Led Zeppelin Boxed Set (1990)

もう30年前のこと。
ジミー・ペイジがレッド・ツェッペリンの既出の音源をリマスターし、選りすぐりの楽曲を4枚組にしてリリースした、LPジャケット大のボックス・セットを手に入れ、初めて聴いたとき、選曲(全54曲)の絶妙さと、その並び具合の巧みさに僕はとても感動した。
あのボックスはいまだに僕の座右のセットで、今でも時折取り出して聴いては、いつどんなときも心を動かされるのだからすごい。
ここには間違いなく永遠がある。

今、僕は北の地にいる。
いわば癒しの旅ではあるが、遊びが目的ではない。
強いて言うなら「観光」だが、それは文字通り、真の意味たる「光を観る」ための旅である。
自らの光を見出し、自らを明らかにすることと、僕が観た光を仲間に共有することが目的だと言っても過言ではない。

温故知新。
古き良き音楽には、永遠がある。まさに光を放っている。

・Led Zeppelin Boxed Set (1990)

Personnel
John Bonham (drums, percussion, backing vocals)
John Paul Jones (bass guitar, keyboards, mandolin)
Jimmy Page (guitars, backing vocals, production, digital remastering)
Robert Plant (vocals, harmonica)
Sandy Denny (vocals on “The Battle of Evermore”)
Ian Stewart (piano on “Rock and Roll”)

ジョン・ボーナムが急逝し、突如幕を下ろしたレッド・ツェッペリンの壮大な歴史のページェント。異様なテンションで紡がれる54曲は、聴く者に全集中を要求する。
あらためて振り返ると、この4枚は、まるで四季のようにツェッペリンの歴史が春夏秋冬の如く変遷していくことを示してくれる。
僕たちにとってレッド・ツェッペリンは必然だった。

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

“Whole Lotta Love”による幕開けが強烈だ。すべては「愛」に収斂される。

夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光て行くもをかし。雨など降るもをかし。

そして、“Black Dog”は闇の中の蛍のように光輝を放つ。

秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。

また、8分30秒に及ぶ“Kashmir”を含む3枚目は、ツェッペリンの頂点。

冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も、白き灰がちになりてわろし。

“In the Evening”のに始まる4枚目の、脱力の軽快さこそがツェッペリンの到達点。
完璧である。

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