カフェ・ラントマン青山店にて

wagner_transcription_tal_grouethuysen.jpg青山にあるウィーンの老舗「カフェ・ラントマン」にてクリスマス&忘年会。
妻がロータリーでお世話になっている音楽好きのOご夫妻、Yご夫妻と6名でワインと美味しい料理に舌鼓を打ちながら、音楽談義を交え3時間ほど。Oさんからはまた例によってカール・ベーム&ウィーン・フィルの75年の来日公演のエアチェック・テープをお借りした。ベートーヴェンの第4&第7交響曲は以前拙宅にいらしていただいた折に少しばかり聴かせていただいて度肝を抜かれたあの録音テープである。暇を見つけてCD-Rにダビングし、ゆっくりと楽しませていただこうと思う。いつもありがとうございます。
外科医のY先生とは先日の「愛知とし子&近藤恵三子コラボレートコンサート」の折、一度ご挨拶をさせていただいているが、じっくりとお話させていただいたのは今日が初めて。ベルリンの壁ができて間もない1964年頃にドイツのヴッパタールに留学されていらしたそうで、そこでワーグナーの音楽(確か「ローエングリーン」)に邂逅、以来ワーグナー道を究めてこられたというつわもので、「ワルキューレ」第1幕冒頭のジークムントとジークリンデの濃厚な愛の場面についての想いや、最近の前衛的な演出に対しての失望など様々な考えを語っていただいた。それにまたリヒャルト・シュトラウスの相当な愛好家のようで(日本リヒャルト・シュトラウス協会の会員でもあられるようだ)、つい先年ご夫婦でドレスデンに滞在し、シュトラウスの楽劇を5つほど観られたという羨ましいお話も楽しく聴かせていただいた。
お二人から、若い頃に聴いたコンサートの話(例えば、Oさんは日比谷公会堂でのバックハウスのリサイタルを聴いているとのこと!そして、Y先生は64年頃にムジークフェラインで若き可憐なルチア・ポップのリサイタルに触れ、モーツァルト歌曲の美しさを堪能されたとのこと!)も伺うことができ、もう少し早く生まれてそういう体験ができたらどんなに良かったか、とすこしばかりジェラシーを感じながらも(笑)本当に楽しいひと時だった。重ね重ねありがとうございます。

ワーグナー:4手のためのピアノ・トランスクリプション集
ヤアラ・タール&アンドレアス・グロートホイゼン(ピアノ・デュオ)

久しぶりにワーグナーを聴きたくなった。本当はじっくりと楽劇を聴ければ良いのだが、時間も時間だし、軽く耳にしようと取り出したのが、ピアノ・デュオによる編曲集。フンパーディンク編曲による「パルジファル」第1幕前奏曲が耳に優しく、聴きモノ。舞台神聖祝典劇という名の通りの透明で心洗われる旋律が20本の指によって紡がれていく。何て美しい音楽なのだろう。フンパーディンクは「パルジファル」初演当時、ワーグナー監督の下で印刷譜制作のための清書譜の作製を行ったらしく、ワーグナーから全幅の信頼を置かれていた。その愛弟子が精魂込めて創り上げたトランスクリプションなのだから悪かろう筈がない。

本日の学び。頭でっかちでわかった気にならず、謙虚に学び、ひとつひとつ行動を着実に起こすこと。


2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
>頭でっかちでわかった気にならず、謙虚に学び、ひとつひとつ行動を着実に起こすこと。
私も自省しつつ、同感です。
>音楽談義を交え3時間ほど。
そういう羨ましいお話を伺うと、いつか岡本さんが紹介されていた、某評論家の書く「ムラヴィンスキーとベームとでは大人と子供くらい芸格が違う」なんて、「木を見て森を見ず」で噴飯ものの暴論であることもよく理解できます。曲のレパートリーだって全然違いますし、あとはいつも申します通り「好きか嫌いか」だけの個人的な趣味の問題に過ぎないでしょう。
>もう少し早く生まれてそういう体験ができたらどんなに良かったか
同感です。でも、正直悔しいですね(笑)。諸先輩の体験談を聴いてすぐ後ろ向きになるのは、今の日本人の駄目な風潮だと思います(笑)。音楽の趣味でそうした過去の演奏家を聴かれた羨ましい実演体験談に対抗するためには、10万枚の過去の音盤を聴くより、下手でもいいから自分で楽器をかじることだと私は信じています。聴くだけではなく、自分でも弾く(吹く、叩く、歌う・・・)ことにより、音楽の受容の在り方にコペルニクス的転回の変化をもたらします。
ご紹介の「ワーグナー:4手のためのピアノ・トランスクリプション集」も残念なことに未聴です。しかし、想像するのですが、「パルジファル」第1幕前奏曲くらいのテンポの曲だったら、サワリだけなら、初心者でも少し練習すれば愛知とし子さんとの連弾が可能なのではないかと思いますよ! ペダルなんかは彼女に任せて・・・。ご自分でも弾かれたほうが、おそらく何百倍も楽しいですよ!
トランスクリプションもの、クリスマスも近いので、私は、ワーグナーとはコロッと変わって、ルロイ・アンダーソンの小品で、作曲者自身がピアノ用に編曲した版による世界初録音のCDをおススメしましょう。
ルロイ・アンダーソン「Original Piano Version」 白石光隆
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3624179
HMVサイトのサンプル音源で 24 「そりすべり」なんかを聴いてみてください。こんな誰でも知ってる愉快な小品も、自分で弾けたら楽しいでしょうね!  自分で弾ける人が一番羨ましいです。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。
>聴くだけではなく、自分でも弾く(吹く、叩く、歌う・・・)ことにより、音楽の受容の在り方にコペルニクス的転回の変化をもたらします。
本当にそういうことなんでしょうね。「パルジファル」のさわりが少しでも弾けたら本当にいいだろうなぁ。とかなんとか言ってないでともかくやってみろということですね(笑)。
ご紹介のルロイ・アンダーソンも面白そうですね。少しばかり試聴してみましたが、自分で弾けると抜群に楽しめそうです。ただ、難しそうですが。

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