ホワイト・デーに巣鴨地蔵通り商店街の縁日

mozart_gieseking.JPGホワイト・デーだからというわけでもないが、久しぶりに妻と出かけた。ほんの2時間ほどのいわば散歩である。行先はじじばばに人気の(?)巣鴨の地蔵通り商店街(笑)。今日は縁日だったせいか通りにはたくさんの露店が軒を連ね、人、人、人の波。商店街の往復に正味1時間かかったくらい。そこで美味しそうな生ワカメやヒマラヤ岩塩を手に入れ帰宅。岩塩はお風呂に入れて入浴すると、硫黄温泉に浸かっている気分になり、疲れをとると同時に肌をつるつるに美しくしてくれる効果があるのだと。早速試してみよう。

午後、恵比寿にてカウンセリング・セッション。気がつけば2時間半ほどが経過していた。少しでもわだかまりが氷解し、前向きになっていただけたらという想いでどんな方にも接しようと僕は考える。こういうご縁がきっかけで何か変化が起こるならそれはとても素晴らしいこと。

「大変だ、大変だ」と人は嘆く。大変なことなどあるものか。「大きく変わる」ときなんだから、それはチャンスだってことだ。

・・・バッハやヘンデルの音楽には、ただ単に人を良い気持ちにさせる甘口のものではない。人の精神を高揚させる何ものかを内蔵していた。それを演奏するたびにモーツァルトは心を打たれるものがあった。音楽は表面の仕上げではない、音楽の中には深さもあれば高さもあるということが、一つの強烈な啓示としてモーツァルトの魂を揺さぶった。ウィーン時代のモーツァルトの音楽が、それまでの彼の美麗な音楽―それはそれで一つの美の形ではあるが―から次第に一線を画して行くのはその点である技術的にも、内面的にも、バッハとヘンデルの感化を受けた作品が次第に増加していくと共に、最初はアマルガムだった両者は、次第にモーツァルトの中で一体となり、新しいモーツァルトのスタイルとなっていくのである。・・・

上記は、「ギーゼキングとモーツァルト」と題する、石井宏氏によるギーゼキングのモーツァルト集のCD解説からの抜粋である。三大交響曲の作曲と時期を同じくして書かれたK.545のソナタなど最晩年の「透明な音の世界」をギーゼキングの邪心のない見事な演奏を聴きながら「なるほど」とひとり頷いた。

昨日はリリー・クラウスの弾く初期のソナタを聴いた。同じ「モーツァルト弾き」でも受ける印象はこうも違うのだろうか、ギーゼキングの演奏からは表向きの冷たさとは裏腹の内面の温かさが感じ取れる(とはいえ、いつも書くように実演で一度も聴いたことのない音楽家の演奏を云々するのは気が引けるのだが、とりあえず残された録音を聴く限りにおいてはという注釈をあえてつけておく)。もはや聴衆の趣味趣向に合わせるのではなく、自身のインスピレーションによって音楽を創作していたモーツァルトの音楽は簡潔さの中に高い精神性を持つようになる。何でもない可愛らしい音楽の中に、突然悪魔的な旋律が顔をのぞかせる。

モーツァルト:
・ピアノ・ソナタ第14番ハ短調K.457
・幻想曲ハ短調K.475
・ピアノ・ソナタ第15番ハ長調K.545
・ピアノ・ソナタ第16番変ロ長調K.570
・ピアノ・ソナタ第17番ニ長調K.576
ワルター・ギーゼキング(ピアノ)

2 COMMENTS

雅之

おはようございます。
昨日朝、引っ越し作業の傍らNHK-FMを聴いていたら、午前9:00から「20世紀の名演奏 -リリー・クラウスのモーツァルト-(解説 諸石幸生)」をやっていて、岡本さんがブログで採り上げられた直後だっただけに、驚きました。
http://classic.opus-3.net/blog/cat29/post-374/
岡本さんが「ことのほか愛する」K.283がいきなりかかったので、まさにシンクロニシティ!!
※曲目
「ピアノ・ソナタ ト長調 K.283」   モーツァルト作曲
                      (12分58秒)
                 (ピアノ)リリー・クラウス
               <SONY SICC-485>
「バイオリン・ソナタ 第5番 ヘ長調 作品24“春”から
                 第1楽章」ベートーベン作曲
                       (8分57秒)
                 (ピアノ)リリー・クラウス
            (バイオリン)シモン・ゴールドベルク
   <EMIミュージック・ジャパン
             TOCE-56241/56245>
「ピアノと管楽器のための五重奏曲 変ホ長調 K.452」
                      モーツァルト作曲
                      (28分52秒)
                 (ピアノ)リリー・クラウス
               (オーボエ)ピエール・ピエルロ
             (クラリネット)ジャック・ランスロ
              (ホルン)ジルベール・クールジェ
               (ファゴット)ポール・オンニュ
   <EMIミュージック・ジャパン TOCE-15069>
「4つの即興曲 作品90 D.899」   シューベルト作曲
                      (25分22秒)
                 (ピアノ)リリー・クラウス
            <コロムビア COCQ-84751>
「ルーマニア民俗舞曲」            バルトーク作曲
                       (4分34秒)
                 (ピアノ)リリー・クラウス
            <コロムビア COCQ-84312>
「ピアノ協奏曲 第18番 変ロ長調 K.456」
                      モーツァルト作曲
                      (29分30秒)
                 (ピアノ)リリー・クラウス
                 (管弦楽)ボストン交響楽団
                (指揮)ピエール・モントゥー
<BMG ENTERTAINMENT BVCC-37345>
「“子供のために”第1巻から 第16曲 古いハンガリーの旋律
         第17曲 ラウンド・ダンス」バルトーク作曲
                       (2分00秒)
                 (ピアノ)リリー・クラウス
            <コロムビア COCQ-84312>
http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2010-03-14&ch=07&eid=895
いや、久方ぶりにこれらの名録音を聴いて、その温かみのあるピアノに酔いしれてしまいました。シューベルトの即興曲も名演だと思いましたが、また、師匠バルトークの曲「“子供のために”第1巻から」も興味深かったです。
ギーゼキングの録音もいろいろと聴いてきましたが、クラウス以上に実演を聴いてみたかったなあと思いますね。実演では、モーツァルトでも、もっとパッションを前面に出していたのかもしれません。同じ新即物主義と言われた指揮者、カール・ベームと同様に。

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岡本 浩和

>雅之様
おはようございます。引越し作業お疲れ様です。
見事なシンクロニシティですね。びっくりです。最近はFMをとんと聴かなくなっていたので、「20世紀の名演奏」が諸石さんに引き継がれていたとは知りませんでした。
ラジオで聴く音楽って妙にいいんですよね。しかもちょっとした解説付きで。
クラウスのバルトークは聴いたことがないのですが、面白そうですね。昨日の放送聴きたかったです・・・。
>実演では、モーツァルトでも、もっとパッションを前面に出していたのかもしれません。
同感です!

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