ハーゲン・クァルテットのモーツァルト四重奏曲K.499(2000.8録音)ほかを聴いて思ふ

1786年のモーツァルト。
前年の秋から書き始めた「フィガロの結婚」K.492が4月29日に完成した。その後、6月3日にピアノ四重奏曲変ホ長調K.493、6月10日にロンドヘ長調K.494、6月26日にホルン協奏曲変ホ長調K.495と立て続けに生み出した後、彼の創造力は一気に飛翔し、ピアノ三重奏曲ト長調K.496(7月8日)、4手のためのソナタヘ長調K.497(8月1日)、三重奏曲変ホ長調K.498(8月5日)と、充実の名作を次々と送り出すことになる。

翌年の、父レオポルトの呪縛からのいわば完全解放の直前のインスピレーションの凄まじさ。神が彼に与えた創造の機会と場はおそらくクライマックスを迎えていたのだろうと思われる。

充満する音楽の愉悦。
ドゥービー・ブラザーズが1972年に発表したセカンド・アルバム”Toulouse Street”の第1曲は”Listen To The Music”。ここには音楽をすることの喜びが歌詞ともども見事に刻まれる。荒削りの、また赤裸々なトム・ジョンストンの魂が美しい。

Don’t you feel it growing, day by day
People getting ready for the news
Some are happy, some are sad
Oh, we got to let the music play
What the people need
Is a way to make ‘em smile
It ain’t so hard to do if you know how
Gotta get a message
Get it on through
Oh now mama, don’t you ask me why
Whoa listen to the music

誰もが幸せであることを望む。音楽は悲しみすらぶっ飛ばす。
音楽は皆を幸せにする。

・The Doobie Brothers:Toulouse Street (1972)

Personnel
Tom Johnston (guitars, vocals)
Patrick Simmons (guitars, keyboards, vocals)
Tiran Porter (bass, vocals)
John Hartman (drums, percussion)
Michael Hossack (drums)

ツイン・ドラムとタイラン・ポーターのベースによるリズムの饗宴。

たぶん、あの頃からモーツァルトは借金を重ね、どこか精神的に追い詰められていたのではなかろうか?1786年8月19日に完成した四重奏曲ニ長調K.499、通称「ホフマイスター」が作曲された目的は明らかでない。しかし、一部によると、フランツ・アントン・ホフマイスターからの借金の返済にこの作品のパート譜の出版権を当てたという推測もあり、確かにその見解は決して見当はずれではないように思われる。

僕は、今年の7月に聴いたハーゲン四重奏団の透明で崇高なシューベルトを振り返っていた。なるほど、「ホフマイスター」にあるどこか悲壮感漂う哀しみは、フランツ・シューベルトに通じているのだ。

モーツァルト:弦楽四重奏曲全集
・弦楽四重奏曲第20番ニ長調K.499「ホフマイスター」(2000.8録音)
・弦楽四重奏曲第22番変ロ長調K.589「プロシャ王第2番」(2004.3録音)
・弦楽四重奏曲第23番ヘ長調K.590「プロシャ王第3番」(2003.1録音)
ハーゲン・クァルテット
ルーカス・ハーゲン(第1ヴァイオリン)
ライナー・シュミット(第2ヴァイオリン)
ヴェロニカ・ハーゲン(ヴィオラ)
クレメンス・ハーゲン(チェロ)

深みのある第1楽章アレグレットの哀感と愉悦の錯綜。続く第2楽章メヌエットの優しさ。何より第3楽章アダージョの静寂の包容力と、溜めて一気に放出するといういかにもモーツァルト的音楽のうねりに感動。終楽章アレグロも明るく見せて実は暗いというモーツァルトの本懐。ハーゲン・クァルテットのアンサンブルは全編通じ阿吽の呼吸で、実に安心感がある。

フリーメイスンの熱心な会員であったモーツァルトはカトリック教徒だったが、彼の神への信仰はどのくらいのものだったのだろう?アマデウス(神の子)という名の通り、ひょっとすると彼にとって神は友達のようなものだったのかもしれないと空想した。
再びドゥービー・ブラザーズに還る。

Jesus is just alright with me, Jesus is just alright
I don’t care what they may say
I don’t care what they may do
I don’t care what they may say
Jesus is just alright, oh yeah

「キリストは最高、奴らが何を言おうと気にしない」とは、実に当を得たり。最高だ。

 

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