ぶれない自分軸

gluck_mackerras.jpg気がつけばあと2週間で2008年も終わる。いわゆるサラリーマン業から足を洗ってまる2年が経過しようとしている。この間、諸事情により大々的にセミナーを開催することは憚られ、ほぼ口コミにだけ頼るという状態で、2ヶ月に1度くらいのペース、しかも1回につき数人という規模で、試験的にやらせていただけたことはとても幸運なことであった。
とにかく、「新しい考え方」、「他にない考え方」を見つけたくて、1回1回のセミナーに関して全力投球した結果、これだというひとつ大きな「真理」を見つけられたことが収穫。

人は皆誰でも環境に左右される。そして誰もが長年受けてきた教育によってある意味「洗脳」される。良い意味でも悪い意味でも、だ。悪い方の例を挙げてみると、「人の評価を気にして生きる」人になってしまうということ。あるいは、人と比べて上か下かでしか自己評価を下せない自分になってしまうと言ってもよいかもしれない。18歳までは勉強ができる子は「優等生」の肩書きをいただき、意気揚々と学校社会を闊歩する。一方、できない子は劣等感の塊となり、挙句は後々までそのコンプレックスが生きていく上での「障害」となる。しかしながら、それは「学校」というシステムの中に限ってのこと。学校を卒業してしまうと、「優等生」であろうと「劣等性」であろうと、比較して自己を評価する癖だけが残ってしまうのだ。結局、他者評価に頼るばかりで自己評価できず、「自分に自信が持てない人」になってしまいかねない。大なり小なり今の日本人はこういう状態に陥っている人が多いはず。

それを「軸が外にある状態」と僕は名づけた。さらに「軸が外にある(つまり、人の評価ばかりを気にする)状態のときは、意識がついつい自分(だけ)に向いてしまう。つまり、「我(が)に入る」-すなわち、自分のこと、自分を守ることばかりを考えるということだ。そうなると人間は「不安」に陥る。その「不安」が諸々の問題を引き起こす「元凶」だということに気づいた。
では、どうすれば良いのか・・・?
逆に、「軸を自分の内にもつ」こと、すなわちそれを「ぶれない自分軸」と呼ぶ(決して自己中心的になるという意味ではない)が、そうなるように自己をコントロールすることが重要になる。自分がこうありたいという「自分らしさ」を見つけ、しっかり地に足を着けること。その状態で、意識を「他」に向けるのである。喜んでいただくために自分が他者に何ができるのかを知ることが大事。あるいは、そういう意識で事に取り組み、他人と絡めば物事は必ず好転する。少なくとも「意識が外に向くか内に向くか」のチェックが日常の中でできれば自ずと変化と成長が起こると僕は思うのだ。

これが2年間の大いなる「気づき」であり、「真理」。そして、それを体感的に落とし込め、自ずと「自己変革と成長」を起こすセミナーが「ワークショップZERO」。2009年は、このセミナーを通して多くの方に大いなる「変化と成長」きっかけを与えられるようになりたい。

グルック:歌劇「アルチェステ」
ジャネット・ベイカー(メゾソプラノ)
ロバート・ティアー(テノール)
チャールズ・マッケラス指揮コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団ほか
(1981.12.12Live)

ハイドンやモーツァルトと同時代を生きたクリストフ・ヴィリバルト・グルックは、進歩主義者で改革主義者であった。後のベルリオーズはグルックの信奉者であったようだし、かのワーグナーの楽劇に多大な影響を与えたともいう。現代の耳ではそれほどの前衛性は感知できないが、この「アルチェステ」などを聴くと、おそらく18世紀中頃の聴衆(=貴族)にとって全てが斬新であり画期的であったのだろうと伺える。当時、歌劇場では歌手が圧倒的に権力を持ち、オペラ作曲家はまるで歌手の下僕と化していたといわれる中で、音楽と歌のバランスを重視し、作品の重みを前面に出そうと創作を続けたグルックは、毅然たる信念と類稀なる才能を武器に世の評価と戦いながらも、数々の傑作を残した天才だと思う。

