あらためてストラヴィンスキー

stravinsky_ashkenazy_gavrilov.jpg通勤、というか通学というか、往復の列車の旅は有意義な時もあれば、まったくもって無駄な時間を費やさざるを得ないときもある。昨日の古河方面の旅は車中も充実していた。同じ1時間ほどでも、今日の相模原方面への旅は疲れた。リラックスして本を読めるような雰囲気じゃなかったこと、あわせてやたらに眠くなってうとうとしてしまったこと。

時刻も関係しているのかもしれない。昨日は午前中の往復、そして本日は午後の往復。明らかに昨日の方が、頭がすっきりし、何事においても生産性が高いように思える。やっぱり人間にとって心身ともに活動的になれるのは「朝」なんだと再確認。できるだけ、重要な考え事は午前中に済ませ、夜はのんびり仕事から離れるという生活スタイルを作り上げたほうが良いだろう。

ところで、人にモノを薦めたとき、どこまで責任をとればいいのだろう?
基本的には自身の意思で選択した段階でその人の責任になると思うのだが、例えば、良かれと思って教えてあげたことが相手の意に沿わなかったり、実際その人にとっては最悪だったという場合どうすればいいのだろう?そういう不確定なものは最初から薦めないほうが無難で安全だが、それが当人にとって長い間探していたものである可能性もひょっとするとあるわけだから・・・、難しい。

僕はともかく何でも薦めてみることにしている。どんなものでも善悪、是非の判断を勝手にせず、ニュートラルな状態でご紹介するのが一番わかりやすい。自分の目で見て、経験して最終的に判断してもらうのが確かだと思うのだ。

先月の「早わかりクラシック音楽講座」の時、ホルストが「春の祭典」ロンドン初演時の舞台を観て衝撃を受け、組曲「惑星」作曲のインスピレーションを得たという話をし、コリン・ディヴィスが昔録音したフィリップスの名盤をご参加いただいた方に聴いていただいた。とても30年以上前の録音とは思えない鮮度と臨場感に皆圧倒されていたが、中にラジオ番組のナレーション原稿を書く仕事をしている女性がおり、ディアギレフとバレエ・リュスの当時のヨーロッパでの活躍に感銘を受けたらしく、今度の番組の原稿では彼らを採り上げることにしたということで、参考のためモーリス・ベジャール率いる二十世紀バレエ団の「春の祭典」のDVDを貸してほしいという連絡が入った。若きジョルジュ・ドンがまだ端役で踊っている歴史的映像・・・。とにかくたくさんの方に観ていただきたい。

もう何度も書いているが、3年前の*AK* the piano duoの公演が懐かしい。あれは本当に素晴らしい演奏会で、刺激的な「ハルサイ」だった。彼女たちのあの心と心がぶつかり合う壮絶な「春の祭典」はもはや再現しようにも不可能だが、その時の雰囲気を少しでも追体験できないかと期待し、アシュケナージ&ガブリーロフ盤を聴いた。

ストラヴィンスキー:
・春の祭典(2台のピアノ版)
・2台のピアノ・ソロのための協奏曲
・2台のピアノのためのソナタ
・ロシア風スケルツォ
ウラディーミル・アシュケナージ、アンドレイ・ガブリーロフ(ピアノ)

悪くはない。悪くはないが、スタジオ録音らしくかしこまっているところが「ハルサイ」らしくない。この音楽はもっと混沌としており、ムソルグスキーじゃないが剥き出しの「魂」を感じさせてくれないとつまらない。3年前の「ハルサイ」を僕はたくさんの友人たちに推薦した(特別講座「早わかりハルサイ講座」を開いたくらい・・・笑)。五重丸の曲目であり演奏だと確信を持って推したのだが、「わかってくれた」人は意外にも少なかった(涙)。自分の感性を一方的に押し付けるのもなんだが、人にモノを薦めるのはやっぱり難しい。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
いつもいつもYou tube引用でお茶を濁すのも申し訳ないのですが、時間のない時は便利ですので・・・。
「ストラヴィンスキー」「春の祭典」というキーワードについては、
映画「シャネル&ストラヴィンスキー」
http://www.youtube.com/watch?v=wczCfKo8H2k
は、充分観る価値のある映画だと思いました。映画館で妻と観て満足しました。何かの機会に、ぜひチェックしてみてください。
あと、この曲のドーヴァー版オーケストラ・スコアは、ペーパーバックで、今はたった¥780 で入手できます。
http://www.amazon.co.jp/Stravinsky-Spring-Dover-Miniature-Scores/dp/0486411745/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=english-books&qid=1274219956&sr=8-1
読まずにただパラパラとページをめくり俯瞰するだけでも発見がいろいろあると思います。ただ、安っぽいし、楽譜や文字が細かいので、蔵書として大切に永久保存したり、しっかり研究したりしたい場合は、高価ですがブージー & ホークス社大型スコアがいいでしょうね。

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちは。
「シャネル&ストラヴィンスキー」は面白そうですね。
機会を得て観てみます。ありがとうございます。
へぇ、ペーパーバックのスコアってあるんですね。
勉強になります。あわせてありがとうございます。

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