アランフエス協奏曲

rodrigo_bonell_detoit.jpg焦らず自然の流れに任せていくのがいいかなと最近思う。
人に感動を与え、その人自身が確実に変化するようサポートすること。それが僕のポリシーであり、そのためであれば「たとえ火の中、水の中」くらいの気持ちで物事に臨もうと決めている。それにはやっぱり個人を対象に草の根的に地道にセミナーを拡げていくことなのかなと思うのだ。確かに「道」は決して平坦ではない。少々妥協しながら、わかりやすい「スキルアップ」講座を法人向けに売っていく手もあるが、正直納得できない。

「やるべきこと」を愚直に追求しよう。

OZAWORLDくんから薦められた「人生の転機(キャロル・アドリエンヌ著)」を斜め読みしたが、なるほどこれは良書である。いわゆる「自己啓発本」だが、著者本人の経験をもとに「いかに生きるか」が書かれてあり、万人にお薦めできる。ただし、手前味噌で恐縮だが、できれば「ワークショップZERO」を受講してから読むとなお良い。というのも体感的気づきを得てから書籍で補完することで、一層そこに書かれてあること、そしてその意味が腑に落ちると思うから。物事は頭から入るのではなく身体から入ることが重要である。

ふと開いたページ。
不安定な環境で生きる術を身につければ、つねに柔軟性を失わずにいられる
不安定な状況に置かれても生きていける能力は、人間に与えられた最も素晴らしい才能の一つです。今はまだはっきりしていなくても、やがて自分の人生の目的を見つけることができます。この信念を抱けるようになることが、あなたがスピリチュアルな道をきちんと歩んでいる証拠なのです。空虚な生活から抜け出すことで、信頼、自己愛、同情があなたに芽生えてきます。以前のフィルは世の中に流されて生きていました。しかしこのような生活に終止符を打つことで、地に足をつけた成長が可能になったのです。」(89ページ)

没後10年を迎えるスペインの作曲家ホアキン・ロドリーゴ。来月の講座では名曲「アランフエス協奏曲」を採り上げるのだが、久しぶりに所有の音盤からカルロス・ボネルの弾く名演奏を堪能した。

ロドリーゴ:アランフエス協奏曲、ある貴紳のための幻想曲
カルロス・ボネル(ギター)
シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団

ロドリーゴはわずか4歳の時に悪性ジフテリアのため失明したが、若くして音楽的才能を開花させ20世紀を代表する芸術家として大成している。それにしても「アランフエス協奏曲」だけ突出した人気を誇るが、セゴビアから委嘱を受けた「ある貴紳のための幻想曲」など、より作曲の腕も上がり、どちらかというとこちらの方が音楽的価値が高いように僕は思う。

そういえばもう15年以上前になるが、スペインを初めて訪れたとき、古都アランフエスにも足を延ばした。有名な宮殿の中に入った瞬間、確かにこの協奏曲の旋律が脳裏を過ぎった。もちろんそれは先入観かもしれない。しかし、たとえそうだとしてもイメージにぴったりの音楽であることは間違いない。

もう何度も書いているが、こういう民族色豊かな音楽をやらせるとデュトワの棒は超一流。


6 COMMENTS

雅之

おはようございます。
「アランフエス協奏曲」の実演を聴く度に、いつも難しいなあと思うのは、ギターの音量の問題です。PAを使わなければ、オケのTutti(全奏)ではギターの音は完全に掻き消されてしまいますし、その他の部分でも、いかにもバランスが悪いです。マーラーの7番などでもそうですが、ギターとオーケストラの組合せは、本当は無理があるのだと思います。
しかし、こういう問題はギターに限ったことではありませんよね。一般的なヴァイオリン協奏曲でも日常茶飯事ですし、大音量の出せるピアノでさえよく経験します。
チャイコのPコンの終楽章の最後で盛り上がるところのTuttiでは、ピアノもオケも力いっぱい弾きますが、そうすると、やはりピアノの音の方が負けて、聴き取りにくくなることの方が多いです。
ラヴェルの「左手のための協奏曲」も、実演ではピアノがオケに負けてバランスが悪く、ピアノの音が聴き取りにくくなる場合が多いです。
あの、フランソワとクリュイタンス他によるこの曲の決定盤
http://www.hmv.co.jp/product/detail/533878
も、実演では決してこういう良いバランスでは響かなかったのだと思います。
それと余談ですが、ピアノにせよ弦楽器にせよ、奏者の音量というものは、録音では絶対にわからない要素ですよね。私もヴァイオリニストのムター他、録音と実演の差で評価を補正させられたケースは数限りなくあります。
「アランフエス協奏曲」、ご紹介の演奏が素晴らしいのは当然なので、岡本さんの多分守備範囲にはない演奏家で対抗します(爆)。
村治佳織: CONTRASTES [DVD]
http://www.amazon.co.jp/%E6%9D%91%E6%B2%BB%E4%BD%B3%E7%B9%94-CONTRASTES-DVD/dp/B00005R119/ref=sr_1_11?ie=UTF8&qid=1248905054&sr=8-11
村治佳織を聴かずして、ギターを語ることなかれ!!(笑)
もちろん彼女の「アランフエス」は、私は何回も実演体験済みです、はい。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>いつも難しいなあと思うのは、ギターの音量の問題です。
確かにそうですね。
>チャイコのPコンの終楽章の最後で盛り上がるところのTuttiでは、ピアノもオケも力いっぱい弾きますが、そうすると、やはりピアノの音の方が負けて、聴き取りにくくなることの方が多いです。
確かに!
>ヴァイオリニストのムター他、録音と実演の差で評価を補正させられたケースは数限りなくあります。
同感です。コンチェルトの実演を聴いてがっかりしたということは僕も多々ありますが、それは独奏楽器の音が負けて聴き取りにくいということもありますね。
>多分守備範囲にはない演奏家
いえいえ、村治佳織は何度か聴いたことありますよ(もちろん肯定派です)ただしこのDVDは観てないので早速次回の講座までに仕入れて予習させていただきます。ありがとうございます。

