副都心線開業!

bartok_aohige_boulez.jpg東京メトロ・副都心線が開業した。最寄りの「東新宿」駅が一層便利になった。渋谷と池袋がどちらも10分足らずで結ばれる。今日のところは用事もないので駅にも入っていないし、乗車もしていないから何とも言及できないが、大勢の鉄道ファンが詰め掛けたらしい。
しかしながら、(大江戸線もそうなのだが)地下数階のところにホームがあるものだから、列車内は年中ジメジメしており、湿気臭くて乗るたびに頭が痛くなるし、気分が悪くなる。だから普段余程のことがない限り大江戸線は使わずJRまで歩くことにしている。健康にも良いし(植物が「光」と「大地」と「水」で生き永らえるように人間にとっても「光」と「水」は絶対的存在であり、なくてはならないものである)、余計な電車賃も使わなくていいし、それに何より嫌な思いをしなくて済むから一石三鳥なのだが、今後はついつい利用してしまいそうだ・・・。

ここのところオペラをよく聴いている。R.シュトラウスの有名どころをざっと聴き、グルックの「アウリスのイフィゲニア」、ヴェルディの「アイーダ」、そしてラヴェルの「子供と魔法」と続き、今日は何を聴こうかと思案していたところ、バルトークを聴きたくなりブーレーズの指揮する音盤をとりだした。1時間に満たない1幕ものの歌劇。ベラ・バルトークの音楽は「夜の音楽」だという。妙な不気味さと安穏とした静けさが同居する20世紀前半を代表する傑作を彼はいくつも産み出した。

バルトーク:歌劇「青ひげ公の城」
ジェシー・ノーマン(ソプラノ)
ラースロー・ポルガール(バリトン)
ニコラス・サイモン(プロローグ)
ピエール・ブーレーズ指揮シカゴ交響楽団

第1の扉-拷問の部屋(血に染まった部屋は誰もが内に秘める「闇」すなわち「悪」の部分にまずフォーカスする。光を求めるユーディット。)
第2の扉-武器庫(血がこびりつく武器の山。やはり「闇」の部分へのフォーカス。「闇」の中に「光」を見るユーディット。)
第3の扉-宝物庫(血の跡のついた宝石。すべてお前のものだと告げる青ひげ。)
第4の扉-秘密の庭園(血に染まった花園。ユーディットにただ愛せよと告げる青ひげ。)
第5の扉-広大な領土(ユーディットにすべてお前のものだという青ひげ。血のように赤い空の雲。)
第6の扉-涙の湖(何の音もしない、何も動かない静かな白い湖。お前は城の光明だと伝える青ひげ。)
第7の扉-「夜明け」「真昼」「夕暮れ」を支配するこれまでの3人の妻たち(殺されていると想像したが実際には生かされていたかつての妻たち。)
そして4番目の妻ユーディット(夜を支配する女)がこの扉の奥に消えていく。

「光」と「闇」が交錯する「調和」の世界。世の中の全てが「表裏一体」だということをバルトークは表現したかったのか?ペローの原作では女性たちは殺されているが、バルトークのこのオペラでは生かされているところがポイント。善悪全てを包括、包容するところに「生」の根源的意味が隠されている。

青ひげへの「愛」を表現するユーディット。
青ひげ公の城は永遠の夜に包まれる。ジメジメとした暗鬱たる暗闇の世界。バルトークの絶妙な音楽が輪をかけて「夜」を演出する。しかしその「闇」の中に一条の光が垣間見えるところが意味深い。

青ひげ公の最後の言葉「もういつまでも夜だ・・・夜だ・・・夜だ・・・」

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