Eagles “Hotel California” (1976)を聴いて思ふ

eagles_hotel_california705厭世的な感情、感性が横溢する。
巨視的な見地から西洋文明の終焉に気づいた最初のロック音楽がイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」でなかったか?すべてが一過性の泡の如く夢であり、幻であったと。そしてその幻にいつまでも雁字搦めになっているのが人間だと。

時を超えて記憶を喚起する。
音楽は僕たちの記憶の引き出しの奥底にしまわれた幻想を上手に探し、取り出してくれる。楽しかった思い出、苦しかったこと、悲しかったこと、嬉しかったこと・・・、歌詞や音符とは別のところでひもづけられた記憶を頼りにその当時の感情が沸々と湧き上るのだから傑作の力はすごい。

あれから40年という月日が経過した。
人間は性懲りもなくいまだにかつて見た夢を再度見ようと躍起になる。そんなものはそもそもなかったのに。

Life in the fast lane
Surely make you lose your mind
Life in the fast lane, yeah
~”life in the Fast Lane”

僕たちはそんなに急いでどこへ行こうとしているのか?

You never thought you’d be alone
This far down the line
But I know what’s been on your mind
You’re afraid it’s all been wasted time
~”Wasted Time”

人生に無駄はないのに。それでも不安から人々は齷齪するのである。

And you can see them there
Oh Sunday mornin’
They stand up and sing about
What it’s like up there
They call it Paradise
I don’t know why
You call some place Paradise
Kiss it goodbye
~”The Last Resort”

現実から逃げてはいけない。

Eagles:Hotel California (1976)

Personnel
Don Felder (guitars, pedal steel guitar, slide guitar, vocals)
Glenn Frey (guitars, piano, clavinet, synthesizer, vocals)
Don Henley (drums, percussion, synthesizer, vocals)
Randy Meisner (bass, guitarrón, vocals)
Joe Walsh (guitars, slide guitar, piano, electric piano, organ, synthesizer, vocals)

稀代の名曲”Hotel California”は実に深い。旋律の美しさはもとよりメンバー個々の抜群のテクニックに支えられた秀逸なアレンジに感動を覚える。
冒頭の、ホテルに辿り着くまでの詳細な情景描写は、主人公の心の内に在る哀しみを見事に投影し、寂寥感満ちる。

On a dark desert highway, cool wind in my hair
Warm smell of calitas rising up through the air
Up ahead in the distance, I saw a shimmering light
My head grew heavy and my sight grew dim
I had to stop for the night

また、いかにも明朗なサビのフレーズはある意味僕たちをそそのかす悪魔の声。

Welcome to the Hotel California
Such a lovely place (such a lovely face)
Plenty of room at the Hotel California
Any time of year, you can find it here

そして、物質的満足を追求し、発展を遂げてきた人間は、自らが作ったシステムに首を絞められているのだと。出口のない永遠と繰り返される苦悩にいつまで耐えられるのか?

Last thing I remember, I was
Running for the door
I had to find the passage back
To the place I was before
“Relax,” said he night man,
“We are programmed to receive. You can check out any time you like, but you can never leave.”
~”Hotel California”

脱力せよと、今こそ自然に還れと。

 

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3 COMMENTS

雅之

>時を超えて記憶を喚起する。
>脱力せよと、今こそ自然に還れと。

同感です。いくつになっても・・・。

いつのことだか 思いだしてごらん
あんなことこんなこと あったでしょう
うれしかったこと おもしろかったこと
いつになっても わすれない

春のことです 思いだしてごらん
あんなことこんなこと あったでしょう
ぽかぽかおにわで なかよく遊んだ
きれいな花も 咲いていた

夏のことです 思いだしてごらん
あんなことこんなこと あったでしょう
むぎわらぼうしで みんなはだかんぼ
おふねも見たよ 砂山も

秋のことです 思いだしてごらん
あんなことこんなこと あったでしょう
どんぐり山の ハイキング ラララ
赤い葉っぱも とんでいた

冬のことです 思いだしてごらん
あんなことこんなこと あったでしょう
もみの木かざって メリークリスマス
サンタのおじいさん 笑ってた

冬のことです 思いだしてごらん
あんなことこんなこと あったでしょう
寒い雪の日に あったかい部屋で
たのしいはなし ききました

一年じゅうを 思いだしてごらん
あんなことこんなこと あったでしょう
桃のお花も きれいに咲いて
もうすぐみんなは 一年生

「おもいでのアルバム」
増子とし作詞・本多鉄麿作曲

https://www.youtube.com/watch?v=ejZg6B4FOto

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Eagles “One of These Nights” (1975) | アレグロ・コン・ブリオ へ返信するコメントをキャンセル

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