竹内まりや「TRAD」を聴いて思ふ

mariya_takeuchi_tradご本人曰く、「時代が変わっても流されずに残っていくもの」を目指す気持ちを込めて、「TRAD」というタイトルをつけたのだと。
歌詞に見る直截簡明さ。旋律のなだらかな美しさ。タンゴ調のものであろうと、ロック調のものであろうと、あるいはマイナー・コードであろうとメジャー・コードであろうと、まりやの歌を聴いていると、たとえそれがどんな曲想の楽曲であっても、そこかしこに「日本的なるもの」が感じられる。彼女が出雲の人だからかどうなのか、それはわからないけれど。

彼女がテレビに出ないからとか、作品のプロモーション活動であるコンサートをやらないからここのところヒット曲から遠ざかっているのだとか、たとえネガティブな様々な意見、憶測が出たとしても、僕はこの人の作品にいつも「永遠」と「普遍」を感じてしまう。「TRAD」についても然り。

これまで以上に肩の力が抜け、自然体の竹内まりやが紡がれる。そして、アルバム全編を通じて、何だかとても哀しい。
人と人とのつながり、人生、慈愛を広く語るかと思うと、おそらく個人的な体験を軸にした恋の歌、人間関係の駆け引きの歌、そして人を励まし鼓舞する歌など、実に人間らしい感情吐露に満ちる作品たち。縦にも横にも斜めにも、時間と空間を超えて彼女の歌はすべてを包み込む。

〇〇〇〇〇〇よ
くちびる〇〇〇〇〇〇ど
愛〇〇〇〇〇〇
Yes, I believe
~「Dear Angie~あなたは負けない」

人というちっぽけな存在にフォーカスして一転、愛という大いなる存在に目を向ける。杉真理の何気ないこの歌詞にこそ竹内まりやの歌の、否、存在の本質を発見する。何という絆。

〇〇〇〇〇〇が来ても 私のそばにいて
〇〇〇〇〇〇時が たとえ〇〇〇〇〇〇
永遠に〇〇〇〇〇〇
~「深秋」

歌謡的な旋律の内に垣間見える静かな祈り。

Mariya Takeuchi:TRAD

付録のDVDは”35 minutes of Mariya’s Filmography”と題するMV集。「静かな伝説」に感激し、「Souvenir 2000 LIVE」からの4曲(「カムフラージュ」「駅」「不思議なピーチパイ」「September」)に再び心動かされる。

ところで、世間の評価はいまひとつらしいが、僕はまりやバージョンの「Your Eyes」も好き。
竹内まりやの歌は、澄んでいて清々しく、とても良い。

ちなみに、Special Thanksの中に、大瀧詠一、青山純、アラン・オデイ、3氏の名前があった。山下達郎ともかかわりの深いこの3人のアーティストたちは奇しくも3人とも2013年に亡くなられたのだった・・・。「TRAD」に通底する「哀感」の正体はこれだったんだ・・・。

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