オッテンザマー&ヴィルトナーのシュポア クラリネット協奏曲第2番ほか(1994録音)を聴いて思ふ

spohr_ottensamer612学びの初めは真似であろう。
他人の良いところを盗み取ることは決して罪ではない。何にせよ謙虚に吸収することが大切だ。

ショパンのピアノ協奏曲はゴーストライターが入っているのではないかという新説がある。それはヨハン・ネポムク・フンメルだと。なるほどいくつかの根拠を聞いてみると確かにそんな気がする。
専門的知識に疎いゆえ論理的には説明できないのだけれど、そんな僕でも、言われてみると直感的にそう思えるのだから、その説はあながち間違いではないのかもしれない。

ルイ・シュポアを聴いて、ショパンは彼からも相応の影響を受けているのではないかと思った。クラリネット協奏曲第2番第1楽章アレグロの、冒頭の管弦楽の入りからそんな様子がうかがえる。先人から吸収し、後人に受け継いでいくことも重要だ。
あるいは、シュポアはやっぱり(当時の作曲家のご多分に漏れず)モーツァルトを規範にしているのだと考えた。
同曲第2楽章アダージョにみる神童的憂愁。クラリネットの途方もない悲しみの表情に感無量。また、終楽章ロンド・アラ・ポラッカの喜び。ティンパニがとても印象的。

シュポア:
・クラリネット協奏曲第2番変ホ長調作品57(1994.1.31-2.4録音)
・クラリネット協奏曲第4番ホ短調(1994.1.31-2.4録音)
・幻想曲とダンツィの主題による変奏曲作品81(1994.2.20録音)
エルンスト・オッテンザマー(クラリネット)
ヨハネス・ヴィルトナー指揮スロヴァキア放送交響楽団

協奏曲第4番の流れるような旋律。
エルンスト・オッテンザマーの奏するクラリネットの縦横無尽の飛翔。第1楽章アレグロ・ヴィヴァーチェは揺るぎない自信に溢れる傑作。また、第2楽章ラルゲットの哀感を帯びるクラリネットの響きに涙し、終楽章ロンド・アル・エスパニョールの熱烈な舞曲に感動する。

ところで、どうしてルイ・シュポアはメジャーでないのか?
多作家で、その音楽の質も実に挑戦的で新しいのに同時代のベートーヴェンやシューベルトらに比して知られないのか?
一聴心に残る旋律美に乏しいからか?それとも作風の変化の幅が少ないゆえ新鮮味に欠けるからか?
何とも不思議。

ちなみに、一層素晴らしいのは作品81。嵐のような急速で激しい幻想曲にシュポアの天才を思う。また、フランツ・ダンツィの主題による変奏曲に溢れる柔らかな愛情。ここでもオッテンザマーのクラリネットは超絶技巧で作曲家の心を見事に表現する。

疲れたときに癒しのルイ・シュポア。

 

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2 COMMENTS

雅之

自分が何の楽器をやってたかで、その作曲家のどの部分に興味を持つかが異なってきたりしますね。

・・・・・・シュポーアは著名なヴァイオリニストであり、顎あての発明者であった。名指揮者として、最初に指揮棒を使い始め、アルファベットの大文字による練習番号を使い始めた最初の作曲家でもある。・・・・・・Wikipediaより

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%82%A2

へえ、そうだったんだ! 今回シュポアを採り上げていただいたことで初めて知りました。

ありがとうございます。

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岡本 浩和

>雅之様

そうなんですよね。
世の中にはまだまだ知らないこといっぱいです。
こちらこそいつもありがとうございます。

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