月に最低でも1度は生演奏に触れようと努力をしている。
単なる趣味ではあるが、それ以上に「いま」を体感し、自分の感性を鈍化させないという目的をもって。音楽を通じてのコミュニケーション。その場にあって、アーティストの呼吸を感じ、作曲家のエナジーを感じ・・・。
ということで、今月は26日(日)にアレクサンドル・メルニコフのリサイタルでショスタコーヴィチを、来月は11日(日)にアマ・オケではあるもののオーケストラ・ダスビダーニャによるショスタコーヴィチの「レニングラード交響曲」ほか、そして23日(金)にはインバル&都響による同じくショスタコーヴィチの第4交響曲ほかを。何ともショスタコ漬け(笑)。こんなに素敵な月間がこれまであったかと思われるほど。ということで、しばらくソビエト連邦の二枚舌作曲家(?)の音楽を堪能させていただこうかと思っていた矢先、久しぶりに訪れたタワーレコードで何とも魅力的な音盤を発見。ついつい手が出てしまった(メルニコフによる協奏曲も未入手だからこちらも早いところ聴かねばなのだけれど)。
本当はもう少し聴き込んでからゆっくり記事にしようと思ったのだが、一聴我慢ならない(笑)。ショスタコーヴィチのこの本来暗鬱たる名曲たちが何と明るく響くことか!!実に悲しみと喜びの裏表一体の妙味。おそらくこれはソリストの力量に依るものだと思うが、昨年3月に実演に触れる機会を逸したゆえ、ますます気になって仕方がない。僕にとってやっぱり彼女は未知数。これは何としても「生」を聴かねばと再決心。
ショスタコーヴィチ:
・ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調作品77
・ヴァイオリン協奏曲第2番嬰ハ短調作品129
庄司紗矢香(ヴァイオリン)
ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルハーモニー管弦楽団
絶句・・・。とにかく上手過ぎる。第1番第3楽章パッサカリアの冒頭の威厳に満ちた力強さと第2変奏でヴァイオリン・ソロが現れるや、何とも静けさと祈りに満ちた響きの対比がこれまた表裏を成す。そして宇宙的広がりを体現する長いカデンツァはバッハの無伴奏以上のエネルギーを発する。
「24の前奏曲とフーガ」がバッハの影響下にあることでプラウダから批判を受けたこと、その後、何とか面子を保つために久しぶりに発表した第10交響曲がいよいよ好意的に迎えられるや作曲家は引き出しに奥にしまっておいたヴァイオリン協奏曲をようやく取り出す。そんな曰くつきの作品。
今夜は第1番を繰り返し聴いて時間が過ぎた。止められない止まらない・・・(笑)。
第2協奏曲についてはじっくり聴き込んでいつかまた書こうと思う。
※今年は本当にたくさん人が亡くなる。ホイットニー・ヒューストンが48歳で急逝なのだと。昔よく聴いた名曲”Greatest Love Of All”(何とGeorge Benson作!)でも聴いて追悼しよう。ご冥福をお祈りする。
こんばんは。
>ソビエト連邦の二枚舌作曲家(?)
皆さんそうおっしゃいますけど、二枚舌作曲家はショスタコーヴィチだけでしょうか?
大作曲家とは、聴衆を騙す嘘つきばかりなのでは思うこともあります。
たとえば前回話題のドビュッシーについて、青柳いづみこ先生は、次のようにおっしゃっています。
(ドビュッシー本人に会ってみたいと思います? という問いに対し)
「絶対にいや。すごくイヤな奴だったらしいですよ。同じ日にいろいろな人へ手紙を送っているんですが、みんなに『僕のことを本当に分かってくれるのは君だけだ』って書いてある(笑)。ドビュッシーが死んでから書簡集が出たんですが、それで初めてみんな『自分だけじゃなかったのか!』ということを知ってびっくり。それから音楽的には、ウソ泣きの名人ですね。好みもポリシーもどんどん変わっていくんです。もう、真実はどこにあるの? という感じ。それから盛り上がっているところで必ず水を差して、みんなを冷やす。イヤな奴でしょう?(笑)」
「青柳いづみこ オフィシャル サイトより」
http://ondine-i.net/column/column059.html
ねっ、そう言われてみればドビュッシーもショスタコに負けてないですよね(笑)。じつに私好み!!どんどん見習おっと!!!(笑)。
ところで、メルニコフは、ひと晩であの曲集を一気に弾くプログラムが信じられません。ほとんどのピアニストは技巧面と体力面で断念しているようなので(リヒテルやアシュケナージといった大家を含め)、上手くいけば歴史的快挙かもしれませんね。
そして、今回ご紹介の庄司紗矢香の協奏曲録音は私も聴きましたが、こちらも第1番などあの難曲を、おっしゃるように上手すぎる高度なテクニックと美音でよく弾いていますよね。素晴らしい名盤ですね。私も実演に接したいヴァイオリニストです。第2番は1番より実演が聴ける機会は少ないですが、1番と比べ、もっと明るくポジティブな名曲ですね(嘘かもしれないけれど・・・笑)。
インバル&都響の第4交響曲も超名演が期待できますね。最後に誰かの拍手のフライングが無いことを祈っています(私はこの曲、そのことで2度不愉快な経験がありました)。
そしてオーケストラ・ダスビダーニャは、私も行く予定です。
>雅之様
おはようございます。
>大作曲家とは、聴衆を騙す嘘つきばかりなのでは思うこともあります。
確かに皆そうかもですね。でないと芸術なんて創造できないかもしれません。
青柳いづみこさんの言葉面白いですね。その通りだと思います。
>じつに私好み!!どんどん見習おっと!!!
いいなぁ、僕も!!(笑)
>上手くいけば歴史的快挙かもしれませんね。
まさに!楽しみでなりません。
>最後に誰かの拍手のフライングが無いことを祈っています(私はこの曲、そのことで2度不愉快な経験がありました)。
こういうのはね、許せません!!僕も他の曲ですが似たような経験は何度もあります。何を考えてるんでしょうね、こういう輩は・・・。
>そしてオーケストラ・ダスビダーニャは、私も行く予定です。
久しぶりの再会、楽しみにしております!
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