チベット体操

liszt_sonata_brendel.jpgもうかれこれ6年近く毎朝チベット体操をやっている。30分ほど時間をかけて5つの体操をする。ここ数年ブームのようで一般に認知され出したように思うが、数年前は「何それ?」と必ず聞かれたものだ。チベットのラマ僧に端を発する一種の儀式だが、これが極めて気持ちが良い。これだけ継続しているにはそれなりのわけがあるからで、目覚めもそうだが、体操中に降って湧いてくる閃きやアイデアが結構「使えるもの」が多く、止めるに止められないのである。元々「継続は力なり」をモットーにする性質だから、そう簡単に止められないのだが、この充実感や楽しみは本当に「続けた者」にしかわからない醍醐味である。

こうだ、ああだというメッセージが突然降りてくる。いついつまでにこうなりなさいという指令も降ってくる(笑)。それをきっちりと行動に移し、結果に導いていくのがこれまた難しいのだが、都度しっかりメモをし、その日のうちにやるべきことはやる癖をつけている。今日は「そろそろ本を書け!」-そんなことを言われた気がする。考えていることを文章化してまとまった書籍にするには相応の努力と時間を要するが、いよいよやってみるかという気になっている(実際どうなるかはわからないけど・・・)。

松岡正剛氏の「誰も知らない世界と日本のまちがい~自由と国家と資本主義」(春秋社)を読み出した。ほぼ冒頭に次のような言葉が書かれてあった。
「世界と日本を同時に見るには『異質』を排除して歴史を見ようとしてはダメだ・・・だって歴史とは、そのつど「異質の発生」との出会いなんですね」そして、偉人とは、みんな異質の塊で、例外者だったのだという。なるほど、世の中はやはり「個」であり、同時に「関係」であることを確信した。異質のものたちがいかに関係を造り上げるか・・・。

リスト:
ピアノ・ソナタロ短調
2つの伝説
悲しみのゴンドラ(第1稿&第2稿)
アルフレート・ブレンデル(ピアノ)

夥しい作品を残したリストの最高傑作である(と思う)「ロ短調ソナタ」。優等生ブレンデルのピアノをそれほど好むわけではないが、均整のとれた踏み外しのない完璧な演奏をたまに聴くのも悪くはない。あれほど情念の塊でエロティックな音楽を、これほどクールに演奏するのもある意味難しかろう。それでもブレンデルは本当はスケベなのだろうと僕は思う。そう、ムッツリすけべ(笑)。

ワーグナーの死を予感して書かれた「悲しみのゴンドラ」は2つの稿を収めているが、いずれも素晴らしい。


2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
今夜は極めて『異質』なコメントをしてみましょう。それは、私は仕事の専門分野でもある、「鉄」への思いについてです。普段と最も遠い音楽へのアプローチということで・・・。
私は「鉄」という物質が大好きです。宇宙の誕生と同時に始まった核融合反応の最終生成物質で、構造的に最も安定した元素であり、地球の重量の約30%を占め、建物や自動車や、その他様々な人間の道具に使われ、私たちの体にも血液中のヘモグロビンなどとして存在する鉄。
現代のコンサート用グランド・ピアノは、500キロ前後の重さがありますが、その約3分の1(160~170キロ)を鋳鉄製フレームや弦などの鉄の重量が占めています。ピアノの弦は純度の高い炭素鋼のミュージックワイヤーで(但し、低音弦は銅線を巻いている)、1本あたり約80キロ、全体で18トン~20トン以上の張力がかかっており、それを頑丈な鋳鉄製フレームが支えています。ピアノが、このように鉄をふんだんに使った楽器に変化したのは、産業革命と密接に関連しています。リストの時代は、ピアノという楽器が、現代の構造へと大きく変化していく発展の最終過程のころでした。
私は現代のピアノの演奏を聴くと、愛する「鉄」という物質に、ピアニストによって瞬間・瞬間に命が吹き込まれていくような奇跡を感じます。
どうです、堅い話でしょ(笑)。ブレンデルも、いかにもこういうことを考える、堅物な研究者のような風貌と音楽性のピアニストですね。でも、こういう人に限って、本当はおっしゃるとおり、ムッツリすけべかな!?(笑)・・・私も・・・(爆)。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
「堅い話」どころか!・・・とても興味深い話ですね。さすがは「鉄」の専門家!文系の雅之さんのすごいところは理系の人でも納得するような説明ができるところですね。それは音楽の聴き方にも通じています。とても僕などが真似できない能力だと思います。
しかし、そういう風に考えると「ピアノ」という楽器にも一層愛着が湧くでしょうね。
ブレンデルは決して好きな音楽家じゃないですが、たまに聴くと妙に安心感があります。
>こういう人に限って、本当はおっしゃるとおり、ムッツリすけべかな!?(笑)
絶対にムッツリです(笑)。

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