古くて新しい・・・

久しぶりに六本木で古くからの後輩たちと酒を酌み交わす。
出逢って20数年。思い出話に花咲き、当時のことが走馬灯のように蘇る。
ついでに20年ぶりの「同窓会ワークショップ」を企画しようという話に発展。それは面白いと同意。

ところで、昨日、CD棚の整理をしていて見つけた音盤。
へぇ、こんなのも持っていたんだと、自分に吃驚。カラヤンが亡くなる9ヶ月前に手兵ベルリン・フィルとセッション録音したブラームスの第4交響曲。当時、全4曲がそれぞれ管弦楽曲とカップリングされてリリースされた記憶があるが、手元にあるのはどういうわけか第4番のみ。どんな動機で手に入れたのかわからないが、おそらくその時以来一度も聴いていないだろう代物。僕の場合そういうCDがいくつもあるように思うが、きちんと整理して不要なものは売却し、棚のスペースを大幅に確保しても良い頃合い―断捨離時期かも。
しかしながら、聴いてみて正直のけぞった。「良い」のである。およそ僕が昔から持っていたカラヤン像を完全に払拭するような名演が繰り広げられる。これはカラヤンが最晩年になって巨匠になったというのではなく(いや、カラヤンは若い頃から巨匠ではあるけれど・・・笑)、当然僕の耳がいけなかった、というより刷り込みによる勝手なイメージを抱いていたいお蔭でまともに聴いてこなかったということに過ぎない。やっぱり幾度かあった実演に触れる機会を、たとえ高額のチケット代を支払ったにしてもきちんと得ておけばよかったと今更ながら後悔する。

どうもスポーツカーのようなそっけない快速テンポが昔は好きではなかったように思うが、例えばこの第4交響曲など、どこをどう切り取っても理想的なタイミングで(同曲異演盤を所有していないので比較したことがないので何とも言えないけれど、もっとテンポはせかせかしていたように思うのだが)、しかもカラヤンの代名詞だとも誤解していた「無機的な響き」など一切なく、特に終楽章のパッサカリアなど弱音による夢見るような「空想」と強音の挑戦的な「現実」の対比が刺激的で、繰り返し何度もこの楽章だけを取り出して聴きたくなるのだから素敵。

ブラームス:交響曲第4番ホ短調作品98
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1988.10録音)

ああ、そういえばこの曲は古くて新しい。あくまで保守的な枠組みの中に、あるいは過去の天才の作風に倣いながらも独自の新境地を切り開く。臆病に見えて実にヨハネスはチャレンジャー・・・。
明日はいよいよ合気道奉納演武。始めて2ヶ月の僕がその役に抜擢された。普通ならありえない状況だと。ピンチはチャンス。この際楽しんで挑戦してみよう(どうなることやら・・・汗)。


3 COMMENTS

雅之

おはようございます。

昨年からずっと、CDの来し方行く末について考えています。

「図解 ブルーレイディスク読本」( 田中 伸一、 小川 博司 監修 オーム社 (2006/12) )
http://www.amazon.co.jp/%E5%9B%B3%E8%A7%A3-%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AF%E8%AA%AD%E6%9C%AC-%E7%94%B0%E4%B8%AD-%E4%BC%B8%E4%B8%80/dp/4274203417/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1326587202&sr=1-1
序章 1〜2ページより

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最初の12cmの光ディスクが世に出たのが、1982年10月1日でした。コンパクトディスク(Compact Disk:CD)のリリースです。今から思えば、もっといろいろなことがやれたという意味では、光ディスクとしてはずいぶん不十分なものでした。それなのにCDがあれだけ普及したのは、ディジタルオーディオにかけた当時ソニー技術研究所の中島所長たちの世代の語る熱い夢と、その夢を実現しようとした数え切れないエンジニアたちの不屈の精神と、彼らを鼓舞し続けた世界中のオーディオファンの力に負うところが多いと思います。
 
 今の方々には信じられないことかもしれませんが、当時、オーディオセット(アンプとFMチューナ、テープデッキ、LPプレーヤと2個の大きなスピーカセット)はとても高価で、持っていることが一つのステータスシンボルのような感さえありました。携帯電話はおろかパソコンもなく、コンパクトカセットのウオークマンももちろん、MP3のような携帯音楽プレーヤもなかった時代です。音楽を楽しむのは、FM放送とそれをカセットテープに録音して(今では死語であるが、当時はエアーチェックと言った)聞くか、LPレコードを聞くかくらいでした。
 
