意思の力-自律的な生き方

bach_invention_gould.jpg先日の「人間力向上セミナー」の個人セッションを学芸大学のとあるカフェにて行う。Tさんは齢 30ながら「人生のモティベーション」が誠に明確で高校生のときに想った全てが実現しているというパティシエさんである。今の時代、やりたいことがわからないという若者が多い中驚異的でさえある。過去の話をいろいろと聞かせていただいて、フィールドは違うが、まるでイチローのような生き方だなと感心させられた。
中学卒業と同時にファッション・デザイナーを目指し、専門の勉強をするべく親元を離れ高校に通う。そして、高校2年のとき師であるF先生(国会議員としても有名な方)の書籍に出逢い、感動。その後は周りの友人に将来F先生の弟子になると公言する。数年を経、パティシエの専門学校のとき偶然F先生に出逢う機会を得、自分が作ったお菓子を差し入れたのが転機となる。数日後、先生から美味しかったという手紙をいただき、まずます先生に惚れ込む。そして、卒業後は横浜のとあるケーキ屋に就職。そこでまた偶然F先生に出逢うことになり、ちょくちょくとかわいがっていただいたようだ。しかしながら、ここからがまた奇跡。仕事を通じながら、自分自身の幅の狭さに気づいた彼女はお店を辞め、新たな道を探ろうと決意し、F先生に報告の電話をしたところ、たまたま助手が産休に入るので自分の助手にならないかというお誘いがあったという。晴れて高校生のときに想ったことが現実化し、今やフランス修行を経てフリーランスで活躍するという才媛である。
本当に見事だ。ご両親も子どもの頃は貧しく厳しい生活を強いられていたにもかかわらず、反面教師的に彼女を育てたようでちょっとばかし感動してしまった。彼女の場合、あとは人前で緊張する癖をとり、プレゼンテーションの達人になりたいという。「大丈夫、君ならできる」と声援を送った。

Tさんのような人を見ると、人間の「意思の力」というのは絶大であり、どんな人でもモティベーションさえあれば何でも実現していくものなのだと再確認させられた。「意思」とはまさに「波動」である。こういう時は「強い意思」を持つ音楽を聴きたくなる。

J.S.バッハ:インベンションとシンフォニアBWV772~801
グレン・グールド(ピアノ)

「強い意思」音楽の最右翼がグールドの弾くバッハ。これほどまでに個性的でかつ的を射た演奏はないだろう。
J.S.バッハがケーテン時代の後半に弟子たち(特に長男のヴィルヘルム・フリーデマン)の教育用に書いた傑作曲集をグールドが料理する様は絶妙であり、感動的。ピアノを習ってきた人なら誰もが必ず弾くであろうこの「練習曲」が一瞬にして神がかるところが奇跡だ。誰も追いつけない高みに達している・・・。

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