返信する
OZAWORLD

「人生を転機」を岡本さんが読んでくれていることが、
すごくうれしかったです!
本当にこの本は、ワークショップZEROの後に読んだからこそ、
すっと自分の中に入ってきたのだと思っています。
昨日も、お時間を頂き、ありがとうございました!

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岡本 浩和

>OZAWORLDくん
昨日はお疲れ様でした。
>本当にこの本は、ワークショップZEROの後に読んだからこそ、
すっと自分の中に入ってきたのだと思っています。
そう言っていただけると僕も嬉しいです。
またゆっくり語りましょう。

返信する
雅之

このところ岡本さんに影響されて「アランフエス協奏曲」ざんまい(笑い)。私はこの曲をこれほど真剣に聴いたことは生まれて初めてです。本当にいい曲だと改めて思いました。
今週は講座に出席出来ない悔しさから、ちょっとブログ本文を無視して、この曲のことばかりコメントいたします。
まず、村治佳織から・・・。
山下一史指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団とのCDを久しぶりに聴いてみました。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2-%E6%9D%91%E6%B2%BB%E4%BD%B3%E7%B9%94/dp/B00005GVQT/ref=sr_1_8?ie=UTF8&s=music&qid=1250501050&sr=1-8
鮮やか且つ、もの凄い名演!!未だに村治佳織の代表盤の地位は揺らいでいないと思いました。第二楽章の哀愁もオケ共々切々と胸に迫ります。録音もいいし、この盤の世評が玄人筋を含めて極めて高いことは、よく理解できます。
これはイエペスの複数の盤と並んで、この曲で最も万人におすすめしたいCDです。
それに比べて、色っぽいジャケット写真の新録音盤は、まったく冴えない演奏の駄盤だと思いました。
http://www.amazon.co.jp/Viva-Rodrigo-%E6%9D%91%E6%B2%BB%E4%BD%B3%E7%B9%94/dp/B000V3PR7W/ref=pd_sim_m_6
どうしちゃったの?村治さん? 超売れっ子になって忙しくて練習不足?
でも、おじさんは実演でも素晴らしさを知ってたし、とても悲しいよ!

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
すっかり見落としておりました。
>私はこの曲をこれほど真剣に聴いたことは生まれて初めてです。本当にいい曲だと改めて思いました。
同感です。少なくとも講座で採り上げようと思わなかったら、僕もそれほど聴き込んでいなかったかもしれません。
>鮮やか且つ、もの凄い名演!!未だに村治佳織の代表盤の地位は揺らいでいない
そこまでおっしゃられるなら必ず買って聴いてみます。できれば講座までに聴きたいのですが、明日は一日セミナーでして・・・。間に合うかな・・。
>それに比べて、色っぽいジャケット写真の新録音盤は、まったく冴えない演奏の駄盤
なるほど。もちろんこの音盤も未聴なので自分の耳で確かめたいところですが、買う必要もなさそうですね。
>おじさんは実演でも素晴らしさを知ってたし
演奏の良し悪しを判断する上で、村治の実演を聴かれているのが強みですね。残念ながら僕は実演でも聴いておりません。本当に通俗曲として馬鹿にしておりまして、大昔、荘村さんのコンサートで1度聴いたきりです。
いずれ機会を捉えて実演でも聴いてみようと思います。

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