「ペット・サウンズ」を作っていた時、僕には自分の頭の上に後光がさしている夢を確かに見たんだが、人々には見えなかった。でも今考えてみるとやっぱり僕の頭の上には後光がさしていると思う。このレコードを作っている間ずっと神様がそばにいてくださったんだ。神様は僕のすぐそばにいた。僕には見えたんだ。頭の中でそれを感じることができた。あくまでも頭の中だけでのことだけど・・・。僕等は深く集中するために祈りを捧げた。だからあんな深いレベルにまで入り込むことができたんだと思う。
ライナーノーツより
制作から30年後にブライアン・ウィルソンは語る。このアルバムは真に奇蹟だ。いつどんな時に耳にしてもつい惹き込まれてしまう。ポール・マッカートニーは言う。
「ペット・サウンズ」を聴かなければ、音楽的教育を受けたとは言えないと思う・・・何があっても揺るがない完璧な名作レコードなんだ。
ポールをしてここまで言わしめる歴史的傑作だと断言する。同じくジョージ・マーティンも語る。
「ペット・サウンズ」がなければ「サージェント・ペパーズ」は存在しなかった・・・「ペパーズ」は「ペット・サウンズ」に匹敵する試みだった。
1997年にリリースされた4枚組ボックス「ペット・サウンズ・セッションズ」に収められていたオリジナル・モノラル・ヴァージョンを聴く。何とナチュラルな音なのだろう・・・。
いずれにせよ、ブライアンは欲求のおもむくままに、モノラルのインストゥルメンタル・ミックスを4または8トラックのマシンにダビングし、ヴォーカルを加えるといった方法で4トラックによるレコーディング・セッションを続けた。・・・しかしモノラル・トラックはまさにブライアンの望み通りのものだった。彼は主にフィル・スペクターから制作の影響を受けていたので、モノラルでレコードを作ることは、音質に影響を与える可能性のある、様々なセッティングによる聴き手のステレオ装置の影響なしに、彼の望む通りの音質のレコードを提供することを可能にしてくれるものだと感じていた。
~1996年5月、マーク・リネット
The Beach Boys The Pet Sounds Sessions Produced By Brian Wilson
-Mono Mix Remastered in 1996
わずか30分強のどの瞬間にも神が宿る。大袈裟でも何でもなく・・・。30年来聴き続けても決して飽きない。何やら「音楽の女神」が確実に背後にいらっしゃる・・・。
“Let’s Go Away For Awhile”、“Sloop John B”、そして”God Only Knows”という流れは完全不滅。フレンチ・ホルンによる序奏に始まり、カールのリード・ヴォーカルを耳にした瞬間金縛り。
カールと僕は真剣に祈った。神がアルバムに光を恵み、導いてくださるようにね。ほとんど宗教儀式のようなレコーディングだった。
~ブライアン・ウィルソン
アルバム劈頭を飾る”Wouldn’t It Be Nice”の衝撃!!
特徴の一つはデニスが両掌を耳の後ろで杯状にして歌ったことなんだ。僕はこのサウンドを得るための最良の方法を何時間も考えた。そしてデニスは、これが効果的だと発見したのさ。
~ブライアン・ウィルソン
時間をかけ、練りに練り、様々な革新的アイディアが投入された作品が悪かろうはずがない。ポップス史上の金字塔!!!
何よりオリジナルのモノラルであることがポイント。すべての楽器の音がひとつになり、いわば団子状で耳に届く。しかし、ここにこそブライアンが求めたスペクター流「音の壁」波状攻撃があるんだ(笑)。
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