「音浴じかん」とジェフ・ベック

jeff_beck_blow_by_blow.jpg今年のゴールデン・ウィークは「音浴じかん」でスタートした。赤ちゃんはかわいい。あどけない、邪心のない姿、行動は大人を癒す。音楽による癒しと子どもの無邪気さの癒しが掛け合わされてとてもエネルギーの高いひととき、空間になった。いつも通りの愛知とし子のピアノ演奏の後、毎々打楽器演奏の時間では、大人も子どもも「音楽をする」ことでとてもハッピーになるのだろう、それぞれが音楽に合わせて(今回はビゼーの歌劇「カルメン」から第1幕前奏曲)無心に楽器を鳴らし楽しそうに15分間を過ごしていただいた。

人間って誰しももとは「赤ちゃん」だったんだと考えると不思議な気分になる。もちろん僕自身にもそんな時期があったのだが、何物にも囚われず、ありのまま自然体でいられることって素晴らしい。そんな時代はどこへやら、である。
年を経るにつれ、体験や環境から学んだ「概念」が人を縛りつける。「何をしちゃいけない、こうあるべきだ、これは良い、あれは悪い」・・・などなど。

よくよく考えるとあらゆる事象に「正解」などどこにもない。見る人、見る観点によって感じ方、考え方は180度異なるのだから。人のやり方、考え方に即反応し、批判したが
る輩が多いが、それは自身の了見の狭さを露呈しているようなものでみっともない。いろんな人がいる、いろんな考え方がある、そしていろいろな感じ方がある、それでいいではないか・・・。無邪気な赤ちゃんを見ていると、どうでもよい拘りや固執が恥ずかしくなる。

「昭和の日」に、僕の中で「昭和」を代表するアルバムの一つだと勝手に決めている音盤を聴く。1975年、昭和50年5月に発売されたJeff Beckの傑作”Blow By Blow”。

Jeff Beck:Blow By Blow

Personnel
Jeff Beck(Guitars)
Max Middleton(Keyboards)
Phil Chenn(Bass)
Richard Bailey(Drums and Percussion)

35年を経過した音楽とは思えない「新しさ」がこのアルバムの中には「まだ」ある。The Beatlesのプロデューサーとして一つの時代を築き上げたGeorge Martin(彼のアレンジ能力は本当に凄い!)の力も大いに影響しているのだろうが、Jeff Beckの発表した数多いレコーディングの中でも飛び切りセンスの良い、レベルの高い楽曲が並ぶ。

Jeff Beckのギターの音は、Jimmy PageやEric Claptonとはまた違い、実に多様性に富んでいる。商業的成功という意味では先の二人より見劣りするが、どんな状況、そんな事象も受け容れる、そんな印象を受ける懐の深さを彼ら以上にもつ。こういう言い方が正しいかどうかわからないが、実に「赤子のような自然体」なのではないかと思うのだ。そんな風にこのアルバムを久しぶりに聴いて思った。

つい先日の来日公演は聴けなかった。65歳になったギター殺人者(古いっ!)のプレイはどんなものだったのだろう・・・。


3 COMMENTS

雅之

こんにちは。
連休で、行楽地のパソコンからのコメントです。
Jeff Beckの代表盤ともいえるご紹介の盤、友人に薦められ、かつてCDを所有して車の中などで聴いていたことがあります。初期フュージョンの名盤ですよね。
ロックについては岡本さんほど詳しくはないので、的外れな感想であれば、ぜひご指摘ください。
Jeff Beckを聴く楽しみって、私的には、パガニーニを聴く楽しみに通じています。楽器を弾く技に酔いしれる快感というか・・・。
※参考CD
24のカプリース(全曲) シュロモ・ミンツ
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2503161
ヴァイオリン協奏曲全集、奇想曲、他 アッカルド(vn)デュトワ&LPO
http://www.hmv.co.jp/product/detail/764889
楽器習っている人には、こうした「技のデパート」のCDは、堪らない魅力になります。
何でもできるっていうことほど、拘りや固執から解放されることは他にないですよね。Jeff Beckにも憧れますねぇ。今年の来日も、よっぽど行ってみようかと思いました。仕事の都合で結局行けませんでしたが・・・。
岡本さん初の「ロック講座」、期待できますねぇ!! このブログ内でも、ぜひ、いろいろ学ばせてください!!

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岡本 浩和

>雅之様
こんにちは、今日は行楽日和で最高の日ですね。
どちらに行かれているんですか?
ちなみに、僕は先程まで駒込の「六義園」を散策し、ツツジを見てきました。
>eff Beckを聴く楽しみって、私的には、パガニーニを聴く楽しみに通じています。
あー、確かに!現代のパガニーニですね・・・。
初のロック講座、僕自身も密かに楽しみにしてます。

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アレグロ・コン・ブリオ~第3章 » Blog Archive » たまにはシャンソンでも・・・

[…] 今年もゴールデン・ウィークがはじまる。昨年同様、「音浴じかん」開催。僕はといえば、新富町でとある講座受講のため今回は不参加。震災後の初のイベントだったこともあり、何組くらいの家族にご来場いただけるかまったく見えなかったが、結果、22組のご家族にご参加いただけたようで、盛況だった模様。まずは上出来。 […]

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