グルックのオペラは上演機会が少ないように思うが、もっと聴かれるべきである。モーツァルトのオペラ作品と同等の価値があるから。加えて、80年代初頭のマッケラスの指揮はことのほか素晴らしい。

6 COMMENTS

もっち

>「軸が外にある状態」と僕は名づけた。
時々軸が外に行ってしまうことがあります。
>さらに「軸が外にある(つまり、人の評価ばかりを気にする)状態のときは、意識がついつい自分(だけ)に向いてしまう。つまり、「我(が)に入る」-すなわち、自分のこと、自分を守ることばかりを考えるということだ。そうなると人間は「不安」に陥る。その「不安」が諸々の問題を引き起こす「元凶」だということに気づいた。
スポーツをしてる時にピンチになると、どうしても勝ちたいと思うあまり「仲間のためにはどうしたらいいか?」を冷静に考えます。
それを続けてるうちに、「仲間のために考えてあげてる」になって結局、我に入ってしまっていて偽善になってることがあります。
余裕がなくなると我に入っていることにすら気づかないことが多いです。
「負けず嫌い」は我の落とし穴が多いように感じます。

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おかちゃん

>もっち
おはよう。
>時々軸が外に行ってしまうことがあります。
あぁ、人間は誰でもそうだから、それは仕方ない。僕ももちろんずれること多々あり。ただ、そういう時に「自覚」できるということが大事なんだよね。
スポーツの場合は、観てくれているお客様に感謝するっていう「プロ」が多いでしょ。みんなに支えられてるっていう気持ちと皆さんに喜んでいただけているという気持ちが必要だよね。
>余裕がなくなると我に入っていることにすら気づかないことが多いです。
そう。その通り。だから精神的にも肉体的にも「余裕」が必要です。負けず嫌いというのは結局誰かと比較しての話だからね。かといって腑抜けにならずに、焦らず「自分らしく」かな。

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雅之

おかちゃんのセミナーを受講してから、正直なところ、仕事は絶好調です。目に見えて仕事運が付いてきました。この不景気なご時勢に大変ありがたい話で、感謝の極みです。アドバイスも実践していますよ!ただ、先生、宿題だけはもうちょっと待ってください、どうかお願いします。
オペラの父、グルックのオペラは、聴きやすく楽しめますね。それに私は、聖書の話などよりギリシャ神話の方が、肩もこらないし、受け入れやすいです。ワーグナーの「指輪」のようにヒステリックにもならないし、全曲通して聴いても疲れが少ないです。

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ゆうき

岡ちゃんさん、お久しぶりです!
いつも岡ちゃんさんのブログを楽しみに読ませて頂いていますし、その度に色々な気付きを与えられております。
今日のブログの内容には、思わずグッと感じるものがありました。
就活のアドバイスの際にも仰っていましたよね、この事。
今、自分の軸というものが本当に自分というものに立脚して内在し、そしてそこから「他」を見ることが出来てるのかはまだ分かりません。
が、意識する中で少しずつでも、岡ちゃんさんが仰るような力強い軸を作っていきたいと思います!
よっしゃー!

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おかちゃん

>雅之様
おはようございます。
>セミナーを受講してから、正直なところ、仕事は絶好調です。目に見えて仕事運が付いてきました。
お役に立てて良かったです。アドバイスの実践もやっていただいているとは!それはうまくいくと思います。
>宿題だけはもうちょっと待ってください
(笑)いいですよ、いつでも。お忙しいのはいいことですから。
グルックはほんとにいいですよねぇ。全曲が一気に聴けて、しかも音楽的内容も重厚で満足できます。

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おかちゃん

>ゆうき
おはよう。ほんとに久しぶりね。いつも読んでくれてたんだ。ありがとう。
そうそう、ここで書いたことは「自分らしく生きる」ための普遍的な真理だと思うんだ。しかも雲をつかむような目に見えない話じゃなく、誰もが実践できるところがいい。
ただ、それがどういうことなのか理屈じゃなく、一度体感に落とし込んだ方がいいね。社会人になってからでいいので一度「ワークショップZERO~人間力向上セミナー」を受講しに来なさい。
またゆっくりと。

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