雨の日に「ブラジル風バッハ」

villa_lobos_bachianas_brasileiras_los_angeles.jpg雨、である。
5月の雨はさほど鬱陶しくもなく、気持ちをあらたにできるという意味で僕的には大歓迎である。傘をさしながら、馴染んだ風景が少しばかり水っぽくなっているところが妙に美しい。特に都心を離れてみると一層「雨」の良さがわかるように思う。

大学に通う電車の中では読書をするときもあれば、ぼーっと過ごしてしまうこともある。何も考えないということではない。何となく思いついたことに思考を巡らすのである。

「変身」ということについて考えてみた。「自分を変えたい、変わりたい」と思っている人は多い。外面的な変身願望はもちろんのこと、本質的に変わりたいと思う人が多い。僕は基本的に人間の本質は変えられないと思っている。いや、もっというなら大きな意味で変える必要などないと思うのだ。ならばどうすれば良いのか?身近な人と「心をつなげられる」ようなコミュニケーションをするが良い。何でも包み隠さず話し、相手のことも受け容れ、互いに「素」の姿に戻る瞬間に「自由」が訪れる。そういうときにこそ、人は「変わった」と認識できるのだから。

かくいう僕も幼少の頃から変身願望は強かった。当時の少年らしくウルトラマンや仮面ライダーになりたかったのも事実だが、自分でも一番可笑しいのは「ひみつのアッコちゃん」のふしぎなコンパクトがどうしても欲しくて買ってもらったことである(おそらく小学校1年生くらいの時だったように記憶する・・・苦笑)。あの「テクマクマヤコン」で本当に変身できると思っていたのだから(笑)。それも女の子ならいざしらず、男の僕が、である。まぁ、子どもの頃から感覚が少し変わっていたのだろうと今になって思う。いずれにせよ、純粋にそんな夢を見られる子どもって素敵だ。

ヴィラ=ロボスの音楽を聴くと、古き良きあの幼少の頃の風景が眼前に現れるような錯覚に襲われる。洗練された形式の中に、土俗的なメロディや音調、そう、都会の中に突然現れるオアシスの如く、ふと安堵感を覚える瞬間が多々ある音楽を彼は数多く残した。

ヴィラ=ロボス:
・バキアーナス・ブラジレイラス第5番(1938/1945)
・バキアーナス・ブラジレイラス第2番(1930)
・バキアーナス・ブラジレイラス第1番(1930)
・バキアーナス・ブラジレイラス第9番(1945)
ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)
エイトル・ヴィラ=ロボス指揮フランス国立放送管弦楽団

一昨日、「悲しき熱帯」を読みながらヴィラ=ロボスの音楽に思いを馳せたことは書いた。まさにこの紀行文にぴったりの音楽がこの「バキアーナス・ブラジレイラス(ブラジル風バッハ)」。作曲者自身の棒による演奏はまさに自家薬籠中のもので、聴いていて安心感がもてる。

