朝からGCDFの継続学習のため新橋のキャリアカウンセリング協会にて「トレーナーデモンストレーションコース」を受講した。余裕をもって家を出たものの、どういうわけか新橋駅で迷ってしまい、到着はギリギリ(最後は汗かいて走りました・・・)。
講座中「今なぜ日本でキャリア支援が必要なのか?(どんなニーズがあるのか?なぜ必要なのか?)」というテーマでのグループ・ワークがあったのだが、我々のチームでは『バブル崩壊以降の社会的変化(終身雇用制の終焉、リストラ、就職氷河期など)により、特定の若年層や高齢者層、あるいは弱者といわれる方々などへの就業に関する問題が浮上したことがニーズの発端で、結果的には、「勝ち組、負け組」といわれる格差社会に変貌したことがより一層必要性を高めたのではないか』という結論になった(答えがあるわけではないので結論はどんなものでもいいのだが)。
確かに先日の秋葉原での無差別殺人事件を起こした容疑者も、とどのつまりは仕事に対する不満であり、将来への漠然とした不安からああいう凶行に走ったようだし(だからといって殺人はもってのほかだが)、身近なところでもキャリアについて悩んでいる友人はたくさんいる。自分自身も昨年独立した際に同じような不安や問題を抱えていたのだし・・・。
冷たく言い放てば、キャリアを含めて自分の人生に関しては「自己責任」だから他人や社会に牙を向けるなとなるのだが、教育を含め国や有識者、あるいは我々キャリアと名のつく職業に就いている人たちが、真剣に取り組まなければならない仕事がまだまだたくさんあるということなのだろう。
そんなことを考えながら家路につき、帰宅後とりだしたのは歌劇「子供と魔法」。
上記のような問題を起こす人間は概して子供の頃に「反抗」をしていない「良い子」が多い。とかく親は子供を「何でも言うことを聞く大人しい優等生」に育てたがるが、決してそれが「良い子育て」とはいえない。やりたい放題やらせてしっぺ返しを食らい、時には痛い目に遭い、反省することで人は「考えられる大人」になっていくものなのだから。
ラヴェル:歌劇「子供と魔法」
パメラ・ヘレン・スティーヴン(メゾソプラノ)
アン・マリー・オーエンズ(アルト)
アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団
ロンドン交響合唱団ほか
オーケストラの魔術師、モーリス・ラヴェルの1920年代の作品。アメリカのミュージカル・コメディを意識して書かれた童話オペラ。「ママに反抗してやりたい放題の子供に、壊された家具やいじめられた動物たちが仕返しをし、その結果子供が反省、良い子になる」という近頃の教育ママさんたちにぜひとも推奨したい(笑)内容のオペラ。おそらく実際の舞台を観るとより一層楽しめそうだが(動物が主人公のオペラではヤナーチェクの「利口な女狐の物語」が有名どころ)、20世紀の決してメジャーとはいえない作品であるゆえなかなか舞台にかけられることはない(と思う)。しかしながら、全曲で1時間足らずの2幕ものの歌劇なので、ボーっと音楽だけを聴いていても意外に楽しめるところが素晴らしい。
プレヴィンはこのオペラを得意にしているようで、80年代初頭にも同じオーケストラで録音しているが、僕は未聴。ひょっとすると若き日のプレヴィンの演奏の方がエネルギッシュでより刺激的かも知れない。
こういう名盤がタワーレコードのヴィンテージ・コレクションということで¥1,000ぽっきりで買えるところがこれまた良い(歌詞対訳付だし・・・)。
※カップリングのバレエ音楽「マ・メール・ロア」もお洒落。
「重点は旋律にあり、好んでアメリカのミュジーカル・コメディ風に扱われた主題と結びついています。コレット夫人の台本は、幻想物語での自由な処理を許してくれます。支配しているのは歌であり、オーケストラは、楽器奏者の名人芸をないがしろにすることなく後方に留まっています。」(モーリス・ラヴェル~『自伝的素描』)
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