います)。
>私の実態は、ジャズ喫茶の五月蠅い常連客みたいなもの
なるほど!!それは面白い見方です。後藤雅洋 著「新 ジャズの名演・名盤」からの抜粋の言葉、その通りですね。何気に僕もその日採り上げる音盤について試行錯誤している節がありますから(笑)。ヤマは「イマジン」でしたか!!2年位前の翌日にはジョン・レノンを採り上げてますからね・・・。面白いですね。
音楽というのはそれを初めて聴いた時の記憶と明確に結びついていますよね。プルーストが紅茶とマドレーヌの記憶から小説を展開していくように。忘れ難いです。
>中間部の「フィンランディア賛歌」のメロディ、真に美しい!!
同感です。