先日、アントニオ・カルロス・ジョビンを聴いた。
久しぶりにアンニュイで、哀感溢れる音楽に酔い痴れたが、その日は偶然にもマイケル・フランクスの80歳の誕生日当日だった。
フランクスの77年の名盤「スリーピング・ジプシー」をとり出して、参加ミュージシャンの錚々たる名前を確認してあらためて驚いた。
音楽に関してはほぼ独学の天才は、やはりセンス満点といえる。
半世紀近くを経過した楽曲がまったく色褪せず、心に染み入るのだ。
・Michael Franks:Sleeping Gypsy (1977)
Personnel
Michael Franks (vocals)
Joe Sample (keyboards)
Wilton Felder (bass guitar)
John Guerin (drums)
Larry Carlton (guitar, lead guitar)
David Sanborn (saxophone)
Michael Brecker (saxophone)
Larry Bunker (percussion)
Ray Armando (percussion)
João Palma (drums)
João Donato (piano)
Hélio Delmiro (rhythm guitar)
Claus Ogerman (strings arrangements, conductor)
Israel Baker (concertmaster)
名曲”Antonio’s Song (The Rainbow)”の美しさ。
一度聴いたら忘れられない旋律はカルロス・ジョビンへのオマージュ。
そして、”Down in Brazil”でのジョアン・ドナートのピアノ、ラリー・カールトンのリード・ギターが静謐かつ大人の味わいで堪らない。
日が沈む。一日の労苦に疲れた憐れな魂の裡に、大きな平和が作られる。そして今それらの思想は、黄昏時の、さだかならぬ仄かな色に染めなされる。
「黄昏」
~ボードレール/三好達治訳「巴里の憂鬱」(新潮文庫)P81