愛知とし子presents「ロシアン・ファンタジー」

fantasy_series_20100220.JPG杉並公会堂小ホールで開催された愛知とし子ファンタジー・シリーズはお陰さまで大盛況の裡終了しました。マチネとソワレを合わせると250名以上のお客様にご来場いただけたことになります。毎回いらしていただける方々はもちろんのこと、初めてご参加いただいた方にもお礼や感謝のメールをいただけ、とても有意義な時間を過ごしていただけたようです。ありがとうございました。

ところで、今回は「ロシア音楽×ロシア文学」という副題をもつように、作家・心理カウンセラーである晴香葉子さんとのコラボレート企画でした。堅苦しいイメージを持つシェイクスピアやロシア文学についてとても興味深いお話をしていただいたり、マチネの「動物の謝肉祭」では朗読していただいたり、晴香葉子さんのお力なくしてはあり得なかったコンサートです。重ね重ねありがとうございました。

ちなみに、舞台袖では、照明から音声、あるいはパワーポイントの操作など全て僕が一人で仕切らなければならない状況だったため、生音はしっかりと聴けておりません。マイクを通した音にしか触れられていないものの、少なくともソワレの1曲目「くるみ割り人形」からマチネの時とは違う(マチネも良かったですが)、愛知とし子の指先から奏でられる音にただならぬエネルギーが読み取れたので、「これはいける!」と直感的に感じました。予想通り、その後のプロコフィエフバラキレフも(多少のミスタッチは大目に見るとして)素晴らしい演奏だったと思います。晴香さんには「ロメオとジュリエット」について解説していただきながら、しかもそのシーンを曲間に朗読していただいたので、お客様も音楽を聴いてよりイメージが膨らんだのではないかと思います。まるで「早わかりクラシック音楽講座」のようでした(笑)。

圧巻はやはりメイン・プログラムのムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」でしょうか。30分少しのこの音楽は冒頭のプロムナードから気合十分で、ラストの「キエフの大門」に向け、集中力が途切れることなく、まさに理想のテンポ設定で、晴香葉子さんのおっしゃる「ロシア芸術の魅力」を体現した大演奏だったと思います。何よりこの演奏の前に晴香さんから「ロシア文学の魅力」と題して、講演をいただいたのですが、この話がまた抜群に良かった。ロシア文学を「表面張力」のようだという喩えは、「まさに!」という印象をもちました。「表面張力」とは、彼女の言葉を借りるなら「ためてためてためてためて、ぱっと溢れだす、そういう感じ」、またはシベリア鉄道のように「乗って、乗って、乗って、24時間乗って、やっと恋人に出逢える、そんな感じ」、あるいは「ペテルブルクはそのほとんどが冬であり、1年中寒い中、ほんのわずかな夏の期間を楽しみにする、そんな感じ」だということです。そして晴香さん曰く、愛知とし子のピアノ演奏を評して「力強く、良い意味で「暗く」、心にまっすぐ響いてくる」という表現をされていました。まさにその全てが含まれた「展覧会の絵」だったのです。

アンコールは2曲。まずは、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」を。何と!高校までピアノを習っておられたという晴香さんと愛知によるピアノ連弾!これはサプライズでした。とても愛に満ちた素敵な演奏で感動的でした。そしてマチネの「動物の謝肉祭」からフィナーレを。

マチネの様子についてはまたご報告します。「音浴じかん」さながらに、みなさんに舞台に上がっていただき、ピアノの下にもぐって聴く「ひばり」はとても感動的だったようです。

※終演後の懇親会にも多数の方にご参加いただきました。ありがとうございました。

2 COMMENTS

雅之

こんばんは。
「愛知とし子ファンタジー・シリーズ」大成功、大盛況、心からお祝い申し上げます。そしてお疲れ様でした。
私は前に申しました諸事情が重なり伺えなかったのが残念の極みでしたが、愛知とし子さんのこうしたプログラムでの大成功が改めて実証されたことが、我が事のように嬉しいです。
>晴香葉子さんのおっしゃる「ロシア芸術の魅力」
>ロシア文学を「表面張力」のようだという喩えは、「まさに!」という印象をもちました。「表面張力」とは、彼女の言葉を借りるなら「ためてためてためてためて、ぱっと溢れだす、そういう感じ」、またはシベリア鉄道のように「乗って、乗って、乗って、24時間乗って、やっと恋人に出逢える、そんな感じ」、あるいは「ペテルブルクはそのほとんどが冬であり、1年中寒い中、ほんのわずかな夏の期間を楽しみにする、そんな感じ」
素晴らしく的確な言葉だと思います。
だからこそ、フィギアスケートのプログラムで、ロシアの曲が頻繁に使われるのだと思います。「ためてためてためてためて、ぱっと溢れだす、そういう感じ」にぴったりです。
※例
Midori Ito 1992 Albertville Olympics(ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番より)
http://www.youtube.com/watch?v=nfVOE2Yh6YI&feature=related
Evan LYSACEK LP Grand Prix Final 2009(リムスキー・コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》より・・・バンクーバー冬季五輪 男子金 フリー・同一プログラム)
http://www.youtube.com/watch?v=AwzrcS0o7aI&feature=related

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岡本 浩和

>雅之様
こんばんは。
ありがとうございます。
確かにフィギュアではロシア音楽が頻繁に使われますね。
晴香さんのおっしゃる解釈の通りだと思います。
簡潔でわかりやすい、本当に目から鱗が落ちる、そんなようなお話でした。雅之さんにご来場いただけなかったことが残念でなりません。

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