エリーザベト・シューマンのシュテルツェル「御身が共にいるならば」ほかを聴いて思ふ

elisabeth_schumann_emi_recordings100信仰なくして、事に仕えることなし。
バッハは自身の生み出したものでなくとも、美しい作品、愛に満ちる作品は必ずや妻を喜ばせると確信し、「アンナ・マグダレーナのための音楽帳」を作ったのだろうか。宗教とは無関係の、いわゆる世俗曲においてもバッハの作品、バッハが啓発されたのであろう作品には大いなる神が宿る。

あなたが側にいてくれるのなら、私は喜んで逝きましょう。
死へと、そして私の安らぎへと。
ああ、どれほど私の最期が満ち足りることでしょう。
あなたの美しい手が
私の誠実な眼を閉ざしてくれるのなら。

人は死を待たずして生きながらにひとつになれる。身体は分断されど、魂はひとつ。
ここには「覚悟」がある。
覚悟なくして、事に仕えることなし。なるほど、「信仰」とは「覚悟」だということ。

エリーザベト・シューマンの歌う、ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェル作曲「御身が共にいるならば」を聴いて思った。

エリーザベト・シューマンEMI録音集~
・シュテルツェル:「御身が共にいるならば」(擬:バッハ)
レオ・ロゼネク指揮管弦楽団(1934.6録音)
J.S.バッハ:
・第58曲アリア「愛よりしてわが救い主は死にたまわんとす」~「マタイ受難曲」BWV244
ジョン・アマデオ(フルート)
カール・アーウィン指揮管弦楽団(1927.11録音)
・ミサ曲ロ短調より
―クリステ・エレイソン
―ドミネ・デウス
―エト・イン・ウヌム・ドミヌム
マーガレット・バルフォア(コントラルト)
ウォルター・ウィドップ(テノール)
アルバート・コーツ指揮ロンドン交響楽団(1929.5録音)
・アリア「成し遂げられた」~カンタータ第159番BWV159
レオン・グーセンス(オーボエ)
カール・アーウィン指揮管弦楽団(1927.11録音)
・ヘンデル:アリア「ああ、もし私がユバルのリラを手にし」~オラトリオ「ヨシュア」第3幕
カール・アーウィン指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団(1928.10録音)
モーツァルト:
・歌劇「羊飼の王様」K.208第1幕~「彼女を愛そう、生涯変わらずに」
マージョリー・ヘイワード(ヴァイオリン)管弦楽団(1926.6録音)
・歌劇「フィガロの結婚」K.492~
―「自分で自分がわからない」(第1幕)
―「恋とはどんなものかしら」(第2幕)
―「さあひざまづいて」(第2幕)
―「愛の歓びよ、早く来い」(第4幕)
・歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527~
―「ぶってよ、マゼット」(第1幕)
―「恋人よ、さあこの薬で」(第2幕)
管弦楽団(1926.5&6, 1927.2録音)
・モテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」K.165~「アレルヤ」
管弦楽団(1926.5録音)
・フリース:子守歌(擬:モーツァルトK.350)
ローレンス・コリングウッド指揮管弦楽団(1930.2録音)
モーツァルト:
・アリア「男たちはいつでもつまみ食いしたがる(警告)」K.433
ジョージ・リーヴス(ピアノ)(1930.2録音)
・「ラウラに寄せる夕べの思い 」K.523
・「すみれ」K.476
ジェラルド・ムーア(ピアノ)(1945.8録音)
・レクィエムニ短調K.626~「ベネディクトゥス」
ケルスティン・トルボルイ(メゾ・ソプラノ)
アントン・デルモータ(テノール)
アレクサンダー・キプニス(バス)
ウィーン国立歌劇場合唱団
ブルーノ・ワルター指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1937.6Live)

「マタイ受難曲」のアリアに聴く哀しみ。歌うというより泣いているようだ。
一方、「ロ短調ミサ曲」の「主よ、憐れみたまえ」の実に解放的で愉悦に満ちた歌声。
そして、カンタータ第159番の夢見るようなオーボエ独奏に並走するように思いのこもったエリーザベト・シューマンの歌唱。
ちなみに、モーツァルトの「子守歌」として名高いベルンハルト・フリースの「子守歌」の、何という甘く可憐な歌声か・・・。

眠れよい子よ 庭や牧場に
鳥も羊も みんな眠れば
月は窓から 銀の光を
そそぐこの夜
眠れよい子よ 眠れや
(堀内敬三訳詞)

 

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