境目

つい先日「SQ魂の知能指数」という本を読んだのだが、これが滅法面白い。数年前の「EQこころの知能指数」の二番煎じかと思ったが、タイトルはともかく内容はさにあらず。人間の脳というのは複雑だが、突き詰めていくと、EQもIQ同様一本の木の枝のようなもので、大本の幹は「SQ」に通じるのかもしれないと考えるようになった。

ところで、この本によると、創造的行為はすべて「秩序」と「混沌」の「境目」で起きているのだという。

わかっているものとわからないものの境目
知ることができるものとできないものの境目
意味と無意味の境目
安定と混乱の境目
躁と鬱の境目
正気と狂気の境目
悦びと絶望の境目
抵抗と誘惑の境目
善と悪の境目
光と翳の境目
生と死の境目
安心と恐怖の境目
熱狂と抑制の境目
歓喜と無の境目
愛と愛の喪失の境目
愛と愛の欠如の境目
・・・

神の如き創造主であるモーツァルトは常にこの「境目」で自分自身と闘っていたのだろう。特に、後期の交響曲群はギリギリのところで生み出された「無邪気な赤子のような」危うさと「全てを悟りきった老僧のような」完璧さが同居する傑作揃いである。モーツァルトの音楽を聴いているとどうも直観や閃きが増す。世にいう「癒し」やリラクゼーションの音楽というレベルではないようにここのところ思うようになった。36歳という若さで神に召されなければならなかった理由もよくわかる。

モーツァルト:交響曲第36番ハ長調K.425「リンツ」
ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団

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