自分らしくあるために

machaut_deller_consort.jpg「自分らしく」生きること、「自分らしく」仕事をすること、「自分らしく」楽しむこと。誰もがそうありたいと願う。「自分らしく」というのは人間が生まれながらにもつ通奏低音のように鳴り響く欲求。

企業の大小を問わず「うつ病」で休職したり、離職せざるを得ない人が多いという。表沙汰にはならない数字ゆえ、どこの企業でどれくらいの「うつ病」患者が出ているかどうかは不明だが、マスコミで報道されるのなどは氷山の一角に過ぎないだろう。
ストレス・マネジメントといっても「対症療法」的なものがほとんどで、抜本的な解決に至るものは少ない。そもそも社会システムそのものを一旦ゼロに戻して再生しなければならないほど、日本国のしくみ、否、というより「資本主義」のしくみが行き着くところまで行ってしまっており、誰もが目先のことでいっぱいいっぱいで、全体を正しく見ることができなくなっていることが大問題。それに押し潰されないように各々がせめて自分自身の精神管理はしっかりとしなきゃいけない。ひょっとすると「お金」を儲けることだけを基準にして、稼いだ金額で企業なり人なりを評価するというシステムはもうそろそろ終わりにしてもいいのかもしれない。

今やどんな組織(会社にせよサークルにせよ家庭にせよ)の中でも、人のことを考えたり、ケアをできる余裕のある人が極めて少なくなっている。放置され、人に相談できなくひとりで抱え込み、最終的に精神的な病に陥る。その人がその人らしくあるためにはどうすればいいのか・・・?

人間は人間を必要としている。ただそれだけである。ダイヤモンドがダイヤモンドでしか磨けないように、人は人でしか磨けない。他者とのコミュニケーションを深く円滑に図る術を身につけないことには本当の意味で「自分らしくある」ことは難しい。

真冬の雨は体の芯まで冷やすほど強烈だ。表参道辺りを歩きながらそんなことを考え、ふと「癒し」の音楽に触れたいと思った・・・。

ギョーム・ド・マショー:4声のためのノートルダム・ミサ曲
アルフレッド・デラー指揮デラー・コンソート・ロンドン
コレギウム・アウレウム合奏団員

14世紀中頃、フランスのランスに生まれたマショーが聖母マリアのために書いた現存する最古の通作ミサ曲。単旋律のグレゴリオ聖歌とはまた違った趣の、それでいて直截的なエネルギーを感じさせてくれる名曲である。キリスト教圏でない我々日本人がこういう音楽を真に理解するのは難しい。
しかし、時代も言葉も違えど、ましてや文化の違いすら超えて迫ってくる人智を超えた「何か」がこういう古い音楽にはある。ともかく「信仰心」というものは忘れたくない。それは特定の宗教にではなく、生きとし生けるもの全てに対する共感であり、愛である。金子みすヾではないが、目に見えるものであろうと目に見えないものであろうと「ある」ということを忘れてはなるまい。

忙しい人たちへ、自分らしくあるために
たとえ短い時間であろうと人と深く交流すること。
古の音楽にただただ純粋に触れること。


4 COMMENTS

雅之

こんばんは。
欲望資本主義は完全に終焉を迎えましたね。
非人道的な人斬りばかりやる基本的人権を無視する企業の製品は買いたくなくなります(私もそういう企業の一員の罪人です)。
それと、今回のアメリカの出来事を見ていると、残念ながらキリスト教社会もダメだなあと思います。宗教は戦争だって防げないではないですか(それどころか戦争を仕掛けています)。ブッシュも敬虔なプロテスタントのクリスチャンですし・・・。
資本主義でも共産主義でもない、排他的な宗教にも頼らない、人を大切にする社会システムって本当にできるのでしょうか?私はガイア理論的な発想の社会しかないと考えており、おかちゃんの、いつもおっしゃることも、究極的には、それに近いと思っています。

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おかちゃん

>雅之様
おはようございます。
僕もまったく同じことを考えています。
主義と主義、イデオロギーのぶつかりあいが今の世界ですね。
僕が「ワークショップZERO」と名づけたのも実はその辺りに意味がありまして。偏らないバランスの取れた全てを包括する「中庸」、「調和」という意味を込めています(言葉にするのが難しく、まだホームページには記載してませんが)。
>私はガイア理論的な発想の社会しかないと考えており
同感です。一人一人が自分の役割に気づき、全てがつながって一つであり、他のために動けるようになれば世の中もっとよくなると思います。

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やっちゃん

初めてコメントします。
私は、中小企業・ベンチャービジネスコンソーシアムという任意団体に関わっています。先月末の講演のテーマは、アメリカ発の「金融クライシス」でした。
結論として、みずほ前田社長の決算説明会(11/26)での談、
「何が起こるか予想がつかない。2003年のバブル経済崩壊では、3つの過剰(債務、設備、人員)に対処すればよかった。現在、市場メカニズムが崩壊し、資本主義のあり方が問われている。一企業の努力ではどうしようもない。」
主催されている明治大学教授は、これからはエコの時代、それとNPO(排除の論理ではなく、参加の論理)の時代とおっしゃっていました。
同感です。

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おかちゃん

>やっちゃん
初コメントありがとうございます。た○のさんですよね?(笑)
ほんとに一企業の努力ではもうどうにもならないところまできてしまってますね。
>これからはエコの時代、それとNPO(排除の論理ではなく、参加の論理)の時代とおっしゃっていました。
エコとNPOの時代ですか!一理ありますね。皆がつながる時だと僕も思います。

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