きくちのきょうだい kikuchi sibling first concert

きくちのきょうだいのファースト・コンサート。
とても素晴らしかった。

音楽面のすべては弟の幸太郎くんが仕切り、MC含めその他の面は姉の沙弥さんが主となって活動しているのだと聞いた。幼少期からマリンバに親しみ、二人とも音楽大学に進み、パーカッションの分野で研鑽を積み、ついに姉弟初のコンサートが開催される運びになったらしい。

幸太郎くん曰く、ともかく人と協働で音楽をすることの楽しさを子どものときマリンバを通じて知ったという。今回はソロあり、二重奏あり、そして師匠の十鳥勉氏とのトリオあり、と、文字通り音楽を共にする愉しさを味わせていただける最高のひと時だった。

プログラムの最初を飾るバッハのパルティータ第3番から痺れた。
誰がアレンジしたのだろうと思ったが、後で訊いたところ、ラフマニノフのピアノ編曲版をもとに幸太郎くんが音符を抜いたり、付加したり、マリンバ二重奏用に編曲したということだった(いやはやこれは素晴らしい才能であり、裏に隠しておくのは実にもったいない。昨年末からN響アカデミーに在籍するほどの逸材ゆえいずれ近いうちに名が通る人になるだろうけれど)。
その後、各々のソロが入り、前半最後の(師匠の十鳥氏が入っての)ロッゲンカンプの”African Blues”がまた素晴らしかった。打楽器の持つ、人の魂を感化する、大地から湧き上がるような、そして会場の空気を震わせる音の放射に(途中居眠りしていた?)僕は飛び起きた。沙弥さん曰く、本来はもっと遅いテンポで、あくまでブルース調の作品なのだが、十鳥先生がいきなりアップテンポでスタートしたものだから、ああいう激しい音楽になったのだとか。それぞ実演の効果であり、会場の聴衆の気と一体になった名演奏だったと僕は思う。

後半は色とりどりの作品がとり上げられ、パーカッションの楽しさも倍増、聴衆の熱気も最高潮に達した。
中で、「雷鳴と稲妻」に僕は痺れた。あの有名なポルカが、現代の刺激的な音楽に変貌し、たった今生み出されたパーカッションのためのプログレッシブ・ミュージックのように僕には思えた(ドラムスの多田くんのパフォーマンスもまた最高!)。
それにまたロペスのタンバリン二重奏を演奏するきくちのきょうだいの息のぴったりさに(すべての曲においてさすが姉弟というだけの調和が見事だったのだが)感激した。幸太郎くんが創作した「酔いどれ音頭」は楽器ではなく日常的に使用する木べらやごみ箱(?)などで演奏され、音楽が決してかしこまったハードルの高いものではなく、日々どこにでもあり、いつでも演奏し分かち合えるものだということをあらためて教えていただけた。同じく「日本チャチャチャ」も懐かしいメロディーのオンパレードで、美しい旋律に酔い痴れた。
そして、掉尾を飾る浜田均の「SORACHI II」はもちろんのこと、アンコールのスティーヴィーの”Sir Duke”に触発され、会場は大盛り上がり。
きくちのきょうだいが語ったこれまで育ててくれた両親や関わっていただいた師、出逢った友人、仲間たちへの感謝の言葉に感動。涙と笑顔に溢れるこれぞまさに「皆大歓喜」の時間だった。

コンサートの準備には1年近くかかるのだという。
2ndコンサートが今から楽しみだ。

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