お盆

100814_shigaraki.JPGお盆に入り、ゆったりまったりと時が流れる。

朝から妹が帰省。19歳になる娘がアスペルガー症候群ではないかと悩む。集中力が長続きしない、異性関係がころころ変わる、依存気質で刹那的。一方で、本を読むスピードは異常に速く、おそらくページを映像で読み取っているのだろう、いわゆる「速読」の才能を感じさせられる。確かに「アスペルガー」といわれればそのようにも思われるが、医者の診断ではどうもそうではないらしい。いずれにせよ本人に自覚がない以上周りがとやかく言ってもどうしようもない。自覚が生まれるまで待つしかなかろう。否定せず、じっくり真剣に話を聴いてあげるという根気強さが親の側にも求められている。

昨日は朝から恒例の飯道山神社詣。台風一過の静けさと、雨上がりの心地よさが相まって例年以上に楽に登山ができた。本殿はやっぱり神々しい。ところで、お盆休みに今年のように長期で実家に滞在したのはいつ以来か。おそらく学生時代以来だろうからかれこれ四半世紀を経過したことになる。8月13日は『お精霊さん(おしょらいさん)(ご先祖様をお迎えする日)』ということなのでお墓に線香をあげ花を手向けにお寺に向かった。

8月12日(木)
夕刻、瑞浪から信楽に移動。この日は、例の日航機墜落事故からちょうど25年目になる。あの日、僕は運転免許証の最終試験で日中は江東試験場にいた。無事免許を交付していただき、翌日からの体育合宿(一般教養である「体育」の授業を通年でとるか合宿でとるか選択できたので合宿にした。科目は「自動車」)に備え、夜は友人と合流することになっていたので、杉並のどこだったかで待ち合わせをし、19:00頃共に夕食をとったように記憶する。テレビのニュースで航空機が行方不明になっていることを知ったが、その時はそれほど大事には考えていなかった。

結局、史上空前といわれる惨事を知ったのは翌朝、合宿地に向かう電車の中での新聞と乗客の話の中で。しばらくはその話題で持ちきりだったが、いつどんな事件でもその現場に居合わせない当事者以外はいつの日かすっかりそんなことが起こったことすら忘れてしまうもの。しかしながら、この日航機の事故に関しては、ちょうど半年後にある会合で父親を事故で亡くしたという同年代の大学生に会い、生々しい話を聞くにおよび、その後何年かは僕の興味のほぼ中心になっていたといっても言い過ぎでない。その彼とはその頃は何度か会う機会があったが、そのうち連絡を取り合うこともなくなった。何年か経ったころ、新聞で「遺族会」の会長に就任したことを知ったとき、僕らからすると日航ジャンボ機墜落事故というのは歴史の一コマに過ぎないのだが、当事者にしてみれば生涯終わることのない「過去」であり、「現実」であるということをあらためて思い知らされた。

とはいえ、当事者の立場になるのは難しい。体験がない者にとってその人の気持ちを汲み取ることほど大変なことはない。せいぜいじっくりと真剣に話を聴くことぐらい・・・。

休暇中は音楽を聴く機会が減るが、昨日はメンデルスゾーンとシューマンのトリオを聴いた(キョンファ、プレヴィン&トルトゥリエ盤)。このロマンティシズム溢れる名曲を聴きながら、「9月11日のコンサートでは『メントリ』の第1楽章しか披露できないが、いずれは全曲やりたい(やってほしい)」など妻と語る。

本日、傍らでは妻が練習するラヴェルのソナチネの音楽が響く。嗚呼、心地良い・・・。


3 COMMENTS

雅之

こんばんは。
今日、お彼岸なので家族でご先祖様のお墓参りを済ませました。
>僕らからすると日航ジャンボ機墜落事故というのは歴史の一コマに過ぎないのだが、当事者にしてみれば生涯終わることのない「過去」であり、「現実」であるということをあらためて思い知らされた。
ちょうど、偶然あの事故の直後に亡くなった親友と親戚のおばあちゃんの笑顔が脳裏をよぎりました。
YouTubeは怖いです。あのころのこと、昨日のように思い出す映像が目白押しです。
日航ジャンボ機 – JAL123便 墜落事故の報道態勢 (ザ・トップテン 日テレ)
http://www.youtube.com/watch?v=giA13hubHlQ&feature=related
ボイスレコーダーの会話は、今でも冷静には聴けない壮絶な記録です。
日航ジャンボ機 – JAL123便 墜落事故 (飛行跡略図 Ver1.2 & ボイスレコーダー)
http://www.youtube.com/watch?v=tqwzoqdQYDE
でも、あの時のコックピット内での生々しいやりとり、機長の最期まで乗客・乗員を救おうとした懸命な努力を僕らは忘れません。自分も最後の最期まで希望を捨てず、頑張りたいと、録音を聴いていて思いました。

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雅之

ということで、1985年の死者を偲んで、翌年8月に録音されたバーンスタイン&ニューヨーク・フィルによる交響曲第6番「悲愴」を・・・。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/140244
これは、いろいろな意味で忘れがたい「重い」意味を持つ演奏ですね。
あの頃、谷啓さんも若かった。田代まさしもこんなじゃなかった・・・。
ニュース速報
http://www.youtube.com/watch?v=HmPmhJ2-Aug&feature=related

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
シンクロしてますねぇ。
日航機の事故については昨日偶然にもある飲み会で話題になりました。当時ちょうど客室乗務員だった方と一緒で、同僚や先輩で123便に搭乗しておられた人もいるそうです。ここでは書けないですが、びっくりするような、おそらく「真相」を聴いてしまいました。昨日紹介してもらったばかりで僕はまだ読んでおりませんが、下記の本を紹介していただきました。
「天空の星たちへ」
http://www.amazon.co.jp/dp/4944101902
いずれお会いしたときにでも。
>バーンスタイン&ニューヨーク・フィルによる交響曲第6番「悲愴」を・・・。
これまたシンクロ。夕方、第4楽章だけ聴いておりました。重いですね。
>ニュース速報
これは驚きです!谷啓さんとラッツ&スターですか!!旬ですねー。

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