湿気を含んだ空気に触れながら、ヴィラ=ロボスの音楽に耳を傾けること。幸せなり。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
突然ですが私、音楽用語の「オブリガート」【(イタリア)obbligato】(独奏または独唱部の効果を高めるため、伴奏楽器で奏される主旋律と相競うように奏される助奏)と、ポルトガル語で「ありがとう」の意味の「オブリガード」【Obrigado(a)】を、よく誤用します。マーラーの5番の話題でも、「ホルン・オブリガード」とコメントで書いていまいました。しかし、音楽専門でやっている人でも「オブリガート」と「オブリガード」の混用は多いです(確か、語源は一緒のはず)。「コミニュケーション」や「シュミレーション」と同じで、日本人にとっては言語の「ゆれ」が生じやすい単語です。
「ひみつのアッコちゃん」「ウルトラマン」「仮面ライダー」と懐かしいですね。変身願望は、いつの世も不変ですね。これらの番組には、子供時代、人の世のいろんな大切なことを教わりました。心底感謝しています。
先日、ピアニストの小原孝氏がFM番組で、昔のテレビ番組で「ありがとう」が題名に入った昔のテレビ番組のテーマ曲や歌謡曲を採り上げているのを耳にしました。その中に、昭和45年の、水前寺清子「ありがとうの歌」がありました。
http://www.youtube.com/watch?v=qUDQP-AzLWY
岡本さんがご存じかどうか知りませんが、放送当時視聴率が50パーセントくらいあった、テレビのホームドラマの主題歌でした。これも懐かしいです。
いったい、現在、HMVサイトで「ありがとう」が題名に入った、現在販売しているCD、検索でどのくらいヒットするのでしょうか? ちょっと試してみました。
「ありがとう」 いきものがかり(現在の朝ドラ 「ゲゲゲの女房」の主題歌)
「ありがとう」 関根麻里
「ありがとう」 井上陽水/奥田民夫
「ありがとう」 SMAP
「ありがとう」 中島みゆき
「夢をアリガトウ」原由子
「ありがとうのうた」V6
「ただ、ありがとう」 MONKEY MAJIK
「Tonight The Night ありがとうが爆発する夜」 矢沢永吉
「ありがとうの笑顔」 中川翔子
「ありがとう」 織田裕二
「ありがとう」 FLOW
「ありがとう」  MCU feat.宮沢和史
「ありがとう」 大橋卓弥(fromスキマスイッチ)
「ありがとう~おかあさん~」 青木美香子
「ありがとう」 佐藤広海
「おやじありがとう」東大寺四郎
「ありがとう」 真来
「もう一度ありがとう」 川守宏
「愛をありがとう」 よかにせどん / 浜ゆたか
「お母さん命をありがとう」 桜舞
「貴方にありがとう」 福田美知子
「ありがとうII」  堀江淳
「ありがとう」 矢口周美
「ありがとう」 Monta / Big Bear / 卍line
「ありがとう」 岩崎よしみ
「定年…ありがとう」  そらきたぞう
「二度目のありがとう」 樋口了一
「ありがと~」 Bon’z
「Piano Messege~ありがとうを言いたくて~ 」アンドレ・ギャニオン
「 ありがとう!!新宿コマ劇場2008年9月千穐楽」 北島三郎
「勇気ありがとう」 松山千春
「アリガトウ」 谷村新司
「ありがとう」 初音
「さよならありがとう~天の風~」 夏川りみ
「ありがとう 感謝」 小金沢昇司
「ありがとう君へ」 結城カオル
「ありがとう」 Heartfull Hospital
「ありがとう」 つじあやの
「すべての人にありがとうを」 吉幾三
「ありがとうを言いたくて」 吉幾三
「君にありがとう」 チン パラ
「ありがとう」 高杉さと美
「ありがとう」 Baby Boo
「アリガトウ」 Sonar Pocket
「おめでとう ありがとう」 ううじん
「ありがとう あいしてる」 悠生沙椰
「おまえにありがとう」  山本譲二
「犬のうた ~ありがとう~」 エイジア エンジニア
「ありがとう」 大西ユカリと新世界
「ありがとう」 りんけんバンド
「ありがとう」 宇佐元恭一
「倖せありがとう」 藤原浩
「ありがとう音頭 」
「ありがとうあなた」 山口百恵
「Am(ありがとうみんな)1242」 Shogo (175r)
「有線よありがとう」 バラーズ
「愛ありがとう」 長山洋子
「愛アリガトウ」 キム ヨンジャ
「花の舞台に有難う」  瀬川瑛子
「夜霧よ今夜も有難う」 石原裕次郎
「別れてもありがとう」 美空ひばり
「ありがとう」 mayumi
「Arigato!」 Minehaha
「ありがとう、さようなら 内山田洋さん」 内山田洋とクールファイブ
「ありがとうのうた」 TOSHI
「ありがとう」 阪本真由美
「サヨナラ大好キダヨ アリガトウとゴメンネ」 Pulatina
「ありがとうfeat.宮沢和史」 MCU
「ありがとう、ごめんね」 菅原洋一
「おじいちゃん おばあちゃん ありがとう」  葵と楓
「故郷ありがとう」 加納ひろし
「出会ってくれてありがとう。」 永井真衣
・・・・・まだまだ、とてつもなく多いのですが、時間もないのでこの辺で・・・。
「Thank You」になると世界規模になるので、もはや天文学的数字!!
Led Zeppelin- Thank You
http://www.youtube.com/watch?v=fmQMrpsQwfk
各国語も含め、「ありがとう」のCDを蒐集するのは、すごく良い趣味かも・・・(笑)。
岡本さん、いつもありがとう。
ヴィラ=ロボス、聴き込みがまだ足りないけど、ありがとう。
ありがとう、ゾフィー!!(初代ウルトラマン 地球での最後の言葉)

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
言語の混同はよくありますよね。確かに「日本人にとっては言語の「ゆれ」が生じやすい単語です。」という言葉よくわかります。
>放送当時視聴率が50パーセントくらいあった、テレビのホームドラマの主題歌でした。
いやあ、懐かしいです。もちろんこのホームドラマは家族で観ていました!!「ありがとうの歌」も懐かしいですね。しかし、「ありがとう」と名のついた曲は多いんですね。吃驚しました。
>各国語も含め、「ありがとう」のCDを蒐集するのは、すごく良い趣味かも・・・(笑)。
それは名案です!!ぜひ雅之さんにやっていただいて(笑)。
ツェッペリンの「サンキュー」は名曲ですね。
2年半ほど前にブログで少し話題にしました。
http://opus-3.net/blog/archives/2008/01/post-237/
雅之さん、僕の方こそいつもありがとうございます。

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