叡智

schubert_busch_q.jpg人はそれぞれ自らの中にもってうまれた才能があり、やらなければならない使命がある。意識を外に。
心身が随分軽くなったお陰でフットワークも軽くなった。知人の主催する「経営者交流会」に参加した。20名ほどに限定されたパーティーで、ほとんどの方と親しくお話もでき、とても有意義だった。感謝。

先月受診した健診の結果説明があった。概ね問題なし。ただし、同年齢の平均に比べ骨密度が若干低いのだと。先生からは「PCの前に座ってばっかりで運動してないでしょ」と諭されたが、少なくとも日常ではなるべく歩くことを癖にしているので、まったく運動してないわけじゃないと反論した。思い当たる節があるとすれば、菜食生活を基本としているところか。菜食中心だとカルシウム不足に陥るのか、本格的なベジタリアンの方々はサプリメントなどで不足の栄養を補給しているという話を聞く。さすがにサプリメントというのは抵抗があるので、どうしたものかと思案。完全に菜食主義者になったわけではないので、そのあたりはゆるりと解決策を講じるとしよう。

schiele_death_and_maiden.jpgエゴン・シーレの画集をみる。シーレの絵は不気味だ。中でも「死と乙女」の肺腑を抉るような恐怖の様はいただけない。あまりに人間の持つ「不安」を直視し過ぎた、死神に操られているかのような筆致。どうなればこういう絵が平然と書いてのけられるのか理解できないが、少なくとも紙一重のぎりぎりのライン上で描いたのであろうことは容易に想像がつく。とても20代中頃の青年が描いたとは思えない代物。わずか28歳で天に召されなければならなかった(当時流行ったスペイン風邪が原因らしい)のも頷けるというものだ。
オーストリア生まれのこの著名な画家については詳しくないので、これ以上言及することは何もないが、この絵はやはりシューベルトの同名の歌曲、あるいは弦楽四重奏曲にインスパイアされて描かれたのだろうか・・・。ちなみに歌曲「死と乙女」は死を目前に控えた少女と死神の対話という内容の歌詞だが、死というものが決して恐れるものではなく、むしろ永遠の安息を約束することなのだと説く箇所は感動的。

アルバン・ベルク四重奏団による「死と乙女」(新盤)を聴いた後、ブッシュ四重奏団の演奏で同曲を聴いた。

シューベルト:弦楽四重奏曲第14番ニ短調D.810「死と乙女」
ブッシュ弦楽四重奏団(1936.10録音)

歯切れの良い尖鋭的なABQに対して、いかにも大時代的なまろやかな色合いをもつブッシュの演奏。ABQの現代的な演奏が死というものを、いわゆる終末として捉えた演奏であるのに対し、ブッシュのそれは「死こそ始まりなり」というメッセージとして捉えられた肯定的かつ希望に溢れた解釈。そう、浄化を前面に押し出すのがABQだとするなら調和を前面に押し出したのがブッシュ四重奏団だと言ってもいい。僕の好みは明らかにブッシュ盤だが、時にはアルバン・ベルク盤もよし。両方備えるべし。


4 COMMENTS

雅之

おはようございます。
ブログの配色が変わりましたね。目に優しい緑がじつにいい感じです!
エゴン・シーレの「死と乙女」は、ムンクの「叫び」を含む作品群と同様に、「愛」と「死」とそれに伴う「不安」などがテーマなんでしょうね。典型的な芸術を生み出す動機です。たしかエゴン・シーレはこの作品が書かれた年に、それまで付き合っていた恋人と別れて別な女性と結婚してますよね。作品には深い意味がありそうですね。それと第一次世界大戦の社会不安も、当然背景にありそうですね。
シューベルトの「死と乙女」の方は、下手なヴィオラで内輪のアマチュア演奏に参加したことがあります。この作品に限りませんが、シューベルトの作品には、意外にブルックナーを感じさせる瞬間があります。
ブッシュSQ、ABQの他、カペーSQも最高ですよ!この件を書き出すとまた長くなりそうですが、これから仕事しなきゃいけないので、また後日!(笑)

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。配色はちょっと可愛過ぎるかなとも思ったんですが、気分転換に変えてみました。
エゴン・シーレの絵は実はあまり得意じゃなく、彼の生涯については勉強不足で詳しくありません(同世代の画家だとクリムト派です)。
やっぱり楽器が演奏できるっていうのはいいですね。シューベルトはよくブルックナーにつながると言われるじゃないですか。演奏しているとそういう本質が体感できそうで羨ましいです。
出たー、カペーですね(笑)。以前おススメいただいたラベルでしたっけ?あわせて聴いてみたいですね。このオーパス蔵盤も¥1,050にならないでしょうか(笑)・・・。

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kevala

こちらもかなりPCの前にいて運動していません(笑)。唯一のリラックス法は貴方のブログをみることでしょうか・・・会社のPCの前でクラッシックのことや人間が持っている才能云々の哲学的なことはまったく考えられなくなるような環境なので癒しです。さらにブログを開いたら緑になっており、今まで脳が茶色と覚えていたのでとてもびっくりした+あ~なかなかいいじゃない!!!!と思った次第です。
骨密度ですか・・・。特に日本の野菜は海外の野菜に比べてカルシウム料が断然違うんですよね・・
どうしたらいいのでしょうか・・・http://www.hosp.go.jp/~wsaitama/bone/bone2.htm 
によい記述がありましたので、ご参照くださればと思いまっする。
お野菜+大豆製品+チーズといった戦略はいかがでしょう?

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岡本 浩和

>kevalaさん
>唯一のリラックス法は貴方のブログをみること
ありがとうございます。そう言っていただけると光栄です。
>あ~なかなかいいじゃない!!!!と思った次第です。
でもちょっと可愛すぎるでしょ?(笑)
>お野菜+大豆製品+チーズといった戦略はいかがでしょう?
それもありですね。

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