フラグスタートのバッハ&ヘンデルを聴いて涙する

bach_handel_gluk_flagstad_emi何たるオーラ!魂が震えるというのはこういうことか!!
特別声質が合っているとは思えないのだが、わけもなく感動するのである。1曲目の「オンブラ・マイ・フ」から金縛り。
フラグスタートはワーグナーに限ると勝手に思い込んでいたからこれまで未聴。ボックス・セットのお蔭で彼女のバッハやヘンデルに出逢えた幸運。どんなに言葉を尽くしてもこの感激は表現し切れない。
パーセルもグルックも、何とも妖しげな色香が漂う名品。
SP録音のあの時代は、こうやってアリアの1曲1曲を大事に聴いていたんだ・・・。
凍るような外気を避け、ひとり暖炉の前に佇むような想いで耳にするソプラノ・・・。

キルステン・フラグスタートEMI録音集
・ヘンデル:オンブラ・マイ・フ~歌劇「セルセ」第1幕
ウォーウィック・ブレイスウエイト指揮フィルハーモニア管弦楽団(1948.7.3録音)
・ヘンデル:アリア「わたしは知る、わたしをあがなう者は生きておられる」~オラトリオ「メサイア」
ウォーウィック・ブレイスウエイト指揮フィルハーモニア管弦楽団(1952.12.3録音)
・J.S.バッハ:アリア「憐れみ給え、わが主よ」~「マタイ受難曲」
ヴァルター・ジュスキント指揮フィルハーモニア管弦楽団(1950.6.25録音)
・パーセル:わが今わの際にも~歌劇「ダイドーとアエネアス」第3幕
ウォーウィック・ブレイスウエイト指揮フィルハーモニア管弦楽団(1948.5.29日録音)
・グルック:エウリディーチェなしに~歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」第3幕
ヴァルター・ジュスキント指揮フィルハーモニア管弦楽団(1948.5.27録音)
アルネ・ドルムスゴーの編曲による「カンツォーネ・スコルダーテ」よりの歌曲集
・クリューガー:立ち上がれ、わが心、喜びとともに
・C.P.E.バッハ:懺悔の歌
・J.S.バッハ:おお、暗き夜よ、いつ去るや
・J.S.バッハ:いと尊き主イエスよ
・レーナー:おお永遠
ほか
ジェラルド・ムーア(ピアノ)(1950.6&1952.12録音)

管弦楽伴奏による5曲に目から鱗。フラグスタートの歌唱ももちろんだが、奏法も含めどうにも古き良き英国のオーケストラのいぶし銀の響きが堪らない。間違いなく旧式の解釈だけれど(ブレイスウエイトなる指揮者の名は初めて聞いたが意外にこの人はすごいかも)。

ついでにデッカ・ボックスからもバッハ&ヘンデル集を取り出してみる。

・J.S.バッハ:血を流せ、わが心よ~「マタイ受難曲」 BWV244(エルガー&アトキンス編曲による英語版)
・J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ~カンタータ第147番「心と口と行いと生活で」BWV147
・J.S.バッハ:御身は我がかたわらに~「アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳」BWV508(マイケル・ティペット編曲)
・J.S.バッハ:羊は安らかに草を食み~カンタータ第202番
・ヘンデル:あなたは不安なのですか?~歌劇「ロンバルディア王妃ロデリンダ」
・ヘンデル:全能なる神~歌劇「ラダミスト」
・ヘンデル:おお眠りよ、なぜ私から去るの?~オラトリオ「セメレ」
・ヘンデル:主は羊飼いのようにその群れを養い~オラトリオ「メサイア」
・ヘンデル:私は知る、私を購う者は生きておられる~オラトリオ「メサイア」
・ヘンデル:主を讃えよ(ウッドゲート、マコーマック編曲)
サー・エイドリアン・ボールト指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1956.12録音)

大仰な解釈のバッハ(「憐れみ給え、わが主よ」の何という粋!)やヘンデルが、あるいは英語によって歌われるバッハ(「血を流せ、わが心よ」)が何の違和感もなく心に染みわたる。

学究的見地から言うと邪道なのかもしれないが、こういう昔風のバロック音楽の方が明らかに感動するというのは気のせいか・・・。たぶんに好みの問題や刷り込みもあるのだろうが。まぁ、極論です。
ともかく、ピークは多少過ぎているとはいえ、フラグスタートの名唱がしっかり刻まれた名録音たち(EMIの方は1曲を除きウォルター・レッグの大仕事)。多くの方に聴いていただきたい。

 


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