 当時はLPレコードも高価で確か当時の統計で、一台のオーディオセット当たり数枚のLP普及率だったと記憶しています。クラシックのLPなど3000枚売れれば大ヒットとさえ言われていました。オーディオのセットは高価なうえに操作が微妙で、前述の中島さんの家では、奥さんがLPを聴きたいのために中島さんの大切なオーディオセットの電源を入れる順番を機器の上に番号を記した紙を貼り、そのとおりにスイッチを入れるように奥さんに教えて、大切なLPレコードに傷がつかないようにしていたと聞いたことがあります。
 
 CDは、このような状況を打破し、もっと音楽を身近で手軽に楽しめるようにという目的で企画されました。つまり、高音質であり、世界中どこの音楽でもどこのプレーヤででも再生できることは当然ですが、それにも増して操作性などに革新的な改善を要求されたのです。
 
 さて当時、CDを引っ張ったソニーの大賀副社長(当時)は、最初のCDの導入のときにオーディオの技術革新の周期25周年を唱えました。すなわち、エジソンの発明から1982年は100年、その間に3回の大きな革新があり、CDにつながったということです。それは、大賀さんの言を借りれば、CDの寿命は2007年ということになりますがまだまだ長生きしそうですね。次の25年間のオーディオというコンテンツのキャリアとしての役割を担うのはSACD、DVDオーディオのような高音質を誇るものになるのでしょうか? あるいは、MP3などの圧縮技術とハードディスク、フラッシュメモリに支えられたモバイル中心のものになるのでしょうか? それともまったく異なるものでしょうか?・・・・・・

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CDの商品化実現にカラヤンが大きく絡んでいたというのも、有名な話ですよね。カラヤンがいなければ、CDは違った規格になっていたかもしれませんね。

・・・・・・最大収録時間(74分42秒)が決まったいきさつについて、開発元のソニーによれば以下の通りである。

開発の過程でカセットテープの対角線と同じでDINに適合する11.5センチ(約60分)を主張するフィリップスに対し、当時ソニー副社長で声楽家出身の大賀典雄が「オペラ一幕分、あるいはベートーベンの第九が収まる収録時間」(12cm、75分)を主張して調査した結果クラシック音楽の95%が75分あれば1枚に収められることからそれを押し通した。

その他、カラヤンや大指揮者たちの演奏が絡んでいるという話も流布している。

開発当時、指揮者のカラヤンが「ベートーベンの交響曲第九番を収録できるように」と提言した。指揮者によって演奏時間は変わり、実際には彼の演奏時間は六十数分である。しかし、1951年にライブ録音されたまたはその他のオーケストラとのフルトヴェングラー指揮の交響曲第九番は歴史に残る名演奏とされ、演奏時間もおよそ74分32秒と長いことや、同時代のウィーン・フィルとベームやバーンスタインの演奏がそれに匹敵する長さであることから、これらの演奏がコンパクトディスクの規格になったといわれる。

この話では、カラヤンがなぜフルトヴェングラー指揮による演奏のCD化に対して心配しているのか疑問が残る。ただし、カラヤンが音楽媒体のディジタル化を望んでいたことは事実であり、他方では大賀がフィリップスを説得するためにカラヤンの名を引き合いに出したという見方もある。・・・・・・(ウィキペディア コンパクトディスクの項より)

※今朝の私の結論 
カラヤンのように、もっと未来志向にならなきゃ!!
古いCDを売ってBlu-ray Discをもっともっと買おう!!
かつて心をときめかせながらCDを買い集めた時のように。

返信する
雅之

先程の引用に転記ミスがありました。お詫びします。

× オーディオの技術革新の周期25周年
〇 オーディオの技術革新の周期25年説

初めの機械蓄音機が25年、電気蓄音機が25年、ステレオが25年、そしてCDが今年で30年、というわけですね。

返信する
岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
オーディオの技術革新の25年周期説というのは確かにそのようですね。
おっしゃるとおり古いCDは売却した方が良さそうですが、まぁこれも二束三文でしょうか・・・。
中には初期盤のお宝ものもあるかもしれませんが。

それと30年前のステレオ装置、そしてエアチェックなど懐かしいですね。特にクラシック音楽ファンにとってみるとFM放送の番組表をチェックしてタイマー設定し、テープに録音するという行為が堪りませんでした。古き良き時代です。

>カラヤンのように、もっと未来志向にならなきゃ!!
古いCDを売ってBlu-ray Discをもっともっと買おう!!

はいっ!!

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