Coltrane live at Birdland (1964)

1957年に私は神の恩寵により宗教的な目覚めを経験したことで、以前よりも豊かで満ち足りた、実り多い人生へと導かれた。そのとき、私は音楽を通じて人々を幸福にする方法と特権が与えられることを恭しく求め、それは神の恩寵によって授けられたと感じている。神に祝福あれ。
(1965年)
KAWADE夢ムック「ジョン・コルトレーン」(河出書房新社)P136

宗教的な目覚めを経験してから、彼に残された時間はたった10年だった。しかし、その間の、コルトレーンの成長というのか、生み出す音楽は、壮絶さを増していった。特に、ライヴの凄まじさ。

うねりのある、熱を帯びた音楽は決して廃れない。
時を経るごとにジョン・コルトレーンの音楽は、凡人には手の届かないものになっていった。しかし、どんなに外面が変化しても、コルトレーンの創造する音楽は、いつ何時もコルトレーンの音だった。

ただ、偉大なメロディは書き尽くされてしまった感がある。リチャード・ロジャース&ロレンツ・ハートが書くような曲は見当たらない―ああいった偉大な曲は。今どきのレコードはどれも頭に来るほど俗っぽいリズムとギター・アンプのせいで、とても聴けたもんじゃない。いいメロディは一度聴いたら、必ず耳に残るものだ。ただ、きっとまたそういう時代が来る。アメリカでは、ラジオやテレビでポピュラー・ミュージックがしょっちゅう流れている。2,3歳の子供ですらツイストが踊れるくらいだ。ポピュラー・ミュージックの勢いはしばらく続くだろうが—どれだけ長続きするかは、個人の手に委ねられているんだ。ひょっとすると、ジャズへの興味が高まるかもしれない。そういうことがまったくないとは言い切れないからね。
(1963年10月23日、ランディ・ハルティンとのインタビュー)
クリス・デヴィート編/小川公貴、金成有希共訳「ジョン・コルトレーン インタヴューズ」(シンコーミュージック)P306

彼の音楽には、聖と俗が混在し、そのバランスが絶妙な時期こそが、彼の絶頂期だったと言えまいか。「聖者」になることを求めて、俗なるもの(ポピュラー性など)を喜捨した彼の音楽は、当時の大衆にはあまりに難しかった。

その、ギリギリの時期の、絶好調のライヴ録音が素晴らしい。

・Coltrane live at Birdland (1964)

Personnel
John Coltrane (tenor saxophone, soprano saxophone)
McCoy Tyner (piano)
Jimmy Garrison (double bass)
Elvin Jones (drums)

“Afro Blue”,”I Want To Talk About You”,”The Promise”の3曲が、1963年10月8日、ニューヨークはバードランドでのライヴ録音。そして、”Alabama”と”Your Lady”の2曲が同年11月18日のセッション録音である。ソプラノにせよテナーにせよ、コルトレーンのサックス独演は、聴く者を空想の世界に誘ってくれる。それはまさに彼が想像力で垣間見た真の天上の世界だ。

アラバマ州バーミンガムの黒人教会で、爆破により犠牲になった4人の少女を追悼して書かれた”Alabama”の涙こぼるる深遠な美しさ。

コルトレーンは、皮膚の色を越えて人間は互いに愛し合うべきであり、それによって平和な世界が実現できるのだという信念をますます強固にし、音楽によってその気持ちをあらわしたいと思った。
(油井正一)
~MVCI-23013ライナーノーツ

ジョン・コルトレーンはまさに実践者だ。

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