不思議な感覚。
世界の始まりはパルス(鼓動)であり、終わりもパルスだ。
永遠は概念によって閉じ込められる。
時間は無限、しかし、身体は有限だ。
世界のすべてには始まりがあり、終わりがある。
そしてまた、世界は無常。色即是空、空即是色。
スティーブ・ライヒの「18人の音楽家のための音楽」を聴いて夢想した。
連綿たる流れ、また変幻自在の11のセクション。変わらぬパルスの中で泳ぎ続ける魂。宇宙の真理を垣間見るようだ。
私は、音楽会場で私の作品を音楽家に生演奏してもらうことに関心があるからです。そして、ポップ・ミュージシャンのチャック・ベリーが歌った、「どんな古いやり方でも使ってよいany old way you use it」という考えを信じています。これこそ、ヨハン・セバスチャン・バッハに当てはまる方法だと思います。・・・(中略)・・・彼の音楽はかなりの強度を持っているので、どのようなコンテクストが与えられようが、どれほどの大きさの部屋であろうが、どのような音響であろうが、それらに関わらず機能するのです。
~ハンス・ウルリッヒ・オブリスト著/篠儀直子・内山史子・西原尚訳「ミュージック―『現代音楽』をつくった作曲家たち」(フィルムアート社)P281-282
なるほど、容れ物は何でも良いと。それこそ中身が重要で、いかに聴衆に感動を与えるかが鍵だとライヒは言う。そのためにまずは、あらゆるイディオムを受け容れることに意義があるようだ。
・ライヒ:18人の音楽家のための音楽(1974-76)
スティーブ・ライヒと音楽家たち(1996.10録音)
いつ果てるとも知れぬめくるめく音響。反復の中にありながら刻々と変化する恍惚。人生は山あり谷あり。世界が開かれることを思う。
「18人の音楽家のための音楽」は大きな成功となり、私が常々聴いて欲しいと思っていた層の人たちの耳にもこの曲は届きました。クラシック・ファン、ポピュラー音楽ファン、前衛的なジャズのファンの人たちの耳にも届きましたが、それは、この作品がECMから発売されたからです。
~同上書P288
スティーブ・ライヒの素晴らしさは実践的であり、かつ革新的なところ。
彼は若い音楽家に向けて次のように語る。
今に限らず、いつの時代でも、「自分の音楽の演奏に関わってみなさい」とアドヴァイスします。作曲家の仕事は、作品の最後に終始線を引いて終わるわけでは決してなく、その音楽が確実に演奏されるようにし続けることです。
~同上書P290
何事にも卒業はない。いつまでも現役であることが重要。
世界は本当に不思議。
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