ベルクのヴァイオリン協奏曲!

何ヶ月か前、ショップにそれが並んだ瞬間、完璧にジャケ買い!
クリムトの描いた「ヘレネ・クリムトの肖像」。もうそれだけで手が伸びてしまった(笑)。そしてディジパックの3面開きのジャケットを開いてまた吃驚。まずはフランツ・クサヴァー・セッツァーによるアルバン・ベルクのポートレート。そしてもう1枚開くと、今度はレオン・バクストが描いたベートーヴェンの肖像!痺れる。
何てかわいい!何て清楚!!いかにもクリムト然としないタッチがこれまた良い。クリムトのこの絵は昔から好きだった。
実際に中身が何なのかは後から知ったが(笑)、いずれもが超名演奏!どう表現すれば良いのか・・・、まさにヘレネのストレートの黒髪のように、音楽が直線的でありながらそれでいて柔和で優しく、繰り返し聴いても全く疲れないどころか、本当に繰り返し聴きたくなる。そんな素敵なベルクとベートーヴェンなのである。

チョン・キョンファの音盤を長らく愛聴し、時にムターのそれと比較し、さらにはクレーメルのそれに浮気してみたり・・・(笑)、ベルクの協奏曲は長らくそのあたりで止まっていたが、今頃になってまた再発見したような気分。たまたま今度の講座でのテーマになっているので、いろいろと関連楽曲を聴き漁っているが、これは何だか別格のような気がする。

ベルク:ヴァイオリン協奏曲「ある天使の想い出に」
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
クラウディオ・アバド指揮モーツァルト管弦楽団

モーツァルト管弦楽団という小編成のオーケストラがバックだというのが音楽の見通しをより良くする。それにやっぱりアバドの伴奏は本当に上手い。ソリストの力量を知り尽くし、十分に発揮させ、影武者的に音楽の威力を現出させる。愛も死も、作曲者の秘めた思いが音の一粒一粒に乗り移り、飛翔する。とにかく「何て美しい曲なんだろう」という気にしかなり得ない。この20世紀を代表する無調音楽が!!第2楽章前半のもだえ苦しむようなシーンですら「愛」が感じられる。後半の「死の浄化」についてはもはや音楽を超える。

ところで、もっと驚いたのはベートーヴェン!!すごい!!真に素晴らしい!!
柔のベートーヴェンを完璧に音化し、血の出るような有機的な響きが常に支配する。冒頭のオーケストラ提示部からスリムな印象で、それでいて音の強弱やテンポの柔軟な伸縮がばっちり決まって期待が膨らむ。ソリストのヴァイオリンの出と言ったら!!
こんなにも優しく人間的なベートーヴェンは初めてじゃないかな?そんなことすら考えさせられた。特に第2楽章の脱力的静けさとそこから溢れ出る祈りと・・・。

第1楽章のカデンツァは、ベートーヴェンがこの曲をピアノ協奏曲に編曲した際に自作したものをシュナイダーハンがヴァイオリン用に編曲したもの。


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