3時間のショートセミナーをやってみて、なるほど人は誰でも「自分らしくありたい」のだということがよくわかった。僕は最近の講座では「人は決して変わらない」ということを口を酸っぱくして言う。変わる必要などないのである。人との関係の中でうまくやっていく術を身につけられるなら今ある「ありのまま」でいい。「等身大」の自分を受け容れ、そのままの「その人」を受容できるようになればすべてはうまくゆく。
コミュニケーション3種の神器。ひとつ、目線。そう、「目は口ほどにものを言う」。ふたつ、触れ合い。そう、手の感触を通して、触覚を通して他者を感じる。みっつ、言葉。言葉を通して人は人を理解する。言葉なくして、人は人を理解できないとも考える。いや、でも「言葉」ほど曖昧で、ある時に誤解を生むものはない。「言葉」は一見明解だが、これほど「わかりにくい」ものはない。例えば「グラス」と言って各々が全く同じ形の「グラス」をイメージすることなどありえない。皆違ったものを想像する。人それぞれがもっている可能性もそれぞれで、結局ひとりひとり「自分が何ができるか」を知り、その可能性を伸ばしていくことが大事なのである。
気分が良いときには陽気な音楽を・・・。僕は基本的にフランス音楽を得意としない。フォーレやラヴェルといった一部の有名な作曲家の音楽以外まともに聴き込んだ記憶がない。どうもお尻が痒くなるような明るさが生来ネクラだと自覚する僕の脳みそにピンと来ないのである。もっともフォーレ、ラヴェル、そしてドビュッシーという三大巨頭はいわゆる「フランス音楽」然としていないところが、僕にはとっつきやすく、中でもフォーレに関しては初めて聴いたときから(それは例のコルボが指揮する「レクイエム」だったと思う)しばらくその世界に没頭するほどの入れ込みようだった。今でもフォーレとラヴェルは手放しに好きだ。
何だろうな・・・、ラテン気質がどうも僕の性質に合わないのだろう。うまく表現できないが。ちょうど昼時、講習前の頭を冷やすという意味も含めて、滅多なことでは聴かないとある音盤を取り出した。
陽気だ。むず痒くなるほど。それでも「感じよう」と注力を払って聴き込むと、その味わいが不思議と身に染みる。シャブリエはもともと役人であった。39歳の時、意を決して作曲家としての活動を始めるのだが、結局53歳で亡くなるのだから、プロの音楽家としての実働期間はわずか14年に過ぎない。夢を叶えるためにアラフォーで退路を断ち、行動を起こす点に共感する。希望をもち、「今」を一生懸命生きよう。そんな希望に満ち満ちた音楽がそこにはある。ちなみに、パレーという指揮者についてはあまりよく知らない。それでもこういう音盤を耳にすると途轍もない才能をもった指揮者なのだろうと想像する(ただし、例によって実演に触れたことがない音楽家ゆえそれ以上のことは言及を避けるが)。
ところで、よくよくシャブリエのことを調べてみると、誕生日が1841年1月18日だという。僕の母の誕生日が1941年1月18日だから、ちょうど100歳違いということだ。何だか親近感が湧く。
おはようございます。
シャブリエの音楽は楽しいですね!ご紹介のCDも名盤、名録音ですね!
パレーのCDは、近頃タワーレコード・ヴィンテージ・コレクション「ポール・パレーの芸術」で、どっと再発売されましたよね。私はパレーの録音には昔から好印象を持っており、ご紹介のフランスものなども好きだったので、未聴の彼のモーツァルトやベートーヴェンも、友人の根強いパレーファンの薦めもあり聴いてみたいと思っているのですが、タワーレコードのリマスタリングの音はどうなんでしょうね?
>シャブリエはもともと役人であった。39歳の時、意を決して作曲家としての活動を始めるのだが、結局53歳で亡くなるのだから、プロの音楽家としての実働期間はわずか14年に過ぎない。
岡本さんのこの文章でなぜか連想してしまったのは、昔好きで大いに影響を受けた、オーディオ評論家の、故 長岡鉄男氏のことです。長岡氏も行動を起こし、1987年61歳の時に、自宅の隣に彼の長年の夢だったホームシアター「方舟」を建造したのですが、2000年に74歳で亡くなるまで、その夢の「方舟」を活用出来たのは、たった13年間・・・。その間に、彼が設計したスピーカーの最高傑作、「スーパースワン」を発表したりするわけですが、この、突然亡くなるまでの13年間の氏の評論家としての活動は、とても充実したものであったと思います。
>希望をもち、「今」を一生懸命生きよう。
本当ですね。
>雅之様
おはようございます。そう、パレーの録音がタワーレコードからどっと出てますね。僕もめちゃくちゃ気になっているのですが、実は買ってません。ネットなどで調べると、確かに根強いファンの間では相当評判になっているので、これは買っとかないと後悔してしまうかもです。ただ、リマスタリングの音まではわかりませんが。
>オーディオ評論家の、故 長岡鉄男氏のことです。長岡氏も行動を起こし、1987年61歳の時に、自宅の隣に彼の長年の夢だったホームシアター「方舟」を建造した
へぇ、そうだったんですか!僕も昔「FM fan」を愛読している頃、氏の文章はよく読んでいましたが、そこまで彼に心酔したわけじゃなく、バックグラウンドは知りませんでした。しかも突然亡くなられたんですね。ちなみにスピーカーの最高傑作「スーパースワン」の音って聴かれたことあるんですか?存在は僕も知っておりますが、とても興味深いです。
>「スーパースワン」の音って聴かれたことあるんですか?
聴かれたも何も、自作しました(笑)。今でも、一番好きなスピーカーです。
>雅之様
えー、自作されたんですね。てっきり「陶器製」のスピーカーを自作されたものだと思ってました。今もお持ちなんですよね。聴いてみたいなぁ。