骨髄異形成症候群という大病を患い、無事復活を遂げた後のインタビューで、ジョージ・ウィンストンはかく語った。
何であれ、人生で起きたことは音楽に影響するよ。
表現というものは、自身の体験から生じるもの。
逆に言うなら、体験のないところに人を感動させる表現は不可能だということだ。
独特の、音の揺らめきと煌めき、そしてまた弾けるような官能と音にならない静寂が交差する瞬間が多発する音調は彼ならでは。四季に触発された4部作のすべてが名作だけれど、何より自然と一体になった音楽の素晴らしさ。ピアノ・ソロで大宇宙と小宇宙の連関が見事に表現される様子に僕はとても感動した。あれから40年近くが経過する。
・George Winston:Winter Into Spring (1982)
-January Stars
-February Sea
-Ocean Waves (O Mar)
-Reflection
-Rain / Dance
-Blossom / Meadow
-The Venice Dreamer A. Part One Introduction / B. Part Two
Personnel
George Winston (piano)
3枚目のソロ・アルバムに限らず、彼のピアノに共通するのは寂寥感に溢れる孤独の影だ。いや、それは僕の勝手な妄想かもしれない。孤独を好む(?)僕は音楽の中に無意識にそういうものを求めるのだろうから。何にせよ聴き手の心のあり方は行為そのものに影響を与える。久しぶりに耳にしたジョージ・ウィンストンは僕の心に火をつけた。
Autumn into Winter… 秋から冬へ。すべてに感謝。